6 S級会議

 キリア帝国。


 その帝都にある、冒険者ギルド本部――。

 それがS級会議の開催場所だ。


 会議を行う一室に向かうと、通路に数人の冒険者がいた。


「へえ、あんたがロメロ・ティーゲルか。史上最速でS級昇進したそうだな」


 小柄な少年剣士が俺をねめつける。


「ふん、あまりいい気にならないことね」


 長身の美人魔法使いが俺をにらんだ。


 この二人は、どこか挑戦的なまなざしだった。


 敵意、とも少し違う。

 もしかしたら、新たにS級に上がってきた俺に対して、ライバル意識でもあるんだろうか。


「よい面構えじゃ」


 老武闘家が微笑む。


「S級の仲間が増えた。よろしく」


 ペコリ、と一礼したのは忍者装束の少女だ。


「どうも」


 俺は礼を返し、部屋に入った。


 S級冒険者は全部で三十人いるという。

 が、ほとんどが多忙であり、この会議の出席者は多くて十数名だと聞いていた。


 今日は俺を含めて十二人だった。

 さっき挨拶してくれた四人以外は、席から俺を興味深げに見ている者のみ。


 俺やさっきの四人も席に着き、会議が始まった。


「で、今日の議題はなんだ? ぶっちゃけS級会議とかいっても、最近はただの雑談会だよな?」

「それを言っちゃおしまいでしょ。あたしは息抜きに来てるだけ」

「金ももらえるしの」

「金貨150枚……はした金ね」


 などと、好き勝手に駄弁っている。


 しかし、金貨150枚がはした金って……すごい金銭感覚だな。

 いや、S級の生活が長くなれば、そういう感覚になっていくんだろうか。


 そのとき、轟音が響いた。


「何……っ!?」


 壁が破れ、数人のシルエットが現れる。


 いや、それは――『人』ではなかった。

 いずれも翼や尾などを備えた異形。


「魔族――」

「S級! そろってやがるなぁ!」

「ちょうどいい! まとめてぶっ殺してやるぜぇ!」


 魔族たちが笑った。


「お前たちは――」


 席から立ち上がる俺。

 他のS級もすでに臨戦態勢だった。


「魔王様の遺志は俺たちが継ぐ!」

「俺たちこそ魔王様の正統後継者! 新・魔王軍だ!」


 いきなりの襲来である。

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