6 美少女たちを服従させる儀式1

「魔族化の効果が消滅……か。セラたちが元に戻るってことか?」

「えっ」


 四人が驚いたように俺を見た。


 そうか、彼女たちにはこの文字が見えないんだな。

 俺は文字の内容を説明した。


「あ、あんたに服従? 冗談じゃないわよ!」


 セラが怒る。


「……でも、そうすれば、あたしたちは元に戻れるのよね?」

「……背に腹は代えられませんわ」

「……服従するしかない」


 と、三人がセラをなだめる。


「……分かったわよ」


 セラはため息をついた。


「このまま完全な魔族になる、なんて御免だものね」

「じゃあ、やるぞ……と、服従させる、って具体的にどうすればいいんだ?」


────────────────────────

『超越者』に対し、服従する者は『忠誠を誓う言葉』を述べ、土下座して手の甲と唇(異性のみ)に口づけを行う。


 服従した場合、以後は『超越者』に対していっさいの反抗が不能となる。

────────────────────────


「ハア? 手の甲はともかく――く、唇にキスしろですってぇぇぇぇっ!」


 セラが絶叫した。


「私には恋人がいるのよ! それを裏切って、あんたなんかにキスしろっていうの!?」

「キスなんて色んな男としてきたけど、あんたにだけは嫌だね。きもいんだよ、オッサン」


 マリンが毒づいた。


「わ、わたくし……ファーストキスですのよ! 絶対に嫌ですわ!」


 エルザが悲鳴を上げる。

「メリットがあるなら……する。キスでも、もっといやらしい行為でも……」


 シーリスは淡々としていた。


「仕方がないだろ。そう書いてあるんだから」


 俺は苦い顔で言った。





 ――というわけで服従タイムだ。


「うう、なんでこんな奴に頭を下げなきゃいけないのよ」

「しかたないでしょ。あたしだだって本音は嫌だよ」

「わたくしも……こんな屈辱ありませんわ……!」

「絶対したくないけど、魔族にはなりたくない……」


 四人ともまだ葛藤しているらしい。


 雰囲気からして、俺とのキスよりも、俺に頭を下げる方がはるかに嫌――という感じだった。


 まあ、彼女たちからすれば『冴えないオッサン』と見下し、パワハラまでしていた相手に頭を下げるなんて、これ以上ない屈辱だろうからな。


 が、そうしている間にも彼女たちの体は徐々に変質していく。

 魔王が倒されても、魔族化は収まらないようだ。


「うううううっ、しかたない!」


 まずセラが跪いた。


 火の出るような目で俺をにらむ。

 それから意を決したように頭をだんだんに下げていき、


「い、今までの数々のご無礼、どうかお許しくださいませぇぇぇぇぇぇぇぇっ! 以後、あなた様に忠誠を誓いますぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」


 俺の足元に額を擦り付けた。


 あの高慢な聖女セラが、俺に土下座している――。

 まさか、こんな光景を目にすることになるとは。


「あ、あたしも! あなた様のしもべとなります! 忠誠を誓います!」

「あなた様こそ、わたくしの主ですわ!」

「シーリスの、ご主人様……」


 残りの三人も次々に俺の前に土下座する。


 あれだけ俺を見下し、さんざんパワハラしてきたのが嘘のようだ。

 正直、少しスッとした。


 と、彼女たちの顔が醜い怪物から、元の美少女へと戻った。


「やっぱり服従によって魔族化が消えるみたいだな」


 ただ、体の方はまだ魔族のまま。

 完全に無効化させるためには、次の儀式が必要なんだろう。


 つまり――キスを。



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