7 新・魔王軍を相手に無双する1

 俺は千体を超える魔王軍の軍勢と向き合っていた。


「スミレ、下がってろ」

「あたしも戦う」


 忍者刀と手裏剣を構えるスミレ。


「相手の数が多い。救援も頼んだ方が」

「――いや、生半可な実力じゃ、殺されるだけだ。これだけの数の魔族がいるんだからな」


 手段は二つ。


 倒すか、逃げるか。


 もちろん、俺がとる手段は前者だ。

 それが無謀だとは思わなかった。


「【俺とスミレの周囲に防御結界を作成】」


 まず防御を固めた。


 言葉通り、俺とスミレの体を覆うようにエネルギーの膜が出現する。

 これで魔族たちの攻撃を遮断できるだろう。


 思念攻撃が魔王をも消し去る威力である以上、思念防御も同等の『格』があると考えていいはずだ。

 奴らの攻撃はまず、俺たちには通らない。


「あとは――攻撃だけだな」


 俺は歩みを進める。


「うっ……」


 逆に魔族たちは後ずさった。


 奇妙な光景だ、と半ば他人事のように考える。


 一年前までは田舎の農民に過ぎず、少し前までは聖女たちの『荷物持ち』に過ぎなかった、この俺が――。

 今は千を超える魔族をたった一人で恐れさせている。


「【消え去れ】」


 俺は無造作に思念攻撃を放った。


「っ――!」


 前方にいた魔族が百体ほどまとめて消し飛ぶ。


「けど、九割以上は無事か……」


 俺はわずかに眉を寄せた。

 どうやら思念攻撃の効果範囲はそれほど広くないらしい。


「ちまちま消し飛ばしていくか……【砕け散れ】」


 さらに百体を爆散させる。


「ひ、ひいっ……」

「化け物だぁっ……」


 魔族たちはパニック状態だった。


「ええい、ならば辺り一帯を消し飛ばしてくれるわ!」


 首領魔族(まだ生き残っていた)が上空高く飛び上がった。


 ボウッ!


 掲げた両手に巨大な光球が出現する。


「この辺りごとまとめて――消えてなくなれぇっ!」


 まずい、広範囲高火力魔法か!?

 近くの町とかも全部吹っ飛ばすつもりだ。


 その前に奴を消し飛ばしたいけど、距離が遠い。

 もしかしたら【消え去れ】や【砕け散れ】と念じても、範囲が届かないかもしれない。


 奴の位置までジャンプするか?

 いや、それでも間に合わないかもしれない。


「――だったら!」


 俺は一つの方策を思い出した。


 思念攻撃、第二の型だ――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る