第23話 点と点を繋ぐ

 ステラとカコはレースのスタート地点に行き近くにあるカメラを探してタブレットで映像を確認した。

「スタート直前で観客はすでに端にいたみたい。……これだ、空中映写機が爆発してる。すごく小さい爆発だけど異変に気付いたマスターがすぐに観客の近くでシールドを展開したおかげでけが人はいないみたい」

 カコは一連のことがわかると次はスローにして映像を繰り返した。

「見て! また収束してる!」

「さっきの爆発と同じってことだね」

「でも、なんで映写機を狙ったんだろう。映写機が使われるのがわかったとしてもその中に仕込んで爆破させたとこで何になるんだろう」

「公で事故を起こしたいだけなのかな……」

「……ちょっと気になることがあるからミチが使ってたベーシックドレスのとこに行こう」


 第三航空隊のベーシックスカイドレスが暴走したした際にミチが現場にあったもう一機のベーシックスカイドレスを着て止めようとしたが、ステータスが全体的に下がっており本調子がでなかったという。

 先ほどカコが一度調べているがその時は異常値から正常値に戻しその他の異常がないかを確認しただけ。肝心な作業は行っていない。

 タブレットとベーシックスカイドレスを繋げ内部のデータをくまなく探してみた。

 すると、カコは気になるものを発見した。

「す、すごい……」

 カコはぼそっとつぶやいた。

「どうしたの?」

「これ仕込んだ人天才だよ!」

 興奮気味に、喜ぶように驚くように言ったカコについていけないステラ。

「あ、えっと。わかりやすく説明できる?」

「ごめんごめん。――この部分わかるかな」

 タブレットの文字の羅列を指さした。

「えーっとこれってこのシステムを更新した履歴だよね」

「そうそう。でも、最終更新は一か月前。定期更新のときだね。で、この更新したデータの詳細なんだけどね。何かおかしな点に気づかない?」

「ん~。ちょっとわかんないかな」

 カコは以前の更新データの詳細を画面に写しもう一度おかしな点がないか聞いた。

「あっ、前回のよりも今回の方はデータ量が結構多い」

「でしょ。で、膨らんだデータの詳細はバランサー制御の関連と記載されてるけども実際はバランサーは弄られてない」

 バランサーの詳細画面は前回と何ら変わりない。

「じゃあ、どこにそれだけのデータを?」

「この画面で開発者権限を行使する」

 開発者権限とは製造者が内部にあるブラックボックス。ようはコピー品を作られないために特殊な暗号で見れなくしている領域を閲覧する権利を得ることだ。

 開発者権限は一部のメカニックと2年目からの優秀なマスターが申請することで行使することができる。

「するとね。――ほら!」

 バランサー制御の詳細画面は全く違うものに切り替わった。

「でもこれってなんの画面?」

「この画面そのものは重要じゃない。もうここにはデータはないんだよ」

 ステラはカコのいっていることにだんだんついていけなくなってきた。

 それを兼ねてカコは少し考え説明を始めた。

「不調を起こすためには内部のプログラムをいじるか外部から何かを入れ込むしかない。でも、そんなことすればバレちゃうしメカニックがチェックしたときに対処される。でもね、これは更新するデータ。いわばパッチのほうにそもそも仕込んでたの」

「直すためのものにそもそも悪いものが仕込まれてたってことか」

「そうそう。でも、完成したパッチなんて確認することは滅多にないしそもそも一か月の定期更新てほとんど同じもの使ってるからそっちに仕込まれるとバレづらいの」

「でも、データ量が膨らめな誰か気づくんじゃない?」

「この画面さ。私たちメカニックてあんまみないんだよね」

「えっ?」

「これって私たちメカニック側の怠慢でもあるんだけど、OSの書き換えとアップグレード、新しいシステムの導入ならまだしも定期更新の詳細画面なんて誰も開かない。たまにマスターが待機画面で暇つぶしで見るけどデータ量は端っこのほうに表示されてるから見ないでしょ」

 カコのいうう通り更新画面など見ることはない。

 大幅な変更があれば着る前に事前に報告があるし出番がくればすぐに起動させて実技に入る。先生の準備不足で待機状態のまま待つこともあるがほとんどは起動させて待つ。

「じゃあ、なんでデータは倍あってここに確かに何かがあった形跡があるのにデータはないのか? それはね。時間差で改変プログラムが発動して終わるとすべてがバラバラになってレーダーやモニターなんかのプログラムにまぎれてしまったの。まるで砂のようにね」

「じゃあ、最初は完成形がここにあったけど発動と同時に消えて今は見つけられないってこと?」

「そういうこと。でさ。これってね、メカニックとして凄腕かつマスター側の視点をもってないとできないの」

「どういうこと?」

「詳しい数値はわからないけど、浮力とスラスターとバランサーが一定の数値を超えたときに一定の高度の環境で発動するようにされてる。ようはそれと周りに別のドレスがある環境でね」

「いまいちピンとこないけど」

「ようは不調は起こす気だけどほかのマスターの助けでなんとかなると絶妙なタイミングで不調が起きるってこと。さっきだって爆破物がしかけられたドレスとミチのドレスが両方あるときに不調が起きた。リリーカの時だってステラや4年がいた。きっとこの人、天才だよ!」

 ステラはある程度理解したうえで気づいた。

「じゃあ、それって私たちのとこでも起きるよね」

「あっ!」

 一定の数値がどれくらいかはわからないが常に飛び回っている1年の空中散歩ならいつ起きてもおかしくなかった。

 すると、空中散歩がいつの間にか再開されミソラとクルミが飛び始めた。

「ステラたちのベーシックドレスの更新画面はまだ見てないけどきっと細工されてるはず」

「いったん中止して確認しないと!」

 ステラたちの本格的な行動が始まった。

 犯人の特定を進めながらすべてのベーシックスカイドレスの確認と異常なデータの削除。

 


 一方で学校まで戻ってデータベースから生徒のデータを確認しているミライ。

「この人だ……。2年のリカ。でも、武器の生産記録や実験記録もない。……ん

? マスター科なのにやけにシステム作りで成績が高い。それに、お姉さんがマスター科にいる。いや、……以前いたのね」

 すると、ミライは気になる情報を確認した。

「お父さんが爆破武器の製造者……。もしかして」

 少しずつ明かされ始める犯人の正体。

 しかし、それを妨害するようにまたことは動いた。

 学校で大きな爆発音。

「な、なに!?」

 ベーシックスカイドレスの格納庫が燃えていた。

 

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