第27話 人智を越えた力

「おかしいなぁ……」

「ララァ、はやくして~。退屈~」

「だったらロロも手伝ってよ!」

「え~、まぁ仕方ないなぁ」

 ララァたちは待てども待てどもレースが始まらないため都市と連絡を取ろうとしていたがまったく繋がらず一旦集まって話し合っていた。

「都市で何かあったのかもしれない。なんとなくだけどそんな予感がする」

 なんの根拠もないモエの言葉だったがララァは嫌な予感を感じみんなに指示をした。

「みんな! 都市へ、スカイシティへ向かうよ!」



 ステラはリカを病院へつれていくとそこには人だかりが出来ていた。

「爆発で負傷者が出てるんだ……」

 今回の事件に半分は関与しているであろうリカを学生の権限で先に手当てして貰うのはさすがに良心が痛むと感じたステラは急いで学校へと向かった。

 すると、前からハルコとミライがやってきた。

「ステラ!!」

 リカを抱えたステラの姿を見てミライは驚いた。

「ミライ! 戻ってきてたんだね」

 近くのビルの上に降りて事情を伝えた。

「私ね、リカが爆弾を使ったとは思えないの」

「私もそう思う。おそらく爆弾の犯人はこの個のお父さんだよ」

 リカの父は爆弾作りのスペシャリスト。システム開発も請け負う小さな会社だがその技術力は大手を圧倒するほどだ。

「さっきハルコさんに聞いたんだけど、リカのお父さんはリバースの人間とどうやら関わってたらしいの」

「リバース……?」

 先程リカも言っていたリバース。ステラはそれが何なのか知らなかった。

「1年だからまだ知らないよねー。リバースってのはこの星の裏側いる人たちのこと。私たちフロントは科学と不思議な鉱石の力で生活してるけど、リバースは手から炎飛ばしたり獣に変心したりとんでもない力を持ってるにんげんがいるんだよ」

「そ、その人たちとリカのお父さんが関わってると何が問題があるんですか?」

「リバースにはフロントを制圧しようとしてる組織があると言われてるの。人智を越えたリバースの力。規格外のものがフロントに入れば世界のバランスが崩れてしまう。だから、リバースとフロントはお互いの物資の共有を不可能してたの」

 しかし、リバースの人間はフロントに入り込みその強力な力を水面下で広げていた。技術はあるが力のない企業や人間に向けて世界に反旗を翻させリバースの力とするためだ。

 小さな物体から建物を崩落させる力を産み出し、時には海を裂き大地を割る。それがリバースに秘められた力だ。

「あの、スカイタワーの上に黒いキューブがあったんです。そこから手のひら暗いのキューブが出てきて教室くらいなら破壊できる爆発がおきました。もしかしてあれって」

「たぶんリバースの力だね。リカのお父さんミケルマンはこの都市で青空学校や軍に提供する爆弾を作ってた。でも、青空学校や軍は爆発物の製作を別の企業に依頼し始めたことでミケルマンの工場は閉鎖になった」

「それで調べてみたらミケルマンがここ最近で都市ないで不審な取引をしてることがわかったの。その相手がリバースの人間らしいの」

 そのことを聞きステラは少しずつこの事態の理由を理解し始めた。

 「家族で向いてる方向が違うなんて……。ミライ、リカのお父さんがリバースと取引をし始めた時期とリカのお姉さんがなくなった時期、それに学校内でドレスの不調がおき始めた時期を調べて」

「わかった!」

「ハルコさん、私は気になることがあってそれを探したいのでリカを学校の医務室へ運んでもらっていいですか?」

「まかせてっ!」

 ミライは学校から持ち出しデータで調べハルコはすぐにリカを抱え学校へと向かった。

 ステラは通信が使えない状態のためまずは直接ソレイユを探すことに。

 いろんな場所を飛び回るが都市は驚くほど広くレーダーや通信なしでは相手の位置を探し出すことは難しい。

 裏路地で通信できないかと着地して確認するがやはり誰にも繋がらない。

 すると、誰にも繋がらなかったはずなのに突如男性の声が聞こえ始めた。

「君がミラージュを落とした少女か」

「だ、誰!?」

「君の学校にさまざまな技術提供をしてたものさ」

「ミケルマン……!?」

「ほぉ、知っているのか。俺は君の学校へ復讐をする。娘が死んだあの日から全てが崩れた。しかし、今は……とてもいい気分だ。君らマスターが何をしようと破壊することの出来ない最強の爆弾を作り上げた! フィナーレは近いぞ!」

「もしかしたらスカイタワーのあれが!」

「臆することはない。俺は君に相談するために話しかけた。君はキューブを見つけ真実へ到達しようとしている。だが、その全てを誰にも言わずこの都市から離れると言うのならそれまで爆発は止めてやろう」

 ミケルマンは口では言わなかったがステラはハルコたちやリカが言っていたリバースの力を持っていることを理解した。

 多くのマスターやパイロットがいるなかでこれだけの自信が保てるのはそれほど強大な力を保有していると言うこと。

 しかし、例えどんな力があれど本人はひ弱なもの。捕まるリスクは消したいと言うことだ。ステラを残すのは恩情か何か策があるのかわからないが少なくとも都市ごと消す用意は出来てると言わんばかりの口振り。

 ステラはあっさりこう返した。

「犯人がほぼ自白して爆弾の所在地がわかってるのならやることは一つしかない! 私が爆弾を破壊する!」

 考えることなど一切ない。

 自身の理を通すために人を犠牲にすること完全に否定するわけではないが、このやり方には納得がいかなかった。もちろん、リカのやり方にもだ。

 見ている先は違えど、目的は違えど、そんな二人のおろかな選択を理解させるためには騒動の無力化こそが最大の解決だとステラは思った。

「親子揃って間違いを正して上げる! 空のマスターはこんな程度で根を上げたりしない!」

「一人ぐらいは絶望の目撃者にしてやろうと思ったが仕方ない。スカイシティごと消えてなくなれ!」

 その瞬間、各地で小規模な爆発が連続して起きた。頭上を小さな黒いキューブが大量に通過していった。

「さぁ、時間はないぞ! せいぜいあと5分と言ったところだ! 通信妨害で仲間を呼ぶことも出来ないだろう! 一人でどうにかして見せろ!」

 ステラは通信を強制遮断し発信も受信もできないようにした。

 時間がない。

 一人でキューブを破壊することにした。

 勢いよく浮上し迫り来るキューブの大群に左腰のハンドガンを放った。エネルギーをチャージし発射するとそれはビームだった。

「人間相手じゃなければビームショットも使える!」

 スカイタワーの一番上にあるキューブが都市を破壊する大規模爆弾だとステラは直感していた。

「人智を越えた力だろうと、人々から希望を奪うものは許しちゃおけない! それを空から降らすなんてもってのほか! 私が、私がやらなくちゃ!」

 ステラはスカイタワーへと向かって全速力で飛んだ。

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