第35話 姿なき殺人犯
愛紗は回想する。
最初、お掃除のおばさんが
深町を怖いと言っていたのは
見抜いていたのかもしれない、と。
本当に、岩市を道連れにして死ねばいい、と
思っていたのかもしれない。
自分が死亡事故を起こして、責任逃れで
死のうとするなら。
連帯保証人や、家族が困るのに。
そういう奇妙な冷徹さが、愛紗を
なんとなく引き付けるところでもあったし
友利絵や由香も、そうなのだろう。
そして、先輩の女子ドライバーたちも。
有馬も、野田もそんな風に思っているのだろう。
友利絵「でも、お父さんは犯人探してね。すぐ見つかったから。学校を辞めた奴って
そいつだけだから。
痩せこけた、眼鏡でね。一見優しそうだけど
目が怖い。表情がない。
学校でも気持ち悪いって女子に言われてて。」
愛紗は、なんか胸騒ぎして「お父さん、どうしたの?」
友利絵は「まあ、未遂だったからね。それでも
ぶん殴ったよ、半殺しだった。お父さん怖いからね。本当にしてたら殺してた。多分。」
愛紗は、なんとなく怖いけど
その位でないと大岡山じゃダメなのかな。
とも思った。
守られてちゃダメなんだ。
由香が、遠くから「終わったー。あ、愛紗。」おつかれー 」と、にこにこ。
ねね、何の話?ってにこにこ。
友利絵が、ほら、中学の。時のと
教師の名前を言うと
由香は「あー、あいつかー。友利絵に椅子でぶん殴られて、おまけにおちんちんは折れるし」と言うので
愛紗も笑ってしまった。
友利絵は「折れてないよ。骨ないもん」と、詳しい。(笑)。
由香は、更に「椅子で殴られて、頭の骨がおかしくなって重傷。入院した。脳もいかれたらしいよ。元々おかしいんだけどね。生徒襲う教師なんて。死ねばいい」
友利絵は「お父さんもそういってた。そんな男は殺していいんだ。生かしておくから
世の中が悪くなるんだ」
愛紗は、怖いと思ったけど
確かにそうかもしれないと思う。
無謀ドライバーも、おばあちゃんを轢きそうになったり。
ああいうのも一緒かも。なんて思う。
由香は「たまちゃんも言ってたらしいね、そんな風に。」と。
友利絵は「ああ、コンビニでね」
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