3 超越者と忍者マスター

 俺とスミレの前方には巨大なモンスターがいた。


 Aランクモンスター『メガジャイアントライガー』。


 その名の通り体長20メートルもある超巨大な獅子である。


 今回、俺は彼女と二人で討伐クエストを受けたのだった。

 この間の約束通り、暫定的にパーティを組んでいるのだ。


「あたしが奴をひきつける――」


 言って、飛び出すスミレ。


 さすがに『忍者マスター』だけあって速い。

 しかも、幾重ものフェイントによって、まるで分身しているような残像が数十単位で生まれる。


『忍者マスター』の上級スキル【残像分身ざんぞうぶんしん繚乱りょうらん】である。


「すごいな」


 俺は素直に感嘆した。


 モンスターがスミレに攻撃するが、ことごとく空を切る。


 よし、次は俺だ。


「【消え去れ】」


 思念による攻撃が、モンスターを消滅させた。


「……あたしが敵を引きつけなくても、普通に一撃で勝てたね」


 スミレがぽつりとつぶやいた。


「ま、まあ、そうだよな……はは」


 なんとなく、その場の雰囲気で彼女に先行してもらったんだけど。


「でも、スミレにも見せ場があってよかったじゃないか」

「……ありがと。フォローしてくれて」


 スミレがぺこりと頭を下げた。




 俺たちはギルドに戻り、報酬を受け取った。


「報酬は山分けだ」

「あたしは全然活躍してない。全部ロメロさんの取り分でいい」

「そうはいかないだろ。相棒じゃないか」

「……相棒」

「君がそう言ったんだろ」

「では、ありがたく」


 スミレは深々と一礼する。


「やっぱり……『超越者』の能力はすごい。伝承通り」

「伝承……」


 スミレの先祖は500年前に俺と同じ『超越者』ジョブを持っていたんだという。


「なあ、スミレ。その『超越者』はどんな人だったんだ?」

「あたしの遠いご先祖様。コノハ・ブラッドベル――」


 俺の問いに、スミレは遠い目をして語りだす。


「500年前に活躍した『超越者』。そして、あたしたちの始祖――」

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