最強ジョブ『超越者』に覚醒したので、俺にパワハラしていた美少女パーティを見捨ててソロライフを始める。今さら「惚れました」と告白されても興味ないのでサヨウナラ。

六志麻あさ@7シリーズ書籍化

第1章 超越者覚醒編

1 『荷物持ち』の俺と四人の美少女

「ちょっと! 早く運んでよね、おっさん」


『聖女』セラが不満げに言った。


「いつまでかかってるのさ? ノロマだねー!」


『女勇者』マリンが俺をにらむ。


「いくらなんでも無能すぎませんこと?」


『剣聖姫』エルザはあきれ顔だ。


「使えない……クビにしたほうがいい……」


『女賢者』シーリスがため息をついた。


 凛々しいセラ、勝気なマリン、気品のあるエルザ、クールなシーリス……とタイプこそ違うが、いずれ劣らぬ絶世の美少女たち。

 が、その性格は美しいとは言い難かった。

 はっきり言って、どいつもこいつも性格が悪い。


「反抗的な目をしてるんじゃないわよ! 返事はどうしたの?」

「は、はい、すみません……」


 二十歳以上も年下の少女に、俺はへりくだって謝った。


 くそっ、こっちは五人分の荷物を一人で運んでるんだぞ……!


 毎日のように続くパワハラ。

 まるで日課のように四人から続けざまに罵倒され、時にはパンチやキックで痛めつけられることもある。


 俺の忍耐はとっくに限界だった。


 いつものこととはいえ……なんで俺が、こんな小娘たちに馬鹿にされ続けなきゃいけないんだ。


 って、答えは決まってる。

 俺が神託で選ばれた『荷物持ち』だからだ。




 ――一年前、魔王ディルダインの侵攻が始まり、世界は大きな危機を迎えた。


 これに対し、女神ヴァルファリアは一つの神託を下した。

 世界を救う四人の乙女を選んだのだ。


 彼女たちはそれぞれが『聖女』『勇者』『剣聖』『賢者』という最上級ジョブを与えられ、人類最強の力を手にした。

 そして、その力で各地の魔王軍を打ち破り、ついに本丸である魔王城に攻めこむ段となった。


 今は、その道中である。


 で、神託で同時に選ばれたのがこの俺、ロメロ・ティーゲルだ。

 年齢は今年で四十一歳。


 のどかな田舎で、普通の農民として平穏に暮らしていた俺に授けられたジョブは――『荷物持ち』。

 要は、女神さまから四人の雑用係として指名されたんだろう。


 まあ、最初は正直……嬉しかったんだ。

 輝くばかりに美しい少女たちとパーティを組めるんだからな。


 年甲斐もなくときめいたもんだ。


 だけど、ふたを開けてみれば――どいつもこいつも、いいのは外面だけ。

 性格は最悪だった。


「ねえ、私思うんだけど」


 セラがジト目で俺を見た。

 純白の僧衣をまとった清楚な美少女……なのだが、底意地の悪そうな表情がそれを台無しにしている。


「このオッサン、私たちのパーティに必要ないんじゃないかしら?」

「確かに。荷物持ちならもっと若くて体力がある男でもいいわけだしねー」


 同意するマリン。


 グラマラスな肢体に露出度の高いビキニアーマーを身に付けた美少女だ。


「わたくしもそう思います。せめて容姿端麗な男性でしたら……」

「おっさんを見ていても……楽しくない……」


 と、エルザとシーリスが言った。


 エルザは黄金の甲冑をまとった、いわゆる姫騎士。

 シーリスは緑のローブをまとった小柄な美少女だった。


 総じて、冴えないオッサンの俺では体力面でもビジュアル面も、彼女たちを満足させられないということだろう。


「しょうがないだろ。神託で選ばれたんだから」


 俺はさすがにムッとして言い返す。


 手の甲に視線を落とす。


 そこには薄赤く輝く紋章があった。

 女神から神託を受けた際に、俺の手に出現した『ジョブの紋章』だ。


 同じものは四人の少女たちにもある。

 この紋章が俺たちのジョブを決定づけ、同時にそのジョブ固有の力を与えてくれるのだ。


 ふいに――、



「ぐあっ……!?」


 見えない『力』によって、俺はその場に崩れ落ちた。


 立ち上がれない。

 無様に這いつくばっている。


「な、なんだよ、これ……っ!?」

「【神々しき威圧】――『聖女』の基本スキルの一つよ」


 セラが俺を見下ろして嘲笑した。


 彼女と目を合わせているだけで心臓が痛いほどに鼓動を打つ。

 すさまじいプレッシャーで起き上がることができない。

 ちくしょう……っ!


 俺はセラを見上げながら、にらみつけた。


「何よ、その目は? 生意気ね」


 セラが苛立ったように言った。


「自分の立場をもっとわきまえなさいよ。お前はただの荷物持ちよ。私を崇め、拝みなさい。あ、そうだ。私のブーツにキスをして、忠誠を誓いなさいよ。あっはははははは!」


 セラは好き放題に言っていた。


 俺は――言い返せない。

 プレッシャーに抗うだけで精いっぱいだ。


 俺の心がこのプレッシャーに負けた瞬間、俺はセラの言葉通りに、彼女を拝み、ブーツにキスをするかもしれない。


 そんな屈辱、死んでもごめんだ。


「ったく、さっきの態度はイラっときたなー」

「ぐはっ」


 今度はマリンに脇腹を蹴られた。


 向こうは軽く蹴ったつもりかもしれないが、何しろ勇者の力だ。

 肋骨が折れるんじゃないか、ってくらいの衝撃が走る。


「げほっ、げほっ」

「おいおい、今のは全然力入れてないんだよ? 大げさに痛がらないでよね」

「ふふふ、ぐはっ、ですって」

「弱い……激弱……」


 嘲笑するエルザとシーリス。

 さらに、この二人も面白がって俺を蹴ったり、呪文で痛みを送りこんだり……俺をいたぶって来る。


 くそっ……くそっ、こいつらぁ……!


「本当に目障りね……こうすればいいんじゃないかしら?」


 しゃがみこんだセラが、俺の手の甲に自分の手を触れた。


 激痛――。

 同時に、


 べりっ!


 紋章が――はぎ取られた。


 まさか俺は……『荷物持ち』のジョブを失ったのか……!?




※ ※ ※


8話あたりから、なろう版になかった新規エピソード入ってきます。


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追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?

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魔力値100万の最強魔術師 ~俺の前世は史上最強の魔法使いだったので、絶対無敵の魔力で魔法学園を無双します。ついでに99%女子生徒しかいなくて、まともな男が俺だけなのでモテモテです~

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