第53話 科学と魔法が交わる時 3

 魔法の力を目にしたときにはステラは理解した。トリックがあるわけでもなくステルス兵器によるものではなく、自分達が使用しているありとあらゆるものとは根本的に違う技術を使っていると。

「このモンスターの名はストーンゴーレム。岩を素材として人型にして術者が自由自在に動かすことのできる存在です」

「ゴーレム……。このゴーレムには意思はないの?」

「ありません。リバースには野生のゴーレムはいますが、このゴーレムはあくまで岩を形取り動かしているだけ。そちらでいうロボットなど同じかと」

「なら、容赦しなくていいわけだ 

「ですが、あのモンスターには再生能力があります。ですので、私の水術とあなたの武器で協力して倒したいのです」

 術を使うにもステラがビームガンを撃つように、空を飛ぶようにエネルギーを消費する。さらに女性は無理矢理フロントサイドで魔法を使えるようにしている状態。

 過度にエネルギーを使ってしまえば帰れなくなってしまう。そのため、水術により岩に水を含ませ再生できない状態を作り出しステラに破壊してほしいというのだ。

「どこまで壊せば機能を停止できるんですか?」

「岩を形成するためには二つ方法があります。術者が近くで魔力を供給し続けるか、魔力の入った宝石を体内から見つけ出し破壊することです」

 女性が言うには相手の魔法使いはステラの仲間から逃げようとしてゴーレムを出現させたと予想した。そのため宝石を破壊するのが手っ取り早いという。

 ステラはSoraシステムがしよう可能であることを確認しビームソードを二本取り出し戦闘態勢に入る。

「では、援護を頼みます!」

「お任せを!」

 ゴーレムは近くの岩をつかみ粉々にするとステラたちへと勢いよく投げつけた。

 すでに岩では破壊されると理解をしていたのだ。

「Soraシステム起動! 青の翼を!」 

 既存のエネルギーと太陽エネルギーを同時に放出。そこから生み出される高出力のエネルギーは青い輝きを放ちながらスラスターから放出される。

 それはまさしく青の翼。

 出力を微調整させることで自身と女性をゴーレムの攻撃から守った。

「これが科学……。伝え聞いていたよりもとても美しい……」

 女性は青い翼に目を奪われていた。

「仕掛けますよ。水で再生力を奪ってください!」

「はい!」

 女性は呪文を唱え、乾いたこの大地に水を発生させゴーレムの体全体を濡れさせた。

 ステラは二本のビームソードで次々と斬っていく。

 再生力がある内は相手の反撃を恐れ思うように動けなかったが、攻撃が通用するとなれば話は別。繊細かつ怒涛の攻めでゴーレムの動きを封じ胸の中央にある光輝くものを発見した。

「それが宝石です! 破壊してください!」

 宝石をビームソードで一刺し。

 すると、光がいっそう強くなりステラを吹き飛ばすほどの大きな爆発を起こした。

「バランサー異常無し。姿勢制御! スラスターを調整して……。ってさっきの人は!?」

 爆風の影響で女性は崖から落ちていたのだ。

「生体反応と熱源をダブルサーチ! ……あそこか!」

 落下中の女性を発見し青の翼の出力で一気に接近。女性を受け止め近くへと着陸した。

 女性は地に足をつけるとまだ脚が振るえていた。

「飛ぶの慣れてませんので脚がまだ震えて言うことを聞いてくれませんね」

「急にいなくなったからびっくりしましたよ」

「まさかあれほどの爆発が起きるとはこちらも予想外でした。普段は剣などで破壊してますので」

 何はともあれ無事にゴーレムを破壊し女性が魔法使いであることも理解した。

 しかし、このまま放置していいかステラは疑問だった。

 サマーフェスティバルにおいてリバースの力により都市は破壊されかけた。それはフロントに潜むリバースの者がどこかで暗躍しているためだ。

 この女性が繋がってないとは言いきれない。だが、ステラはこの女性に対し疑いの念をかけられずにいた。

「あなたは優しい人なのですね。見ず知らずの私に背を預けさらに助けてくれるなんて」

「直感みたいなものです。信じても大丈夫って」

「その審美眼、大切にしてください」

 すると、ステラの通信機にノイズが走った。わずかにリリーカの声が聞こえる。

「リリーカが近くまで来てる」

「お仲間さんですね。……その、約束してほしいとは言いませんが、私のことはお仲間に伝えないでいただける助かります」

「事情があるんですよね」

「はい……」

 女性の目は殺意や悪意や憎悪の目ではない。

 何かを成し遂げるという使命を持った目だ。

「わかりました。幸い、ジャミングの影響で今回の戦闘は観測されてません。それに、このドレスのデータは私が保管すればいいだけですから」

「ありがとうございます!」

 女性は深くお辞儀をした。

「ステラさんでしたね。その名前、覚えておきます。私はまだ名を名乗れませんが、一つ仮の名を伝えておきます。エルピス。それが仮の名です」

「覚えておきます」

「あ、一ついい忘れていました。フロントの異常な生物実験、私はあれを肯定できません。あなたがそれを肯定する人間でなければまた協力できるでしょう」 

 そういうと杖を振りその場から姿を消した。

「魔法ってなんでもありなのかな……。それに異常な生物実験てなんだろう」


 その場、リリーカと増援に来たソレイユやルナ、ヤマネたちと合流。

 約束通り今回の件は突如現れた岩の巨人の襲撃ということでごまかした。

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