第24話 星の贈り物 

 ミライが慌てて格納庫へ向かうとそこは火の海と化していた。

「この臭い……ガスだ!」

 居合わせたマスター科の生徒と教師が消化活動にあたっていた。

「みんなどいてー! ホース引っ張て来たから一気にいくよー!」

 3年第一航空隊の生徒が自身のスカイドレスで巨大ホースを持ってきて一気に水を放出した。

「だぁー! 少しは加減しろバカがッ! あとでチェックするの俺らメカニックなんだぞ!!」

 下で怒鳴るのは3年第一整備隊の生徒だった。

「そんなに怒んないでよ! カナンがそんなに怒るんだったら水止めちゃうよ!」

「こんな時に拗ねてんじゃねぇ! さっさと火を消せよ!」

「あーもう! 機嫌悪くさせたんだから何かしてくれないと消してあげな~ーい」

「わかったわかった! ウドの店でプリンおごってやるから」

「えっ、ほんと!? わぁい! 消す消すぅ~!」

 ひと悶着起こしたのちに無事に火を消すことに成功し騒動にはならず徐々に人は減っていった。

 ミライは状況をステラたちに報告するために格納庫に入ると先ほどの整備科の生徒に強引に止められる。

「おいおい! ここはあぶねぇぞ。って1年なのになんでこんなとこにいんだ。さっさと出し物に戻りな」

「いや。あの。調べたいことがあるんです、少しだけ入らせてもらえませんか?」

「だめだ。1年を危険にさらすわけにはいかねぇ。おい、ハルコ! この1年まかせるぞ」

「はーいっ」

 先ほどホースで消化していたピンク色のボブカットの生徒がスカイドレスでやってきて軽々とミライを両脇を持ち運んでいく。

「あ、いやあの! 私どうしても調べなきゃならないんですっ!」

「危険なことはカナンに任せればいいの。私たちはゆっくりしようよ~。あ、それか都市まで送るよ」

 下手にいい人たちだから強引に押し切れないミライはとりあえずステラとカコのデバイスに格納庫で爆発が起きたことだけを伝えた。


 帰ってきたミソラとクルミに声をかけようとすると2年第一航空隊の生徒がステラとカコを呼んだ。

「どうしようカコ」

「すぐに終わるだろうし行こうか」

 2年の生徒の名はミカミとなのった。茶色の髪だが目元の付近だけ白い髪なっている。

「あのね、君たちに聞きたいことあるの。さっきのベーシックスカイドレスが爆発したでしょ」

 二人は内密に調査していること話題が出たために警戒し始めた。

「あのとき近くに不審な人とかいなかった?」

「いや、えーっと……」

 動揺するカコ。

 自分の得意分野以外では本領発揮できないのはマスター科とメカニック科ではよくあることだ。

 しかし、ここはステラが一歩前に出て話すことに。

「私たちもそれが気になって探してはいるんですけどまだ何もみつかってないんです」

「そうなの。でも、いまからもベーシックスカイドレスでイベントするんでしょ。危険じゃない?」

「今から少し時間をもらって中を確認します。できれば爆弾の探知もしたいですけども」

「なぜ先生に言わないの?」

「私たちの身の回りで小さな事故が起きていることがわかりました。しかし、それは友人から聞かないと知ることがなかったものばかりです。それにドレスが暴走したというのにすでに誰も気にしてない。隠蔽というと語弊があるかもしれませんが、そんな人たちに話すには人を選ばないといけないと思って」

 ステラは正直に話した。

 嘘が苦手だから下手に取り繕うよりも正直に言ったほうが相手に伝わると判断したのだ。

 すると、ミカミは唖然とした表情でステラを見た。

 まさかそんな言葉が出てくると思わなかったかのように。

「そ、そうなんだ。賢いね。君たちはどうしようとしてるの?」

「できることならあまり大げさにせず内密に事を解決したいです。これだけの人たちが今日を楽しみに来てるんです。もし、今日大きな事件が起きれば明日は中止になるか、みんな危機感をどこに抱きながら過ごすことになる。それは空で自由に飛ぶ私たちが地上の人にそんな窮屈な思いをさせちゃいけないと思うんです」

 ステラのその言葉を聞くとミカミは少しだけ残念そうな表情を浮かべ答えた。

「君たちはあまりベーシックスカイドレスに近づかない方がいい。わざわざ危険な目にあう必要はない。それに、爆破物の件もあまり触れない方がいい。もう手遅れの可能性だってある」

「なにか知ってるんですか?」

「何も。ただ、相手が本気なら爆破物は私たちの手の届かないとこにあるはずってことはわかる。……じゃあね」

 ミカミはその場を去っていった。

 カコはステラのデバイスがなっていることに気づきスカートのポケットから取り出し中身を確認した。

「えっ!! 格納庫爆破されたんだって!!」

「えっ? ってそれ私のじゃん」

「鳴ってたからついね。でも、ミライの送ってきた写真見てよ」

 そこには燃え盛る格納庫が映し出されていた。

 ベーシックスカイドレス用の格納庫だ。

「ガスの臭いが充満してたからかなり計画的だね。――ん? あ、ミライが見たっていう生徒の情報も添付されてる」

「貸して。というより返して」

 画面をみるとそこに映し出されたのは先ほどまで話していたミカミだった。

「リカ……。これが本名。あの人、いったい何をしようとしてるの」



 リカはステラたちのもとを去ったあと、自分のドレスを着て裏路地経由で姿を隠した。

「はぁ……。裏で動かれてるなら向こうが調子づく前にこっちの目的を果たしてやる。そうすれば爆破を防ぐために動ける。お父さんのやり方じゃ犠牲が多すぎるよ……」

 リカはドレスのアイシールドモニターから自身が仕込んだプログラムを強制発動させた。

 しかし。

「なんで? 反応しないっ!」

 その時、リカに男性からの通信が入った。

「だめじゃないかぁ。娘が父親に黙って何かをしようだなんて。それにお姉ちゃんのことならお父さんが解決してあげるといっただろう?」

「お、お父さん……」

 リカは怯えていた。

 声を聞くだけで恐怖したのだ。

「お前にデータの改ざん方法やシステムの作り方とその他もろもろ教え込んだのは誰だぁ? 答えてみろよ」

 震える声でリカは答えた。

「お、お父さんです……」

「正解だ! よくわかってるじゃないかぁ。まさかお姉ちゃんみたいにお前も俺のやり方に文句があるんじゃないだろうなぁ。そうだったらお父さん傷ついちゃうなぁ。どうしようかなぁ。いっそのことを爆弾全部使っちゃおうかなぁ」

「や、やめて! そこまでする必要ないの! ちょっとだけ、ちょっとだけわからせるだけでいい。包み隠さず公にするように訴えることができればそれいいのっ。お父さんのやり方じゃあ無駄に人が死んじゃうから!」

 リカはふと、強い口調で言い返してしまったことに後悔した。

「お前も俺を裏切るのか。お前が協力するというから青空学校に入学させたというのに! 才能があるからよかったものの! お前みたいな臆病者がよくも裏切ったなぁ! 姉の死を軽んじた罰だ! お前は死ぬまで踊り続けろ」

 リカのスカイドレスが勝手に動き始めた。

 それと同時に、すべてのスカイドレスと一度でもリカのスカイドレスとリンクしたスカイドレスの制御が効かなくなり、勝手に動き始めた。

 

 ステラたちはすぐに異変に気付き空中散歩の現場に戻ったがウララとヤマネがベーシックスカイドレスに振り回されていた。

「ステラさん! ドレスが急に動き始めて異常事態ですわ!」

「そうみたいだね。でも、どうすれば……」

 各地で暴走するスカイドレスを止めに入る生徒たち。

 状況はどんどん悪化していく。

 その時、ウララの持っていたかごの取っ手が外れ勢いよくステラたちのほうへ人を乗せたかごが飛んできた。

 ステラやリリーカは避けようとするが間に合わない。

 だが、目のまえに何かが現れかごをキャッチしてゆっくりと降ろした。

「遠隔状態のドレス……」

 そこには遠隔操作状態のスカイドレスがいたのだ。

 本来人が入るところにうまく脚パーツが入り込みコンパクトにまとまっている。

 ステラの目の前にで脚パーツが地面に降り立ち脚の形から開きボードになった。

「スタンバイ状態になってる。私に着れってこと?」

 スタンバイ状態はボードに足を乗せればあとのパーツが自動で装着される

状態。まるでステラを指定するように待っている。

 ステラはこのスカイドレスを知っていた。

「スターライト。また私に力を貸してくれるんだね。……わかった。一緒に飛ぼう!」

 ステラは空中散歩のおかげですでに制服の下にボディスーツを着ているため準備は万端。

 ボードに足を乗せると形状を変化させふくらはぎまでを包む脚パーツへと変化。足は浮力を高めるため靴よりも大きく形状を変える。

 胴体パーツが体に装着され腕パーツに手を通す。

 ふとももや二の腕や髪は露出してるが圧縮されたエナジーシールドが防御する。

「スタートアップ! スターライトはステラで行きます!」

 スターライトがステラを適合者と認識した。

 騒動の鎮圧にかかる。

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