7 海神の歓待

「今日はこの場に逗留していくがよい。我が眷属、総出でもてなそう」


 現れたのは、人魚や海竜などさまざまな海の種族たち。

 俺とスミレは上座に据えられ、あらゆる海の幸を使った料理や酒でもてなされた。


「スミレは未成年だから酒は駄目だぞ」

「うう、ジュースでがまん」


 俺の言葉に素直にうなずくスミレ。


「もうちょっと大人になったら、ロメロと一緒に飲む」

「ん? そうだな」

「そして大人の女としてロメロと……」

「えっ」

「ううん、そのときに言う。まず……大人にならないと……」


 言いながら、スミレは自分の胸元を両手で押さえている。


「……女神様、大きかった」


 ぽつりとつぶやくスミレ。


 ん、どうしたんだろう?


「まあ、焦ることじゃないだろ」

「それまでロメロが待っててくれるなら……」


 スミレがぽつりとつぶやいた。


「???」

「ロメロ様~」


 官女らしき女たちが俺の元にやって来た。

 みんな美人ぞろいだ。


「ささ、ロメロ様、どうかぐーっと」

「ああ、ありがとう」


 官女の一人が酒を注ぎ、俺はそれを飲み干した。


「いい飲みっぷりですね。素敵です」

「よろしければ、もう一杯どうぞ」


 さらに別の官女も注いでくれる。

 それも飲み干すと、また官女たちが熱い視線を注いできた。


「素敵……」

「お酒だけでなく私自身も差し上げたいくらい……」

「それなら私だって……」


 なんだか、酒を飲んだだけですでにモテているような……。

 この間の村でも村娘たちから迫られたし、もしかして『超越者』のジョブスキルにそういう力があるんじゃないだろうな?


 そう疑ってしまうほどだ。




 数時間、飲めや歌えやの宴を楽しみ、ようやく終わった。


「ふうっ」


 料理も酒も極上だったな。


 やっぱり神様のもてなしは一味も二味も違う。


 俺が今までの人生で食べたり飲んだりしたものの中で、間違いなく一番美味だったと思う。


「おっとと……」


 足元がふらつく。

 さすがに飲みすぎたかな……。


「おっと、支えようか」


 横合いから柔らかな感触が訪れた。


「デルフィーナ……?」


 海神が横から俺の体を抱き、支えてくれているようだ。

 ふらふらしつつ、彼女に導かれて部屋に入る。


「ロメロ、少しいいか?」


 海神が俺を見つめた。


「ん? ここは――」


 よく見ると、俺にあてがわれた部屋じゃないぞ。

 宴の途中で一度、俺が宿泊するための部屋に案内されたんだが、そことは内装が全然違う。


「わらわの寝所だ」

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