第26話 一筋の光になれ

 リカはステラの言葉に小さく頷くがその精神は弱りきっていた。

 リカのスカイドレスミラージュは近距離中距離の戦闘や遠距離攻撃の盾になれるよう特殊な加工が施されたドレス。

 ステラのスターライトはバランス型になってるために一対一の対面では武装面に置いても不利だった。

 ミラージュはレイピアのようなソードを取り出し高速で突きを放つ。

「すぐに助けるから!」

 そういうがミラージュの動きは人間が着ていること考えてない無茶な動き。想像を越える速さの攻撃にステラもうろたえる。

 うまく近づいても強烈な蹴りでまた距離を離される。離されるとアタッチメントで連射できるようにしたハンドガンで追撃。

 ステラは防戦一方だった。

「何か武器はないの!」

 アイシールドモニターで武装をチェックすると脚パーツに近距離用の武器が仕込まれていることがわかった。 

 選択すると脚パーツから射出され手元にやってきた。刀身のない手元のみの武器だ。

「これでどうすれば!?」

 スターライトのエネルギーが武器に供給されビームの刀身が姿を表した。 

 黄色の光は形を保ち熱を帯びている。

「ビームソード……!」

 ミラージュはステラを引き寄せるためにワイヤーを射出した。通常のナイフならばワイヤーを弾く程度だが、ビームソードはワイヤーを切断できる。

「これならドレスを破壊してリカを助けられる!」

 ぐったりとした表情のリカ。

 あまりにも激しい人間離れした動きに激痛を感じているが、もう声を出す力すら残ってはいない。

 ただただ意識を保っていた。

「出力を調整して刀身を細く! ピンポイントで破壊する!」

 ミラージュの攻撃を交わしスラスターを切ろうとした瞬間、隠し腕が現れたステラの腕を挟んだ。

「隠し腕!? そんなギミック程度でッ!!」

 手首をひねり隠し腕を斬ろうとするがそっちに気をとられてるとステラの腹部へとパンチがヒットした。

「うぐっ……。ま、まだ!」

 隠し腕を切断したが腹部を損傷。胴体パーツの破損具合から再び恐れが戻ってきた。

 ステラはシミュレーションや模擬戦において負けなし。模擬戦に関しては傷つくこともなかった。

 しかし、それこそがステラの弱点。

 傷つく経験をしていないと言うことは痛みに対しての恐怖がほかよりも大きい。

 模擬戦ならまだいい。だが、これは実戦。ここで恐怖に押し潰され退いてしまえばあの強力な蹴りが骨を折るだろう。強力なパンチが肋を砕くだろう。レイピアで体を貫かれるだろう。

「うっ……た、助けないと……」

 常人なら一歩退いてもおかしくないそんな状況かでステラは下がらなかった。

 ステラもまだ少女だ。特別な経験を詰んだ訳でもない普通の少女。だが、下がらない。

 それは、大好きな空にいるからこそ。空を信じてるからこそ。空を味方につけてるからこそ退かなかった。

「リカ……。1分、あと1分間だけ耐えて!」

 ステラはスターライトのスラスター出力を上げる。ソードを構え攻撃体制に。

「星明かりのと名乗るなら。みんなを助ける希望の光になって見せて!!」

 スターライトの装甲に走るラインが黄色く発光し始めた。

 全速力を出しミラージュに突っ込む。

 ミラージュはカウンター気味に攻撃を返すがステラのうまく交わされる。通りすぎさまに左こぶしをミラージュの胴体に叩き込む。

 リカにダメージが入ることはステラも理解している。だが、ステラには手段を選んでる余裕はない。ステラは追撃せずに都市のほうへとむかった。

 ミラージュは同じく全速力でステラを追う。

 ビル郡を駆け巡りミラージュの攻撃を交わしながらステラは風を感じた。

 目指す場所は都市最大の建物スカイタワー。その高さは約1000メートル。

 その真下まで来るとタワーに沿うように急上昇。ミラージュも追いかけるが徐々に離されていく。

「思った通りだ。このスターライトは空高く飛ぶ時にほかのドレスよりも速い!!」

 その勢いは止まらない完全にミラージュ引き離し先に屋上へ。そこには屋上にサッカーボールほどの黒いキューブがあるのが見えたが今はミラージュを倒すのが先。

 ステラはピタリと止まり瞬時に急降下。

 体にはいままで感じたことない圧がかかり気を失いかけるがしっかりとミラージュを捉えすれ違い様にスラスターを切断。

 ミラージュが反応できないほどの速さで上がり相手がトップスピードを維持した状態のカウンター。

 例え予見できても回避するのは難しい。

 ミラージュは頂点まで達するとリカから外れた。落ちてる来るリカを受け止めステラはスカイタワーの屋上はと着地した。

 リカはか細く柔い声で言った。

「早く……降りて……」

 それはリカが振り絞った最後の警告。

 すると、先程発見したキューブから次は手のひらサイズほどのキューブが現れた。

 その時、スターライトのアラートがなり始めた。

「爆弾を検知してる……。まさか!?」

 スカイタワーの屋上で爆発が起きた。


 間一髪でリカをタワーの外に放り投げステラはエナジーシールドで防御。

 キューブのことも気になるが先にリカを助けに行った。

 リカを受け止め抱き寄せゆっくりとビルの上へと着地。ほかの人へと通信を試みるがまるでジャミングされているようにノイズで使い物にならない。

 すると、リカが言った。

「リ、リバースの……力……。フ、フロントには……。どうしようも……で、できない……、逃げて……!」

「リバースってなに!? キューブのこと!? それに爆発の犯人がどこにいるかまだ聞いてない!」

 ステラの呼び掛けも虚しくリカはもう喋らなかった。

「いったい今から何が起きるの……」

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