第228話 ちんちーん

おばあちゃんのひとりと、手をつないで。

かわいい坊や、にこにこ。

まるいお顔、あかいほっぺ。


友里絵は、ぼうやに「どこいくのー?」


坊やは、かわいい指をさして「あっち」



友里絵もにこにこ「そっか、あっちかー、いいね、おばあちゃんと一緒」


ぼうやもにこにこ、こっくり。


ちょこちょこ。




おばあちゃんも、にこにこ。、ぼうやと一緒に、向かい合わせシートに。





由香も「かあいいねえ」



菜由も「うん」



友里絵「赤ちゃんほしー。」


由香は「そー言ったんだよね。あん時」



友里絵は「うん」



菜由は「深町さんに言ったんでしょ?」



友里絵「そう」



愛紗は「なんていわれた?」



友里絵「うん、かわいいね、赤ちゃんって」



菜由「そんだけ?」



友里絵「そう」



由香は「そういう感じ、あるねー。なんか、ふつうと違うと言うか・・・。」



友里絵「はやく、にんげんになりたい!」


由香「それは前もやったろ」


友里絵「そっか」



愛紗は「普通の男の人だと、なんか、気を回すかも」




友里絵「なーんていうか、ね。トトロみたいね」



菜由「うん。似てるかも」



友里絵は、また、トトロの歌を歌いながら。

時々間違えながら。



車内を見回して。空いてるけど


「どこがいいかなー。」





駅のアナウンスが入る。

このあたりは、さすが、優等列車。


ーーー9時発、特急、西鹿児島ゆき。

まもなく発車致しますーーー。



ちょっと歪んだスピーカーの音が、懐かしい。




発車ベルは、無いみたい。





さっき、たまて箱の煙が出たドアが

かしゃり、と閉じて。



エア・ホーンが軽快に。 ふぁん、と。


このあたりは、普通列車と同じ。



ごー・・・と、エンジンが回転を上げて。

屋根から煙がたなびいていく。




指宿の駅が、離れていく。




床下からは、レールを踏みしめる音。



がっ、たん。


がっ、たん。


がたん。

がたん。


がたん。



すこーしづつ、速度を増していく。



「みーんな、思い出になっちゃうね」と、友里絵。



「いい思い出だね」と、由香。






草が生えている線路際と、砂に埋まった枕木と。



ゆっくり、ゆっくり。ディーゼルカーは進んでいく。






「なんか、たーべよっかな」と、友里絵は

さっき買ったお菓子を、がさごそ」



ちょこばななを、出して。「いっただっきまーす」


あんぐり。






さっきの坊やが、ちょこちょこ。

歩いてきて。


にこにこ。




友里絵は「半分、食べる?」




おばあちゃんがついてきて「ほれほれ、だーめよ」と、にこにこ。



坊や、いやいや。



「かわいいね」と、友里絵。



菜由「チョコはダメかも」



友里絵「そうなの?」



由香「うん。なんか、聞いたことある。」




愛紗は「他のにすれば?」



友里絵は「そーだなーあ・・・」と、お菓子の袋をがさごそ。




ミルクキャラメル。



「これは?」と、友里絵が差し出すけど。




ぼうや、友里絵が持ってるチョコバナナが気になるらしい(^^)。




「じゃ」と、友里絵は

チョコを外して。バナナだけ。



「これは?」と、出すと


坊やは手を伸ばす。



「よーしよし。これならいいのかな」と、友里絵は

バナナを上げて。


チョコは自分で食べた(^^)。



「かーいいね、やっぱ」と、友里絵。







列車は、スピードを少し上げて。

トンネルをくぐり。



海岸線へ。



岬の向こうにある、KKRももう見えない。




さよなら、指宿・・・・。








「ぼうや、どこいくの?」と、菜由が話しかけた。



おばあちゃんは「まだ、うまくお話ができないの」



「そっか」と、友里絵。



おばあちゃんは「路面電車に乗りにいくの」




由香「電車が好きなの。男の子だねー。」と、にこにこ。


坊やもにこにこ。



友里絵は「おひざに、おいで?」と、自分のおひざに。



「けっこ重い」と、友里絵(^^)。



おばあちゃんは「ちんちーん、ってするんだよね」と、にこにこ。


友里絵は「ちんちーん」と、言うので



由香は「オマエが言うと、違う意味に聞こえるかも」



友里絵「ベルでしょ」



由香「そうなんだけどさ」



菜由も、くすくす。



友里絵「坊やも、ちんちーん」



由香「なーんか、違う事言ってないか?」



友里絵「別に」



菜由「ははは」

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