機械と人間

でも、ルーフィのコンピュータには

その場所が、示されている。

重力場が違っている。との情報。



「だとすると・・・。」


それが、やはり・・・・。




ルーフィは、空間移動を試みた。



座標を、きちんと定めないと

物体の中に、入り込んでしまう。




空間座標・・・・。



結構、大雑把な魔法陣なので


狭い空間に合わせるのは、難しかった。



世界地図で旅行をするようなものである。



時空間を旅するには、そのくらいの

ものでないとダメだったりして。



「改良の余地はあるな・・・・。」




と、運任せで(笑)


屋上から1階へ、移動を試みた。








軽い衝撃を感じ、天井に頭を当てたものの


めぐのいる小部屋に、移動する事は成功した。



「しかし・・・・でもなぁ」


絨毯に転がっている絵本。


「ゆきのひとひら」と言う


確か、昨日クリスタさんが

子供達に読み聞かせていた、絵本。





ルーフィは、絵本を手に取って。


「どこにも変わりないけれど・・・。」



と、よく見ると。



白い綿雲に、くるまって

眠っている2次元のめぐを見、驚いた。




「なんと。」



状況は、なんとなく理解できた。


魔法の使い方を間違えてしまったのだろう。



でも、あまりに快さげに

眠っているめぐを見たルーフィは



「朝まで、寝かせとくか・・・・。」



どの道、開館は9時なのだ。





と、ルーフィも少し疲れて


その場所で、横になった。



朝はすぐにやってくるだろう。









めぐは、夢を見ていた。



遠い、南の島に旅をして。


ハンモックで寝ていると、その

ハンモックを、風が揺らす。


その風は、なんとなく愛おしむような

優しさに満ちていて。



めぐは、その風が

好きになってしまう、そんな

不思議な夢。




「ゆきのひとひら」を

ルーフィが持ち上げたので


そんなふうに思ったのかも(笑)。



すやすやと、眠ってためぐだった。







ルーフィが、気づいた時は

もう朝だった。



「しまった」と思う間もなく


このお部屋の窓のそばを

ガードマンのおじさんが、制服に

身を包んで。


巡回しているのが見えた。



もし、この部屋の

鍵を開けに来たら、見つかってしまう。




どうする・・・?




廊下に靴音。




しかたないので、ルーフィは

「ゆきのひとひら」を

そのままにして。

元々居た、屋上に戻った。



元の座標に戻るのは、それほど難しくない。




「絵本を書庫に帰しておけば

よかったかな?」


でも、その余裕はなかった。





ガードマンのおじさんは、小部屋の鍵を開けて・・・・。



「ゆきのひとひら」が

床においてあるのに気づいた。



にこにこしながら「子供達が忘れていったんかの」と


つぶやいて。



でも、返すとこがわかりません(笑)。




「あとで、司書さんに言っておこう」



本を手にとって、綿雲にめぐが

寝ているのに気づいた。



けど、おじさんは


そういう絵本だろう。(笑)




そう思って、絵本を

部屋の隅にある机に置いて。



お部屋を出た。



「はて、どこかで見たような・・・女の子じゃな」とめぐの事を(笑)。




思ったけれど、ふつう、それが

2Dになってしまっためぐだとは、思わない(笑)。


それはそうだ。



その日、クリスタさんは初出勤。

すこし早めに、お家を出て


路面電車に乗って、図書館に行った。




入り口で、ガードマンのおじさんが


「ああ、読書コーナーの小部屋に

絵本があったよ」と

にこにこ。


クリスタさんは「あ、すみません」と。


にこやかに礼を述べ、ロッカーに行く前に


小部屋に向かった。


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