第298話 立野、早着、15秒! 

その頃の友里絵は・・・・まだ、寝ていた(^^)。


特急「あそ」は、肥後大津に停車すると

かなりの人数が降車した。

意外と、ビジネス・ユースが多いのだった。


友里絵は、まだ・・・眠っている。


「ふにゃふにゃ・・・・いひひひ、いひ」


由香が「ヘンな寝言だなぁ」


菜由は「マジックで目玉書いてやるか」と、いたずら心。


愛紗は「授業中に居眠りする子が、書いてたね」と、くすくす笑いながら。


床下のエンジンが、ごろごろごろ・・・・と、ゆっくり回りながら坂を登るのは

なんとも不思議。

ターボ・ディーゼル・インタークーラなので

排気エネルギーが上手く回収されているのだ。


菜由が、黒いマジックを持って「いっしっし・・・。」なんて。



友里絵は、目覚めて「とりゃ」と。そのマジックの柄を掴む。


由香は「なんだ、起きてたか」



友里絵は「んにゃ、殺気で。」と。



愛紗は「剣豪みたい」と、笑う。


スモーク・ガラスの窓なので、車窓は夜みたいに見えるけど

前面窓を見ると、そんなに暗くもない。



♪ぴんぽん♪


チャイムが鳴り・・・・。


ーーーまもなく、立野、立野です。高森線はお乗り変えです。

お出口は左側、2番乗り場に着きますーーー。

と、録音の女声アナウンス。優しげな声で

九州ではおなじみ。



「あ、着くね」と、由香。


「つくね?食べたーい」と、友里絵。


「夢の中でも食ってたぞ」と、由香。


「そーなんだよね」と、友里絵。「太平燕って軽いから。ご飯頼めば良かった。」



菜由は「それはそうと、マジック離して」と、引っ張る。


友里絵は「ああーん、抜けない抜けない」と、ハートマークの声(笑)


由香「真由美ちゃんが居ないと、いきなりそっちに行くな」(^^;


友里絵「苦しかったよー、言いたい、言えない。ははは」


由香は「どーでもいいから、離せ」と、チョップ!


友里絵「いてーなぁ、凹んじゃうぞ」と、右手でうしろあたまをなでなで。


菜由が、その時マジックを引き抜いた「抜けたー」


友里絵は「いやーん、そんなに早く抜かないで・・・。」

と、くねくね。



愛紗は「・・・・。」ちょっと恥ずかしい。


友里絵は「あ、そっか、もうひとり居たか。お嬢さん」



愛紗は「ごめんね。」


菜由は「あ、友里絵の手」と、マジックの蓋を閉めて。



マジックを引き抜いたので・・・黒い筋が一本。



友里絵の左手は「あーあ、筋一本。あそこに一本。」



由香は「よせよ、バカ。誰かに・・・」と、見回したけど


だーれも居なかった。



愛紗は「みんな、指定席取ってるの」


菜由は「やっぱ、ビジネスマンだからか」


「ネット予約だと同じ値段だし」と、愛紗。


由香「そうなんだ?」



友里絵は黒い掌を見て「おじょーさん、黒いねぇ・・・だいぶ使い込んで。

いひひひ」(^^;



菜由は「だいぶ、溜まってたみたい」(^^;



由香「はははは」



友里絵「石川さんが?」



菜由はちょっと赤くなって「そんなこと言ってないよ、バカ」。



愛紗は下向いて、くすり、と笑う。



由香が「でもさーぁ、一週間ひとりだとさーーー。」と、語尾を長く。


友里絵は「しこしこしこ」と、歯をだして。にっか。



菜由は「四股だろ」と、ドヤ顔。



友里絵は「ひっかからんなー。」



菜由は「主婦をなめんなよ」


友里絵は「舐める趣味はないよ、そんな臭い・・・。」と、言いかけた時


列車が立野に着いて。


友里絵「降りようっと。」


由香は「あー、助かった」

菜由「ちゃんと洗ってるぞ」


愛紗「・・・・・。」


一同、どたばた・・・と。降りる支度。(笑)。

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