5 魔王軍残党《魔王軍SIDE》+ロメロへの招待状

「魔王ディルダイン様が討たれた……」

「四天王も同時にな……」


 魔族たちが話し合っていた。


 場所は古ぼけた城の中。

 魔王軍のアジトの一つである。


 そう、彼らは魔王軍の生き残りだった。


「馬鹿な、人間どもがそこまで力をつけていたというのか……!?」

「しかも、魔王様や四天王はたった一人の人間がほぼ単独で倒したらしい」

「たった一人で……」

「伝説にある『超越者』――」


 魔族の一人が言った。


「何?」

「かつて魔王様が一度だけ相まみえたという、究極のジョブだ。その力は魔王様をも圧倒したという……」

「そ、そういえば、そんな話を聞いたことがあったような……」

「その『超越者』が現代によみがえったというのか……?」

「ど、どうする……我らに勝ち目はあるのか……?」

「全員で一斉にかかるしかあるまい……」

「『超越者』の力の秘密は『世界の最果て』にある、と聞いたことがある」」


 魔族の一人が発言した。


「『世界の最果て』……だと!?」

「そこは神々が聖封印で何重にも守っているという特級禁踏区域ではないか」

「我ら魔族も容易に立ち入ることはできん」

「だが――そこに行けば、奴の力の秘密が分かるかもしれない」

「だが、そこは決して入れない場所だろう?」

「しかも、俺たちは魔族だ。なおさら入れてくれないさ」

「しかし――」

「分かった。ならば、お前はその地に行ってこい。なんとしても侵入方法を探すのだ」

「有用な情報が得られた場合は、すぐにこちらに戻ってくるんだぞ」

「――承知いたしました」


 その魔族はうなずいた。


 目指すは、神々の聖域――『世界の最果て』。


 そこには『超越者』の力の秘密が、必ず眠っているはずだ。


    ※


 あれから飲み会は続いていた。


「聞いたか? 聖女セラ様や勇者マリン様たちの凱旋パレードが昨日行われたんだってよ」


 冒険者たちの会話が聞こえてきた。


「……ん、あいつらの話か」


『超越者』のジョブで『服従』させたとたん、いきなり従順になって、ついて行きたいなんて言ってきたわけだが――。

 今までの仕打ちを考えたら、許せるわけがない。


 当然見捨てたんだけど、その後はどうしたんだろうか?

 興味に駆られていると、続きが聞こえてきた。


「キリア帝国だよな? いいなぁ、見てみたかった」

「全員すごい美少女らしいぜ」

「花婿になるのを狙って、見目のいい王族貴族や騎士が戦勝パーティに大勢呼ばれたってよ」

「実質見合いパーティか? ちくしょう、俺も呼ばれてたら……救世の乙女の誰かと結ばれたかもしれないのによ……」

「ははは、お前じゃ無理無理」

「まあ、そうだよな……はあ」

「魔王を討った英雄乙女の花婿……なんて大出世だよなぁ」

「花嫁の力で一生地位も金も名誉も保証されるだろうな……羨ましい」


 どうやら魔王を倒したのはセラたちという扱いらしい。

 まあ、冴えないオッサンの俺よりも彼女たちの方が、少なくとも見栄えはいいからな。


 俺も今さら『世界を救ったのは俺だ』なんて名乗り出るのも面倒だし。

 そういう栄誉より、今は自由気ままな冒険者生活を楽しもう――。




 二日後、俺のもとに冒険者ギルド連盟から手紙が届いた。


『新S級冒険者ロメロ・ティーゲル殿、S級会議への出席の可否を問う』


 そんな内容だ。

 詳しく読むと、


・この会議はすべてのS級冒険者に出席の権利がある。

・ただし欠席は自由で、中には一度も出席したことがないS級もいるようだ。・基本的に会議は月に一度、他に緊急事態時には臨時の会議が召集されることもある。

・今回の会議は新たにS級になった俺の顔見せの意味もあり、俺にはぜひ出席してほしい、とのこと。


 要約すると、そんな感じだった。


「ま、せっかくだし行ってみるか」


 ちなみに出席することで得られる報酬は、金貨150枚。


 飲み会で聞いた額の1.5倍だった。

 S級って、すごいんだな……。

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