第8話 スカイドレスVSガイアドレス 1

 空を駆ける少女たちがいるならば大地を駆ける少女たちもいる。

 空がスカイドレスなら陸はガイアドレス。

 陸を高速移動する少女たちの姿があった。

「いったんこの辺で隠れようか」

 乾燥した峡谷地帯。岩の陰に隠れ状況をうかがっていた。

「ソレイユたちはここに。ミソラとクルミはこっちへ」

 ルナはミソラとクルミを引き連れ別の岩陰へと向かった。

 今回装備しているのは実弾のハンドガンが二丁。それにエレキアンカー。スモーク。ナイフ。標準装備のエネルギーシールドになっている。

 あとはそれぞれの能力を生かす武器を一つ持っている。

 相手を完全に倒すのではなく捕縛もしくは機能停止にするためだ。

「なぜ陸の人たちはこちらへ?」

「ここってのはお互いに使用する特殊な鉱石の採掘場なんだけど峡谷ゆえに境界線が曖昧なんだよね。でも、一応あそこ見える塔みたいな形をしたところからこっちは空の領土ということにはなってるけども口約束というか書面で契約を交わしたわけじゃないんだよね。警告として今回はきたの」

 すると、下にいるガイアドレスから砲撃が放たれた。

 ルナたちが隠れている物陰に着弾。大きな土煙巻きあげる中通信が入った。

「空のやつら聞いてるかぁ! 明後日の方向に撃ったのは威嚇射撃だ。おとなしく退いてな」

 ガイア側からの強引な通信に対し返事をしようとすると先にクルミから通信が入った。

「今の砲撃でルナさんのスラスターがやられました! 戦闘は不可能です!」

 ソレイユは少し考え答えを出した。

「私がルナを安全圏まで運ぶ。それまで一年全員で戦線を守ってほしい。できる?」

 初実戦においていきなり先輩が不在の戦闘。それに状況的には地上を高速移動し遮蔽物に恵まれた地形を利用できるガイアのほうが有利。

 しかし、一年たちの決意は固かった。

「私たちは1年のトップ4が集まってるんですよ。これぐらいの状況なんなく超えられます」

 そう発言したのはミソラだった。

「ほかの子たちは?」

「私はいずれトップになる! ミソラに負けてらんないよ」

「私に一方的にやられたのに威勢がいいねぇ。ウララが行くんだし私も行くよ」

「ステラはどう?」

「もちろんいけます」

 ステラはあっさりと答えた。

「なら少しの間頼むね。――ルナ! スモークを焚いて!」

「了解!」

 ルナとソレイユは同時にスモークを焚きスカイ側がいる場所一帯が煙に包まれた。


 ガイア側は相手が煙に包まれている間に作戦を練っていた。

「いきなり二か所からスモーク……。あいつら戦力を二分する気か? 1年は損傷しないように戦線を維持! 私とカルマで二分した部隊の片方を追いかける!」

「せ、先輩! 1年だけで相手と戦うんですかッ!?」

「お前らならできる。1年のトップなんだからな」

 

 ルナを抱えたソレイユがスモークの中から飛び出した。

 ガイア側の二人もそれを追いかける。

 ガイア側の移動手段は足についてる高機動ローラーによる高速移動。

 高性能のバランサーにより悪路でも体感を崩さずに装甲ができる。さらに特殊な磁場で岩や壁、木に装甲を張り付けることで上り下りも自由自在。

 手を離した状態で足だけ岩盤に着けて射撃を行ったりビルの壁をローラーで高速移動することができる。

 逃げるソレイユたちに追いかけるガイア側。

 ステラたちはスモークの中、レーダーで捉えた追いかける二人をハンドガンで攻撃。しかし、有効射程距離ギリギリで視認ではなくレーダーのアシストのみの射撃では命中精度は悪く逃がしてしまった。

 すると、新たな人物から通信が入る。

「ここからは3年サポート科のミナがナビゲートします! レーダーの通信を相互状態に変更してください。みなさんが動いてる状態の中リアルタイムで峡谷の状況をお伝えします」

 長距離通信はできるが長距離でスカイドレスたちの状況を把握することができないため、サポートは無人レーダー機やスカイドレスからのデータで現場の状況を把握する必要がある。

 送られたデータから相手の得意位置を割り出しスカイドレスの得意フィールドに誘い込む作戦をリアルタイムで考えメカニックと話し合い武器を送ったりマスターやパイロットしたり多岐な仕事をこなす。

「なら私が相手の位置を教える!」

 ミソラはドレスを着る前と人が変わったように率先して動いた。

 ミソラのロードマスターは接近戦を主軸とした高機動スカイドレス。

 最高速はほかのドレスに劣るが加速力は凄まじく、ミサイルにロックオンされてもフレアと加速を生かし簡単に逃げ切るほど。

「なら私がフォローするよ!」

 次にウララが飛び出した。

 ウララの着るスカイドレスはスカイスクレイパー。

 都市での戦闘を得意としたマスターが扱っていたもの。

 峡谷は影ができてしまうとこが多いが夜の都市で扱うことを想定されたスカイスクレイパーのバイザーならどんな場所でもリアルタイムで処理され瞬時に鮮明に見ることができる。スモークやジャミングなどには対応はできない。

 加速はロードマスターに劣るもののビルを避け低空飛行などアクロバティック飛行が主な戦略のため急加速急転換はお手の物。

 地上の戦力は二人に向けて射撃を行うが簡単に回避され自ら位置情報を渡してしまう。

「そちらに隠れているのは4人です!」

「位置がバレたのは相手も理解してるはず! ここは私が狙い撃つ!」 

 クルミのインパルスワンは全員の中で一番機動力が劣る分正確な射撃にある。

 インパルスワン専用武器ジャミングライフル。

 電気信号を狂わせることで相手のレーダーをかく乱する。

 しかし、周囲に味方がいると巻き込んでしまうので正確な射撃が要求される。

 ジャミングライフルはレーダーかく乱用のジャミングショットと通常の弾丸で切り替える必要がある。ジャミングショットはドレスのエネルギーを利用するため乱用は禁物だ。

 ジャミングショットを2発。

 3人逃げられ一人に命中。

「ウララとミソラはまだ遠いか。ステラ、追撃お願い!」

「わかった!」

 ステラの着るドレスはスターライト。

 かつて星空を求め空を駆け巡ったマスターが来ていたと言われるドレス。

 3人の物と比べ特化した点はないが、空を自由自在に飛ぶというたった一つのことだけに執着して作られたこのドレスはステラにとってまるで手足のように自由に扱える。

「エレキアンカースタンバイ! ナイフを左手に装備! 仕掛ける!」

 エレキアンカー相手の動きを止めようと中距離から確実に狙いを定めるが、スターライトのアラート音が鳴り始める。

「スナイパーです!!」

 ミナの声が聞こえたと共にステラはナイフで弾丸を弾いていた。

 次弾来ることを警戒しすぐにその場から離れた。

「スナイパーの弾丸をナイフで防ぐなんてやめてほしいな。私の強みなくなっちゃうじゃん」

「クルミ! 早く場所移動して構えてよ!」

「りょーかい。ウララも油断してないで気を付けなよ」

「私は大丈夫だって。――って、うわぁ!!」

 話に気を取られ危うく岩にぶつかるところ間一髪で回避。

「またクルミに頭が上がらないね」

「うるさいっ! ミソラだってエネルギーに気を使わないとすぐに動けなくなるよ!」

「大丈夫、今休んでるから」

「はぁ!? なんでっ!?」

 怒るウララにすかさずミナ言った。

「ウララさん落ち着いてください。相手がスナイパーを含めて5人なりましたから不用意に飛んで常に位置情報を伝えるよりもミソラさんにはここぞという時に出てもらった方がいいんです。ですので、ウララさんとステラさんが相手を引き付けながらクルミさんのサポート受けてください」

「なぁんか腑に落ちないけど仕方ないぁ。ステラ、二人で片付けちゃうよ!」

「うん。この先に少し広いところがあるみたいだからそこにおびき寄せたら戦いやすいよ」

 スカイ側がうまく連携を取っている間、ガイアもそれに対抗するすべを考えていた。


「上にいるからって調子に乗らないでほしいね」

 ガイアドレスを着る少女のララァがつぶやいた。

 すると、ガイア側のサポートが指示を促す。

「ミクルさんはトラップの準備! モエさんはユリカさんを回収してジャミングの解除を! ロロさんは場所を変えてもう一度スナイプお願いします。ララァさんはミクルさんとモエさんが戻るまでスカイドレスの引き付けをお願いします。相手も少数で攻めてきています」

「了解! マシンガンがぶっ放してやる!」

 ガイア側の反撃が始まる。

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