3 討伐したらモテモテ

「どうした? 俺を消し飛ばすんじゃなかったか?」

「ば、馬鹿な……我がブレスが……」


 黒竜王が震えている。


「ええい、何かの間違いだ!」


 今度は尾で叩き潰そうとしてきた。


「【反射】」


 念を込め、あっさりと弾き返す。


「くっ、なんだ……!? 魔法結界でもないし、奴に触れようとすると跳ね返されてしまう……!」


 黒竜王は困惑しているようだ。

 いまだ――。


「【砕け散れ】」


 俺の思念衝撃波を受けて、黒竜王キングダークドラゴンは爆散した。

 最強クラスの竜種といえど、魔王すら葬る俺の思念攻撃にはひとたまりもないようだ。


「こいつも一撃か……」


 あまりにもあっけなく倒せたので拍子抜けしてしまう感はあった。




「村を救っていただき、ありがとうございました!」


 村長が俺に頭を下げた。


「ロメロ様、すごかったです……」

「ああ、素敵なお方……」


 さっきの五人の村娘が、全員ポーっとした顔をしている。


 ずっと『冴えないオッサン』として生きてきた俺としては、そういう反応は戸惑うばかりだった。

 この間のオフェリアもそうだが、モテるってことに慣れてなさすぎなのだ、俺は。


 とはいえ、悪い気分じゃなかった。


 そして――さっそく、黒竜王討伐に対する感謝の宴が開かれることになった。


 もちろん、俺が主賓だ。

 ずらりと並んだ豪勢な食事、そして酒。


「ささ、ロメロ様、ぐぐーっと」

「あ、ああ」


 村娘の一人に酌をされ、俺は一杯を飲み干す。


「ふうっ……」


 一仕事した後の酒はやっぱり美味い。


「いい飲みっぷりですね」


 彼女が俺にしなだれかかってきた。

 二十代の瑞々しくも柔らかな肢体――。


「……って、いやいや」


 節度を持たないとな。


「ロメロ様ぁ、私からも一献……どうぞっ」


 さらに別の村娘もすり寄ってきた。


「ああ、ありがとう」


 同じように飲み干す。

 やっぱり美味い。


「ふふ、黒竜王討伐のご活躍……素敵でした」


 言いながら、彼女も逆側からしなだれかかって来た。

 左右に村娘を侍らせているような格好になってしまう。


「あ、ずるい! 私だってロメロ様とお近づきになりたい!」

「私だって!」

「私もいます~!」


 他の三人も次々にすり寄ってきた。

 都合、五人の村娘から前後左右を固められたような状態。


 すごいな……女の方からこんなふうに次々と寄ってくる状況は、四十一年間の人生で一度もなかった。


 今が、俺の人生の春なんだろうか――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る