8 新・魔王軍を相手に無双する2

「さあ、消し飛ばしてやるぞ――たとえお前が助かっても周囲の町は全部吹っ飛ぶ!」


 首領魔族が叫んだ。


「人間どもは仲間の死に弱い! 知っているぞ! お前はその心の痛みに耐えられるかな――」

「ゲスな手段だな。おかげで――容赦なく消し飛ばせる」


 俺は上空の魔族を見上げた。


「【攻撃範囲拡大】」

「何……?」

「【さらに拡大】」


 俺は思念を高める。

 集中力を研ぎ澄ませる。


「【あの魔族に、攻撃を確実に届かせる】」


 さらに、念のために思念を追加。


「お、おい何を――」

「【消え去れ】」


 そして――思念を解き放つ。


 俺が放った思念消滅攻撃は――。

 その前に思い描いた『攻撃範囲拡大』と組み合わさり、普段よりもはるかに遠くまで効果を届かせる。


「ば、馬鹿なぁ――」


 一瞬にして消滅する首領魔族。


「組み合わせる――この概念で、【リアライズ】応用範囲は一気に広まるな」


 俺はグッと拳を握り締めた。


「ひ、ひいいいいいい……っ」

「なんだ、今のはぁっ……」


 残った魔族たちがパニック状態に陥る。


「サクサクすませるぞ――【攻撃範囲拡大】」


 俺は奴らを見据えた。


「【さらに拡大】」


 思念を高め、一撃を放つ。


「【消え去れ】」


 そして――。

 この場に集った新・魔王軍の魔族たちはすべて消滅した。




「すごい……」


 魔族を全滅させると同時に、スミレが俺を見つめて言った。


「これで今度こそ世界に平和が戻ったな」


 ……といっても、新・魔王軍のことは世間にどの程度広まっていたのかは分からない。


 もしかしたら、ロクに知名度が上がらないまま、今の戦いで消滅させてしまったかもしれないな。


 だとしたら、多くの人々は世界がふたたび危機に陥り、そして救われた――という事実自体を知らないままかもしれない。


「それはそれでいいか……」


 俺は小さく苦笑した。


「さて、と」


 突然降りかかった火の粉を払ったところで――。


「さっきの話の続きだ」


 そう、紋章に描かれた地。


 世界の最果てについて――。

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