3 覚醒の予感

「まとめて斬り刻んでくれよう!」


 骸骨騎士が突進してきた。

 四天王だけあって、さすがに動きが鋭い。


「我が剣技は魔王軍最強最速! 人間ごときに――」

「人間を――なめないでよねっ!」


 女勇者マリンの動きは、さらにそれを上回っていた。


「あたしたちだって魔王軍との戦いで成長を重ねてきたのよ! だから――」

「がっ!」


 マリンの剣が一閃し、骸骨騎士を後退させる。


「【聖神ゼルクの浄化】!」


 すかさずセラが聖女固有呪文を放つ。

 黄金の輝きに包まれ、骸骨騎士の動きが弱った。


「お、おのれ……」

「はあああああっ!」


 そこへエルザが追撃をかける。


 さすがは剣聖姫。

 すさまじい速度の斬撃で、骸骨騎士の四肢を一瞬で切断する。


 敵の動きが止まったところを、


「極大破壊呪文――【裂界れっかい鉄槌てっつい】」


 女賢者シーリスの攻撃呪文が直撃する。

 骸骨騎士は悲鳴を上げるひまもなく、粉々になって消滅した。


「おいおいおい、あいつやられちまったぞ!」

「くくく、奴は四天王の中で最弱」

「人間ごときにやられるとは……四天王の面汚しよ」


 残る三体の四天王は驚きつつも、すぐに立ち直ったようだ。


「次は誰が行く?」

「くじで決めるか?」


 などと話し合っている。

 意外と余裕だな。


「まだ私たちを舐めているの?」


 セラが前に出た。


「いいわ、三人まとめてかかってきなさい!」


「いや、お前たちの相手はこの俺だ」


 前に出てきたのは四天王ではなかった。

 炎をまとった巨大な黒竜――魔王ディルダイン。


「確かに大したものだな。四天王を倒すとは。だが、俺には勝てん――」

「ふん、お前を倒して終わりにするよ。この戦いのすべてを!」


 叫ぶ勇者マリン。


「ですわね。そして世界に平和を」

「これが……ラストバトル……」


 剣を構えるエルザと、杖を掲げるシーリス。


「行きましょう、みんな!」


 セラが凛々しく叫ぶ。


 四人の乙女と魔王の決戦が、いよいよ始まった。




 ――魔王の力は、圧倒的だった。


「ううう……」

「こ、こんな……」

「強すぎる……」

「全然かなわない……」


 セラたち四人は魔王の一撃で吹き飛ばされ、いずれも地面を這いつくばっていた。


「終わりだな」


 ずしん、ずしん、と地響きを立てながら、竜の魔王が彼女たちに近づく。


「だが、お前たちほどの強者を消すのは惜しいな……どうだ、俺の部下にならんか?」


 魔王が提案した。


「そうすれば命を助けてやろう。いや、それだけではない。いずれこの世界を征服した暁には、領土の半分をお前たちにやるぞ。どうだ、ん?」

「ふ、ふざけないで! 私は『聖女』のジョブを授けられた者よ! 誰が魔王の手下になんて!」

「なら、死ぬか?」


 魔王のプレッシャーが一気に膨れ上がった。


「い、いえ、死にたくはないです……」


 とたんに意気消沈するセラ。


「ほ、本当に命を助けてくれるの……?」

「しかも世界の半分をいただけるのですか……?」

「すごい権力者になれる……富も男も望むがまま……」


 ……意外と欲まみれだな、こいつら。


「あ、あなたに従います、魔王様……」


 四人はうやうやしく言った。

 そのとたん、


「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 彼女たちがいっせいに叫んだ。

 四肢が、体が毛むくじゃらになって肥大化し、美しい顔が醜い悪魔のそれに変わっていく。


 肉体が魔族に変わろうとしているのか――?


「助けて! 誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」


 絶叫するセラたち。


 カァァァァァァァァッ!


 そのとき、俺の手の甲からまばゆい光があふれた。


「なんだ、これ――」


 俺は驚きの声を上げた。


 日焼けした手の甲。

 さっきセラから紋章を奪われてしまったそこに、


「新しい紋章が――!?」


 あふれる光が、一つの形を作り出す。


────────────────────────

『荷物持ち』の紋章の消滅を確認。


 封印を解除、真の紋章を発現。

────────────────────────


 目の前にそんな文字が浮かび上がった。

 手の甲に刻まれた紋様は、王冠を意匠化したようなデザインだった。


 紋章が――熱い!


 この紋章全体からすさまじい熱量を感じる。


「う、おおおおおっ……!?」


 その熱が『力』となって、俺の全身に行き渡るような感覚があった。


────────────────────────

 紋章発現完了。


 ロメロ・ティーゲルを超越等級ジョブ『超越者』として認定。

────────────────────────


 紋章から高らかな声が響いた。






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