第304話 高森駅のたまちゃん

友里絵、にこにこ「うん!かわいいもん、ねー、たまちゃん」と、にゃんこをなでなで。


たまは、目を閉じて、「にゃ」

指で、あごをこちょこちょすると

気持良さそう。


友里絵は「よーしよし。あたしのたまちゃん」と、だっこしたら


たまちゃんは、ぴょん、と。


由香は「あはは、たまちゃんに振られた」



友里絵は「うー・・・ゆりえです・・・ゆりえです・・・・ねこにもふられたです・・・

おいは塩漬け女です・・・スルメ女です・・・。」



運転士さんが、運転しながら笑う「あんまり、面白いこと言わんといて。

運転できん」


友里絵は「すんませーん」

由香も「すいません」



たまは、床から見上げて「にゃ?」


友里絵はしゃがんで「よーしよし。いいこいいこ」と、なでなで。



かんかんかん・・・と、ベル式の踏み切り警報機が鳴っている。



かたん、かたん・・・と、軽快に

単行ディーゼル・カーはカーブを曲がって。


高森駅構内に進む。


突き当たりは大きなスレート葺きの、高さのある工場のような

車庫。


「大きいね」と、由香。



菜由は「昔は、蒸気機関車がいたからかな」


かなり大きな工場だ。



運転士さんは「さっきのカーブのところがね。真っ直ぐトンネルになっておって。

向こうにつながるはずだったが、大水が出てな、中止になったんだ」と。



愛紗は「そうなんですね。」



運転士さんは、既に排気ブレーキを掛けて。

速度は20くらい。


ゆっくりゆっくり、停止位置に近づく。


機械ブレーキを掛けて。


車輪式なので、軋む音が聞こえる。



き・・きききき・・・・。



少し緩めて。停止。


ブレーキハンドルを非常位置に持っていき、固定。



ドアスイッチを上げる。


ぷしゅ、と。

バスそのままのような折り戸が開いた。


たまは、ぴょん、と列車から降りて、どこかへ行ってしまった。


友里絵は「あー。ネコ運賃ってないのかな」


運転士さんは「ないね」と、にこにこ。


愛紗たちは周遊券を出して。


運転士さんはちら、と見て「大旅行だねー。ははは」と、にこにこ。



なにせ、愛紗のは東京発になっている。(^^)。




たまは、高森駅によく居るようで・・・駅の脇に、「たま」と書かれた

ごはんのお皿があったりする。


友里絵は「トイレはどこだろ」


由香は「また出るのか」


友里絵は「ちがうよ、たまちゃんの」



菜由は「そこらでするんじゃない?ノラだし」


友里絵は「あたしさー、さっき、一杯出すぎて。トイレが流れなかった」


由香「きたねーなぁホント。わはは」と、笑う。




友里絵は「それでさー、下みたらご本尊様がまだ居るじゃん」


菜由は「ご本尊様って」と、笑う。


由香は「ケツについてんだろ」



愛紗も、笑う。誰も居ないし。



と・・・思ったら。駅にまだ人が居た(笑)。




駅はログハウスっぽい木造で、天井が高く

教会みたいなカテドラルに見える。



「お洒落な駅だね」と、友里絵。


「うん」と、由香。




愛紗は、駅前に出て・・・バス停を探した。



駅の出入り口の横にバス停があり・・・・


色見環状線、とある。


役場先回りは、まだあるようだ。17:10.とある。

駅の大時計を見上げると、17時少し過ぎたところ。


「遠回りだけど、これで行こうかな」と、愛紗。


駅前には、C12 66と書かれた蒸気機関車が保存されている。

ちゃんと、屋根がついていて、綺麗に磨かれて。



友里絵はそれを見て「いいねぇ、なんとなく」

と、見上げて、にこにこ。



由香は「人吉で見たね、昨日」

と、煙をたなびかせている蒸気機関車を思い出している。


駅前は広く、前はバスロータリーで

タクシーも停められる。

奥の方は駐車場になっていて・・・・・・この辺りの人が

車で来て、列車に乗るらしい。


高台にあって、田んぼがよく見え

阿蘇山らしき山が見える。



友里絵は、駅の中に戻って

一杯あるお菓子を見ていたりする。

黒糖が掛かった、麩菓子のようなお菓子。

しょうゆのおせんべい。

あられ、豆。


由香は「和風ー」

友里絵も「ほんと。遠くへ来たなって感じ。」



菜由は「記念乗車券があるね」


一日券、回数券。などなど。

記念シートがセットになっていて。


なーんとなく、バスガイドに戻っていたり(^^)。



愛紗は、外でバスを待っていた。

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