5 魔王との最終決戦

「う、嘘、あの冴えないオッサンが……!?」

「そんな、あいつ……本当にロメロなのか……!?」

「あり得ませんわ……」


 聖女セラと女勇者マリン、剣聖姫エルザが呆然と俺と見つめている。


「つねっ……いたた……夢じゃない……」


 女賢者シーリスは自分の頬をつねっていた。

 夢じゃないかどうかを確かめたらしい。


「何者だ、お前は……!」


 そして、魔王も驚きを隠せない様子だ。

 まあ、俺自身も唐突な展開に戸惑ってるけどな。


「俺はロメロ。パーティの『荷物持ち』だよ」


 苦笑交じりに言った。


「『荷物持ち』……戯言を!」


 猛る魔王。


「四天王を倒したくらいでいい気になるな! この俺の戦闘力は奴らとは次元が違うぞ!」


 巨体を震わせる。


「確かに……な」


 奴の全身から吹き付ける魔力は、四天王から感じたそれとは桁違いだった。

 魔法に関しては素人の俺でも、はっきりと分かるくらいに――。


「燃え尽きろ――【サタニックフレア】!」


 魔王がドラゴンブレスを放った。


 火炎の渦が迫る。


「【凍れ】」


 俺は『念』を込め、ブレスを指し示す。


 ぱき……ん。


 一瞬にして魔王のドラゴンブレスは凍りつき、砕け散った。


「な、なんだとぉぉぉぉぉぉぉっ!?」


 絶叫するディルダイン。


「【消え去れ】」

「【邪神の障壁ザルクウォール】!」


 俺が放った消滅思念攻撃は、魔王の生み出した障壁に阻まれた。

 いや、今のは障壁の方を消し去ったのか。


 だから消滅効果が魔王まで及ばなかった、ってことかな?


「最上級防御呪文ですら簡単にかき消すとは――」


 魔王が後ずさる。


 恐怖している。

 魔族の、王が。


 ただの『荷物持ち』に過ぎなかった、この俺に――。


「次で決める」


 俺はふたたび集中した。


 どうやら思念攻撃を放つためには、ある程度の『溜め』が必要なようだ。

 集中したり、イメージを固めたり……その工程にどうしても数秒程度はかかる。


 その間に攻撃されたりしたら、さすがにまずい。

 奴の動きを見ながら、慎重に攻撃を当てないとな――。


「うう……」


 魔王はさらに後ずさった。


「まさか――本当に『超越者』なのか……! 500年ほど前に一度だけ見た……神や魔王すら歯牙にもかけない超常の存在……!」


 どうやら魔王は以前にも『超越者』のジョブ持ちと戦ったことがあるらしい。


「そ、そうだ、お前も我が部下にならんか? 世界の半分――いや九割をくれてやろう!」


 魔王は声を震わせながら言った。


「俺の方が優勢なのに、提案に乗るメリットがないだろ」

「で、では、女はどうだ? 魔族の中から選りすぐりの美女を数千数万と献上しよう」

「だから、魔王の侵略を見過ごせって? できるわけないだろ」

「ぐぬぬぬぬぬ……」


 俺は魔王を指さした。


「【邪神の障壁ザルクウォール】!」


 ふたたび生み出される最上級呪文の防壁。


【消え去れ】と唱えても、また防壁だけを消滅させてしまうだろう。

 魔王本体は無傷だ。

 だから――、


「【貫け】!」


 今度は攻撃パターンを変えた。

 思念による攻撃エネルギーは障壁をまっすぐ貫き、その勢いのまま魔王をも刺し貫いた。


「がっ……あああああああっ……!?」


 胴体に大穴を開けられ、動きが鈍る魔王。


「終わりだ――【消え去れ】」


 俺はとどめの一撃を放った。


「ば、馬鹿な……!? この魔王ディルダインが、こうも簡単に――!」


 絶叫とともに、魔王は消え去った。


 あまりにもあっけなく――。

 俺が、魔王を倒してしまったのだ。


「さて、と」


 俺はセラたちに向き直る。


「ひっ……」


 彼女たちは四人とも腰を抜かしていた。


 その姿は半ば異形と化している。

 魔王に従ったことによる魔族化現象が進んでいるのだ。


「元に戻す方法はないのか……」


 俺がつぶやくと、空中に文字が浮かび上がった。


────────────────────────

『超越者』として『聖女』『勇者』『剣聖』『賢者』を服従させることが可能。


 その場合、魔王にかけられた『服従による魔族化』は、前述の服従に上書きされて効果が消滅する。

────────────────────────



※ ※ ※

8話あたりから、なろう版になかった新規エピソード入ってきます。


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