第52話 科学と魔法が交わる時 2

「リリーカ、大丈夫!!?」

 リリーカに通信を入れるが返事はない。

 ジャミングされているようにノイズが走っている。

「あの、ここにいてください! 様子を見てきます!」

 ステラは浮上しリリーカのほうへと向かった。

「もう近くまで来てしまったのですね……」

 

 ステラはリリーカのところへ駆けつけると、そこでは目を疑う光景が広がっていた。

「な、なにあれ……」

 そこには岩が人型に変形し一つの生物のように動いていた。

 その大きさ7メートル。一撃でも食らえばただでは済まないのは明白だ。

「ステラさん! 通信状況が悪い中よく駆け付けてくれましね」

「あれだけ大きな爆発音を聞けばすぐいくよ。いったい何があったの?」

「崖の上に立つ不審な人物がいたので話しかけたら、急に光を放って目くらましをしてきたんです。その隙に紋章ののような光を地面に刻みそこからあの岩の巨人が現れたのです」

 爆発音は岩の巨人が峡谷に岩を破壊した音だった。

「あれは生物? それとも兵器?」

「わかりませんわ。あんなの聞いたことも見たこともありませんわ」

 異様な現象、異様な光景。

 通信が入らぬ状況で岩の巨人と交戦するのはまずい。

 以前の巨大イカの時はミライがミソラとラニを呼んでいなければ危ないところだった。ステラはいまここで交戦するよりもまずは仲間を呼ぶことにした。

「リリーカ、全速力で通信できる場所まで移動してこの状況を伝えて。その間私が見張っとくから」

「大丈夫ですの?」

「大きいけどこの峡谷なら身動きは取りづらい。それに上がってきても私は空にいるから届かないよ」

「そうですわね。ステラさんの技量を信じて行ってまいりますわ」

 リリーカは峡谷からどんどん離れていった。

「さぁ、どうしたものかな。まだ敵意を示してこないから様子見をしようかな」

 そうしていると岩の巨人はおもむろに近くの岩を持ち上げ、それをステラを狙い投げてきた。

「やばっ!」

 岩のサイズはそれほど大きくはなかったがもし当たっていればひとたまりもない。

 岩の巨人は目と思われるくぼみを光らせステラをジーっと見ている。

「あれは私を狙っている。敵意などではない。誰かに指示されているような。無人機の動きに近いものだ」

 ステラはビームガンを取り出し再び投げられた岩を破壊した。

「生物じゃないなら撃っても問題ないはず……。でも、区別がつかない……」

 すると、岩の巨人は峡谷の壁をよじ登りはじめた。

「あくまで私を狙ってくるつもり……。なら、やるしかない」

 岩の巨人は壁をよじ登りステラと同じ一までやってきた。ステラを黙視するとすぐにその大きな拳でステラを掴もうとした。

「そんなとろい動きでスカイドレスは捕まえられないよ!」

 後方に下がりながら大きな手にビームガンを連射し破壊していく。次々と大きな手は瓦礫となり崩れていくが、撃っても撃ってもその手の大きさは一定を維持し破壊しきれない。

「ど、どういうこと? 確かに壊してるのに……」

 ビームガンのチャージのため下がりつつ攻撃を止めるとその正体に気づいた。

 岩の巨人は壊れてすぐに周りの岩を使い即座に再生を行っていたのだ。

「岩があるかぎり再生されるならここじゃ打つ手がない……」

 あまりにも部が悪すぎると判断したステラはどんどん後ろに下がるが手はどんどん距離を詰めてくる。

「腕を周りの岩を利用して伸ばしてるというの!?」

 腕だけではなく手のひらすらも大きくなり、一握りでスカイドレスごと潰せそうなほどに巨大化してしまった。

 その時、先程のローブの女性が現れ岩の巨人に杖を向け唱えた。

「自然の恵みよ、今こそ隠された残忍さを表にだせ! 水術、水刃衝波アークアシュナイデン!!」

 水の衝撃波が現れ岩の巨人の腕を切り刻んでいく。不思議なことにその攻撃で破損した箇所は岩がくっつかず再生されない。

 そして、それ以上にステラが驚いたのは、何もないところから高圧の水を発生させた女性の力だ。

「これが、魔法の力です」

「魔法……。本当にあるんだ……」

 あまりの衝撃にステラは驚きを隠せなかった。

 

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