第74話 バスのこれから

今は、御殿場線となっている、かつての東海道線と

ここで合流するので、以前はここで機関車が付け替えだったから

停車する事になっていたが


今は、通過である。


静岡まで無停車。



「ああ、楽しいなぁ」と、夜の雰囲気になった

車窓を楽しみながら、しばし現実を忘れる愛紗だった。



旅ってほんとにいい。



「仕事も、家族も要らないなぁ」



維持するのって、面倒。




「働くなんてしなくても良いならね」


愛紗自身、なんとなく従っていたけれど

あったかい南の島で、果物が自然に生っているところで

働かないでのんびり暮らしたいなぁ、なんて思ったりもした。




その頃、大岡山では由香と友里恵が、勤務を終える頃だった。


「ねぇ、聞いた?女子ドライバーの話」


と、友里恵。


由香は「ああ、短時間になるって」



それは、国の方針。


バスドライバーが減っているので、中番だけでも


賃金の安い若者と女子に任せようという考え。



もともと、バスドライバーの勤務が長いのは


賃金が安くて、ハンドル時間しか給料にならないという

ヘンな制度のせいだったりする。



普通の会社並みに、朝から夕方まで

出ていれば給料になるなら、そこまでしなくていいのだけど。



それで、そういう安い賃金でも困らない人を

中番専用で雇おうと言う(以前から東山ではあった)。



「それって、やっぱり愛紗がコケたからかな」


と、友里恵。


由香は「そんなことないんじゃない?国だもの」





指令だってね「お前らは大丈夫」って私達のことは

言ってたから。



「それって喜んでいいのか」



「わはは」


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