第198話 イッシーちゃん

「いい事したのに。」と、友里絵。


愛紗は「でも、会社に言ったら、会社も困るよ」


菜由は「規則って面倒だね」



由香は「しょーもない、逃亡者。」


友里絵「リチャード・キンブル」


由香「金ぶる?」


友里絵は「ちゃうよー。欲求不満かいな」



由香「あんたと一緒にせんといてー。金がなーんで欲求不満なんじゃ。」



友里絵「あ、そっか。ははは。」



由香「あんたが不満なんじゃろ」




・・・楽しいお友達(^^)。シーリアスになんなくて済むの。

と、愛紗は思う。




真面目に考えても仕方ないものね。




菜由「でーもさ、緊急避難だったね。人命救助でしょ、あれ。新聞によく載るね。

乗客がバスを停めたとか」







大岡山でも、同じような事があった。

歩道のないトンネルの中に迷い込んでしまった旅行者が

ローリングバゲッヂを、転がしながら歩いていて。


それを見かねた深町が、バスに乗せてトンネル外まで運んだ。

勿論、無料である。


感謝の気持を、会社にメールしてしまったので・・・・。


深町は責任を問われた。


ただ、運行指令も社長も喜んでいたが。



この時は岩市も「ばーか、料金取れ」と、行って

笑っていた。


岩市にも、人の心はあるのである。




この時、国交省に届出無かったが

幸い、見つかる事は無かった。



法律上は、停留所でない所で乗降は出来ないし

トンネル内は駐停車禁止場所である。




(だが、人命尊重である。道交法の基本理念からして

これは、法に則った措置であるので・・・国交省に届出ても

不問になった、と考えられる)。










池田湖沿いに、お土産屋さんがいくつも。

果物とか、野菜とか。筍とか。きのことか。

長閑な雰囲気。



見てても和む。




「TVの取材受けたりしてねー。


新聞によりますとー、バスガイドの日生愛紗さん(21)は

旅先でー。

バスの乗客を危険から救ったんですー。」


と、友里絵は、レポーターみたいに(^^)。



「ウィークエンダーかいな」と、由香。


友里絵「♪ちゃっちゃらっちゃちゃー♪」



菜由「あんたら、ほんとに芸人になったほうがいいわ」




愛紗「今晩出るんでしょ?お宿で」



友里絵「えー、あのおじさん達、今日も泊まるのかな?」



由香「それはわかんないけど」





「まあ、ガイドだったらほんとにワイドショーが来るよね。

『美人ガイド、人命救助』とか」と、菜由。


「美人じゃないよ。ガイドでもないし」と、愛紗も笑う。




「かわいーもんね」と、友里絵はにこにこ。



「ありがと。」と、愛紗。




でもまあ、TVに出たら・・・父に見つかっちゃうし。なーんて思ったりもした。




「イッシーでるかな」と、友里絵。


「朝か夜だよ」と、由香。


「イッシッシ」と、友里絵。


「それはさっきもやったぞ」と、由香。



「イッシー三宅」と、友里絵。


「それは古い」と、由香


「イッシー坂本」と、菜由。



愛紗「誰だっけ?」


「なんだっけ、かせたいしゅー。」と、友里絵。



「貸せ体臭?」へんな名前。と、由香(^^)。



「下着レンタルかな」と、友里絵。



「わっはは」と、由香。



「オトメの下着貸します」と、友里絵。



「誰がオトメなんだよ」と、由香。



「わかんないって」と、友里絵。



「そりゃそうだな」と、由香。




湖畔に、とととと・・・と、友里絵は駆けて行って。


「いないなー。イッシーちゃん。


『おーい、イッシーちゃーん』


 ・・・こないねぇ」



果物売りのおばさんが「面白い子だねぇ」と、にこにこ。



由香は「ほっといてください。少しヘンなの」と、笑って


「これー、友里絵。人が見てるでしょ」



愛紗も、友里絵が一緒だと、楽しい。

悩まなくていいの。


いいお友達ができて、よかった。



そんなふうに思う。

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