4 海皇獣

「あれは――」


 雄たけびがした方向に視線を向ける。

 海面に巨大なシルエットがあった。


「でかい……!」


 全長200メートルくらいはあるんじゃないだろうか。


 海皇獣リバイアサン

 外見上は巨大なタコのようなモンスターだ。


 が、その耐久力は上級竜種にも匹敵する。


「誰かが戦ってる」


 スミレが指さした。


「えっ?」

「ほら、十時の方向」


 と、説明するスミレ。

 俺にはリバイアサンの触手がうねってるだけにしか見えない。


「【俺の目に映る光景を、もっと鮮明に見せてくれ】」


 唱える。

 すると、視界が一気にクリアになった。


「うおお、よく見える――」


 触手に捕らわれているのは、ほとんど全裸の女性だった。

 ハッと息を飲むほどの、絶世の美貌――。


「この、離せぇっ……」


 美女がもがいている。


 が、両手両足に触手が絡みつき、自由を奪われているようだった。

 右手に持ったほこを使うこともできない。


 さらに触手の一部が、彼女の乳房や股間に這い回り――うっ、これはエロい……しばらく見ていたいくらい。


「全裸の美人」

「そ、そうだな」


 スミレの言葉にうなずく俺。


「ロメロ、デレデレ……?」

「別にデレてないぞ」

「じゃあ……エロエロ?」

「別にエロじゃ……い、いや、ちょっとはエロいことも考えたけど――じゃなくてっ」


 なんてことを言うんだ、スミレ。


「とりあえず、助けないとな」


 気持ちを切り替え、集中する。

 まず、彼女の身の安全の確保だ。


「【あの女性を防御】【彼女の周囲の触手をすべて切断】」


 二つの現象をイメージ。

 あまり多くの現象を同時にイメージすると、どれも不鮮明になって実行できない……ということがある。


 ばつんっ!


 俺が念じたとたん、彼女の四肢を拘束していた触手が切断された。


「【彼女を上空に避難】【リバイアサンを消し飛ばす】」


 続いて、追加で二つの事象をイメージ。

 全裸の美女は上空高くに飛んでいき、残ったリバイアサンは俺が念じたとおりに消滅した。


「よし、救出完了」


 いつもながら、苦戦のくの字もなく戦闘は終わった。

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