サマーフェスティバル

第11話 夏の大イベント

「あぢぃ……」

 ミチはうだるような暑さにやられ木陰で寝ころんでいた。

「外で食べようなんて言うからでしょ。それにパンツ見えちゃうよ」

 ステラはカコから借りたスカイドレスの開発本を読みながら片手でミチの顔を仰いだ。

「ステラも体育座りだと丸見えだよ」

「ッ!?」

 ぺたん座りに変え軽くミチの頭をコツンと叩いた。

「せっかく教えてあげたのにひどいなぁ」

「私が今まで体育座りだったのに言わなかったじゃん」

「いやぁ、女子しかいないからいいのかなって」

「良くないよ!」

 そんなふうに会話をしているとミチは急に起き上がった。

「どうしたの?」

「サマーフェスティバルっていつだっけ!?」

「サマーフェスティバルって?」

「サマーフェスティバル知らないの? あのね――」

 サマーフェスティバルとは青空航空科学高等学校が年に一度開催する大きなイベント。

 都市や近くの町を巻き込み様々なものを披露する。

 都市を使ったアクロバティック飛行や迫力ある模擬戦。

 町をチェックポイントにしたれレースや借り物競争。

 一般人のスカイファイターの複座に乗ってもらう体験やスカイドレスまたはファイターのシミュレーション体験。

 普段、あまり交流のない学生と都市の人たちが交流する一大イベントなのだ。

「わかった?」

「うん。みんなを楽しませるんだね」

「そういうこと! まぁ、1年はそこまで出番はないと思うけど第一航空隊のトップはわかんないかもね」

「ふ~ん。ちょっと楽しそうかも」


 ホームルームになるとそれぞれの教室で出し物の準備をすることになった。

「えー、例にもれず1年も何かしらの形で貢献していきます。今までよくあったのは食べ物系です。学年が上がるとスカイドレスにちなんだことをしますが1年はまだ扱いが不安なので食べ物系が多いです。それ以外に何かあればぜひ挙手してください」

 すると、意外にも一番最初に手を挙げたのはステラだった。

「では、ステラさん」

「あの、スカイファイターの複座に乗る体験ありますよね。あれみたいに人をかごか何かに乗せて私たちがスカイドレスで持ちあげて都市のワンブロックを一周とかどうですか?」

「面白い試みですね。それで少し話を詰めてみましょうか」

 もしするとなった場合に大事なのは安全性だ。

 スカイファイターは複座に乗るため安定感や安心感がしっかりあるが、スカイドレスで運ぶ場合はそもそも人を乗せる物やそれをもってスムーズに移動できるかなど様々な問題が発生する。

 リリーカが手を挙げた。

「お待ちなさいステラさん。私たちはまだワンオフ機を作ってないというのにどうやって飛ばすおつもり?」

「一応、VⅡベーシックあたりがいいかなって」

「確かに。あれなら出力の問題はないし浮力も人二人分は余裕で持つね」

 ウララが賛同した。

 すると、クルミが。

「でも、VⅡって全員が扱えるわけじゃないでしょ。トップ10はいいとしてあと25人もいるんだからその辺考えないと」

「なら、トップ10でVⅡを扱ってサポートでVⅠを25人のみなさんでやったらどう?」

 ミソラが言った。

 案外それは理にかなっていた。

 これからサマーフェスティバルに向けてVⅡ型の操縦練習をするのは間に合うかどうかわからない。しかし、補助としてつく分にはVⅠ型で事足りる。

「そうなるとローテきびしくない?」

 その発言をしたのは第一航空隊5位のヤマネだった。

 前回の大地学校との大規模模擬戦において唯一参加しなかったメンバーだ。

「そこはVⅡのエネルギーの補充タイミングを設けて一時間程度の休憩を取ればいいのかなって」

「ふ~ん。タイムスケジュールしっかり作るならなんでもいいよ」

 ヤマネは計画を立てるのは嫌だが参加そのものには積極的であった。


 そして、1年第一航空隊の出し物は空中散歩というものに決まった。

 

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