第21話 パトフライヤー出動!

 パトフライヤーは浮上すると周りに被害を出さない程度に勢いをつけてベーシックスカイドレスに体当たりし捕まえた。

「ス、ステラさん……。助けてくださいぃ~」

「大丈夫だよ。すぐに何とかしてあげる。音声認識で強制ダウンはできない?」

「だ、だめですぅ~。あ、あと、なんだか右上にカウントダウンが表示されてあと2分と表示されてます!」

「カウントダウン……。ミライ! 今の聞こえた?」

 ちゃっかり現場にあったタブレットとヘッドマイクを借りてたミライはステラのサポートに当たる。

「マイクをその子に聞こえるようにして」

 接触通信をオンにしてミライの声を聞こえるようにした。

「モニターに何か表示されない? 文字とかマークとかさ」

「えーっと……。Eの横に炎のマークが表示されて点滅してます」

 ミライはそのこと聞いた瞬間に苦い表情を浮かべた。

「ステラ、接触通信を一度切って。――そのベーシックドレス爆発する……」

「えっ!?」

「Eに炎のマークは爆破物の意味。そして、カウントダウンがあるってことは内部のどこかにある爆破物が爆発するまでの時間ってこと……」

「……なら、一つしか方法はないね」

 ステラはスラスターの出力を上げて一気に飛び上がった。

「ステラ! 何する気!」

「どうせ爆発させるなら目だない場所ですればいい! この瞬間に戦ってる場所が一つだけある!」

 ステラはビルの屋上で警棒を使い無理やり生徒をスカイドレスから引きはがした。

「人がいなくても着てるのと同じように動けるか」

 生徒にそこで待つように伝えステラは再びベーシックスカイドレスを抱えて飛んだ。

「いったい何なの……」

 司会の女性やステージにいる警備局の人間はわけもわからないまま状況を見ているしかなかった。


「さぁ!! 残ったのは6年のクロームと4年のソレイユ! さらに七星の新星ノア! すでに疲弊した3人の誰が勝つのか!」

 ドームではソレイユたちがシミュレートモードによる熱い戦いを行っていた。

「やっぱり上級生は強いか……。ぼくでも追いつくのがやっとだよ」

「冗談でしょ。私のサンシャインの機動力に追いつくし対応するしで1年なのに恐ろしいよ」

「あははっ! ぼくは強いから特別だよ。あとのみんなぼくほど強くないから安心して」

 ノアに無邪気にそういうがソレイユにはその無邪気さがある意味恐怖だった。

 3年と5年にとどめを刺したのはノアだ。

 そのために自身もかなりのダメージを追っているのにまったく焦っていない。

 ソレイユはある程度ダメージを軽減できたがクロームは戦闘の渦中でほぼ全員と接敵してるため次の一撃で落ちてもおかしくない。

「ソレイユ先輩!!!」

 突如3人に大声の通信が入った。

「この声……ステラか!」

「はい! ステラです! いまそっちに爆破物送るんで破片を壊してほしいんです!」

「今からぁ!?」

「あと10秒で爆発するんです!」

「ステラは大丈夫なの!?」

「たぶん!」

 すると、ドームの上空にベーシックスカイドレスを抱えたステラの姿が現れた。

「あれか……! クローム先輩! ノア! シミュレートモードを解除して破片の対応を!」

 こんなことを言われれば戸惑い質問を返すのが普通だ。

 しかし、訓練された少女たちはその声色とさきほどまでの粗い会話の中からこれが非常事態であることを瞬時に察知し戦闘モードに入る。

 クロームは2丁拳銃を、サンシャインはマシンガンを、ノアはXスラスターをチャージ。

 ドーム上空ど真ん中でステラはベーシックスカイドレスから手を離し急降下。

 背面にエナジーシールドを展開した。

 ステラが少し離れて爆発が起きた。

 その爆発はステラが想像していたものよりも大きく爆風に押される。

 しかし、頑丈な装甲は粉々にならず残った破片は勢いよく落ちて行った。

 3人はそれぞれお互い位置を把握し壊せる数を瞬時に計算してポジションを微妙に変えて一気に破片を壊していった。まるで星屑のようにキラキラした粉が落ちていき会場を彩る。

 結果的に模擬戦の決着はつかなかったがステラのこの行動がある意味でショーの一部として受け取られ混乱は一切起きなかった。

 3人は爆風と飛ばされたステラのもとへ向かい事情を聞いた。

「ステラ、いったい何があった?」

「あの、あまり公には言えないんですが1年第三航空隊の使用したベーシックスカイドレスが不調を起こし内部に爆弾が仕掛けられていました。それで唯一爆発を起こしても大丈夫な場所を考え時間的にここしかないと……」

「で、その試作機のパトフライヤーでやってきたと。まぁ、こっちは混乱が起きてないから早いとこそれ戻してきた方がいいよ。話はあとで聞く」

「わかりました。みなさんありがとうございます!」

 ステラはパトフライヤーで戻っていった。

 すると、ノアが言った。

「あの子、結構強いでしょ」

「ステラのこと? 確かに強いよ。もし、1年で君たちに勝てるとしたら私はあの子を選ぶね」

「自信満々だねぇ。でも、確かにそんな気がする。ぼくもあの子と飛んでみたいなぁ」

 ノアは期待のまなざしでステラの後姿を見送った。

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