第312話 でも、いつかは・・・。

お茄子の焼き浸し、おひたし。

お味噌汁。

ホッケの干物を焼いたもの。脂が乗ってて美味しそう。

じゅーじゅー・・・。



「はい、召し上がれ」と、真由美ちゃんはにこにこ。


離れには、ダイニングもある。


恵はにこにこ「いっただきまーす。」と、おひたしから。

しゃきしゃき。「んーおいひー。」


浴衣のまま、羽織で。

ダイニングのテーブル。




真由美ちゃんはにこにこ「恵さん、かわいい」


恵は「そぉ?、なんか嬉しいな、あんまりそういわれたことない」

黒髪、さらり。流していると大人っぽい、すごく。

でも、真由美ちゃんとふたつ違い。

もうじき、ひとつ違いになる。



真由美ちゃんは「だって、職場だと凛々しいもの」

と、制服の恵をイメージ。


黒いスーツ。帽子。髪はきちんと纏めて。

くっきりメーク。



白い手袋で・・・信号、よし!



今はノーメークだから、より、かわいく見える。



恵は「こーいうの、食べたかったんだー。」と、にこにこ。


真由美ちゃんは「ひとりくらしだと・・・どうしても。ありますね」


恵は「そう。女子寮ってなんか・・気を使うし。時間が不規則だし」



真由美ちゃんはにっこり「それで、ここに来たいんですか?」



恵は「うーん・・・なんか、わかんない。お兄ちゃんもいるからかなー。」


ほんとにわかんないのだ。



真由美ちゃんは「お兄ちゃん、滅多に帰ってこないですよ」



恵「人吉機関区に配転願い書けばいいのに」と。



真由美ちゃんは「はい。でも、旅客になるから。やっぱり貨物がいいみたいですね。

ディーゼルカーは免許も違うし」


恵「・・・なるほど。じゃ、あたしが奥さんになって。熊本に住む」


真由美ちゃんはちょっと考える。

いつか、誰かがお兄ちゃんの奥さんになるんだったら・・・・。

知らない人よりは・・・とは思う。


でも今は、まだ・・・このままで。



恵は「そういう人いっぱいいるんだろーね。お兄ちゃんだったら」



真由美ちゃんは「そーでもないみたいですよ。学生の頃も

あんまり・・・。」



恵は「そーなの?」



真由美ちゃんは「はい。別に、そんなに興味ないらしいです」



恵は、頷いて「そうそう、そういうタイプに見える。そういう人の方がいいな。旦那さんは」


真由美ちゃん「そうですね」



ふたり、笑った。








その頃、南阿蘇の友里絵は、パスタのお皿をふたつもって、にこにこ。


「パスタ♪パスタ♪」


ひとつは、ボンゴレロッソ。もうひとつは、スープパスタ。

ミネストローネみたいなおつゆに入っている。


「珍しいね」と、愛紗。


「うん!」と、友里絵。


由香は「食ってる時が一番幸せだ」


友里絵「ホントホント」


由香「オマエのことだよ」



友里絵「あ、そ?ハハハ」


菜由はと言うと、キーマカレーを持ってきて。



友里絵が「ノーパンだったらキーマカレー付き」



菜由は「アホ!」


由香は「はいてるよな」


友里絵は「そりゃそーだよ。こんなとこで無料サービスなんてするかいな」



由香「有料だったらするのか」



友里絵「金額によるな」

冗談冗談。



菜由「リアルね」

と。ちょっとシニカルに笑う。



愛紗はと言うと、和食を取りに行っていた。

高森田楽。


普通の田楽だけど、お味噌とくるみの味。

ちょっと、甘め。


馬刺し。刺身蒟蒻。

お味噌汁は麦味噌。おとうふ。


炭火で炙ったししゃも。


さつま揚げの煮物。

ゼンマイ、わらび。


おつけもの。つぼ漬け。野沢菜。

たくあん。白菜の塩漬け。らっきょう。


ごはんは高菜ごはん。



いろいろ持ってきて・・・。



友里絵が見つけて「あ、おいしそー」



愛紗はにっこり「いっぱいあるよ」



他にも、ビーフステーキ、ポークソテー。


コロッケと言うか、クロケット。メンチカツ。


広東麺、ダシまき卵、スクランブルド・エッグ。


ベーコンソテー。


サラダバー。


オレンジ、トマト、野菜のジュース。


阿蘇牛乳。お水。


コーヒーはエスプレッソ、アメリカーン、カフェラテ。


パンもある。ロールパン、お豆パン。クロワッサン。



菜由は「友里絵ってさ、パスタのほかにご飯食べる?」



友里絵は「そんなに入んない~。けど、高菜ご飯は食べたーい」


由香は「こんなに幸せでいいのかな」



ミニケーキ各種。


チーズ、イチゴショート、ティラミス、ミルフィーユ。

焼きプリン、モンブラン。



友里絵「住みたいね、ここ」


由香「ここで働け」


友里絵「いい考え!それ」と。にこにこ。






熊本のお兄ちゃんは・・・。


その頃、お風呂に入って。


時間が不規則だから、だいたい、いつでも入れるようになっている。

駅や機関区に昔はあったが、最近はこんな風に寮にある。




早い時間なので、入っている人は少ない。


夜勤の人はとっくに寝ている時間なので・・・静かに静かに。



結構、寝付けないと音が気になったりするのだ。



「・・・・それでも、寮の方がいいな」


普通の住宅に住んでいれば、静かに寝たいと言っても

近所に住んでいる人は団欒の時間である。


静かにして、とも言えない。


だけど、睡眠は必要だ。



そんな理由で、どうしても・・・夜勤が多い仕事だと

結婚とか、あまり考えたりしない生活になるのだ。


任務である。

誰かが、しなくてはならない。


国の物流を支えているのだ。そういう意識があって

成立するのである。


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