4 『超越者』ロメロ

「超越者……?」


 眉を寄せる俺。


「ま、ま、ま、まさか……!」


 セラが俺を見て呆然としていた。


 口をパクパクとさせたまま、まともに言葉が出てこないらしい。


「そ、それは伝説の超越等級ジョブ――最上級ジョブである聖女や勇者たちすら従え、すべてを統べる者――」

「えっ、な、なんだ、それは」


 聞いたことのないジョブなんだが。


────────────────────────


『超越者』について


・最上級ジョブをも超える『超越等級』ジョブ。


・『思念』を具現化する異能力【リアライズ】を操る。


・あらゆる状態異常を無効化する。


・あらゆる敵に対して攻撃上昇効果を持つ。


・あらゆる敵に対して防御上昇効果を持つ。


・七つの最上級ジョブ『聖女』『勇者』『剣聖』『賢者』『忍者マスター』『武神』『竜騎士』を従え、配下とすることができる。


────────────────────────


 前方に輝く文字の羅列が浮かび上がった。


「なんだ、これ――」


 他にも説明が数百単位で出てきたけど、とてもすぐには読み切れない。

 ただ、一つ分かった。


『思念』を具現化する能力、か。

 それさえあれば、魔王にも立ち向かえる――と。


 理屈ではなく、本能で悟った。


「選手交代だな」

「ほう? 次は貴様が戦うというのか?」


 魔王が鼻を鳴らした。


「ああ、ちょっと付き合ってくれ」


 俺が魔王を見返す。


 自分でも驚くほど冷静だ。

 ほんの少し前までなら、魔王なんて目を合わせることすらできなかっただろう。


 ただの荷物持ちでしかない俺が、魔王なんかに勝てるわけがない。

 だけど――、


「魔王様の前にまずは我らからだ!」


 四天王の残り三体が立ちはだかった。


「構えを見ただけで分かる――こいつ、剣術は素人か」

「かといって、魔力の素養があるようにも見えんな」

「ええい、それではただの雑魚ではないか」

「確かに雑魚だな」


 彼らの言い様に、俺は苦笑した。


 これでも昔は冒険者に憧れていたりしたんだ。

 けど、剣の才能はなかったし、魔法の素質もなかった。


 剣士にも魔法使いにもなれず、そもそも家業の手伝いに追われて、冒険者になる夢自体を断念した。

 で、両親が他界したころには、俺ももう四十過ぎ。

 今さら冒険者なんて言える年齢じゃない。


 家業を細々とやっているうちに、女神の神託で聖女たちの『荷物持ち』に選ばれ――。

 今は、こうして魔王軍の四天王と戦おうとしている。


「はは、意外と昔の夢に近づいてるのかな、俺」


 俺は右手の甲に触れた。


 ――紋章ON。


 能力の『スイッチ』を入れる。


「何をブツブツと言っている!」

「叩き潰してくれる!」

「恐怖におびえながら消滅しろ!」


 巨大な眼球が破壊光線を放つ。

 翼を備えた獅子が上空から襲いかかる。

 三つの顔と六本の腕を持つ異形が、六種の武器で打ちかかる。


 それらの攻撃が俺に届く前に、


「【吹き飛べ】」


 一言。


 俺は『思念』を込めた言葉を、告げた。

 それが攻撃力へと転化され、三体の魔族に叩きつけられる。


「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」


 大きく吹き飛ぶ四天王たち。


 これが『超越者』のジョブ固有能力だ。

 精神の力――『思念』を込めた言葉を発すると、その内容通りの現象が起きる。


 思念具現化能力――【リアライズ】。


「【消え去れ】」


 さらに追撃。

 今度は吹き飛ばすのではなく、消滅させた。


「な、なんだと……四天王があっさりと……」

「次はお前だ」


 俺は魔王に向き直った。



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