第5話 エースを狙うものたち

 一年の第一航空隊の人数は35人。

 その中でも現状成績トップ10の者たちが校舎の電工掲示板に張り出されていた。

 人だかりができてる中でミチがステラを呼んだ。

「ステラこっちー!」

「ミチ、あんなとこで何してんだろう」

 人だかりの中に入りミチに腕を引っ張られ掲示板を見せられた。

 すると、第一航空隊4位にステラが表示されていた。

「ステラすごいよ! 1年の中で4位なんだよ!」

「あっ、リリーカだ」

「えっ! どこどこ?」

「ほら、あそこ」

 なんと10位にはリリーカも表示されていた。

「出会いは変な感じだったけどやっぱりライバルがこうやって同じとこに映ってるのはうれしいね」

「いいなぁ~。私も早く第一航空隊に入らないと!」

 第二の成績が高い生徒は第一の成績の低い生徒に下剋上を行うことができる。

 基本的にダミー武器によるスカイドレスでの模擬戦で勝敗を決める。

 その下剋上はいつ下されるかわからないため成績は第一航空隊に入れたとしても安心はできない。

 さらに言えば第二航空隊は第一を狙う立場でありながら第三に狙われる立場でもある。

 人だかりから抜け出し二人はカフェで一息ついていると3人の生徒がやってきた。

「ねぇ、ちょっといい?」

 ステラへと茶色い髪に赤い大きめのリボンを付けた生徒が声をかけてきた。

「えーっと確か」

「私はウララ」

「そうだった。ごめんね。まだクラスの子の名前覚えきれてなくさ」

「別に構わないよ。ここ座っていい?」

 ステラはミチに目配せし許可もらい答えた。

「いいよ。どうしたの急に」

 後ろの二人は近くのテーブルについた。

「いえ、今後ステラとはトップ争いをする気がして一応挨拶をしておこうかなって」

「あー!!」

 突如、ミチが驚きの声を上げた。

「何? どうしたの?」

「ウララって第一航空隊3位の子だよ!」

「えっ、そうなの」

 ウララは飽きれ気味でいう。

「やっぱり気づいてなかったんだ。ステラって空だとすごいのに地上だとどこか抜けてるよね」

「あはは……。最近よく言われるなそれ」

「で、本題だけど私はトップの座を狙ってるの。1位のミソラを抜いてトップにね」

「あの、ミチ。ミソラってどんな人?」

「はぁ!? 自分とこのクラスのトップだよ! ミソラって人はね――」

 ミソラは全てのテストをトップで合格した首席である。

 学校始まって初の1年でエースの称号を得るかもしれない期待の新入生と教師や上級生の中で噂になっている。

 最年少エースは2年になって半年でエースを取ったエトワールがいる。1年でエースを取ればエトワール以上の逸材としてさらに注目を浴びることになる。

「私の話してるの?」

 ステラの後ろから音もなく現れたの赤色の長い髪に白い白いリボンをつけている生徒だった。

「なっ!?」

 ウララとミチは大きく驚いた。

「えっとあなたは?」

 ステラはいつものテンションで質問した。

「私が今話しに出てたミソラだよ。私も座っていいかな」

「いいよ」

 ミソラは新しい椅子を持ってくるのではなくステラと一つの椅子を半分ずつつかい座った。

 ステラは特にそれを気にしなかった。

「ってそこは椅子持ってくるんじゃないの?」

 ウララはすかさずつっこんだ。

「だって、勝手に椅子取ったらほかのところが困っちゃうでしょ」

「確かに」

 ステラはそれにうなずいていた。

 ミチとウララはあきれた表情でそれを見ていた。

「てか、トップがこんなとこいていいの!」

「だってお腹すいたから。それにクルミと待ち合わせしてるの」

「ク、クルミもここに来るのかぁ……」

 ウララは何やら気まずい表情を浮かべる。

「おっ! ウララじゃん! なに、こんなとこでおしゃべり? 私も混ぜてよ」

 勢いよくウララと肩を組んだ生徒はクルミ。黒いショートカットの髪に紺色のベレー帽を被っている。

「ウララ! またシミュレーションやろうよ!」

「あれだけ一方的にやっておいてやる気出るわけないでしょ!」

「え~、だってミソラは相手してくれないからさぁ。1位が相手してくれないんだったらあと張り合えるの3位しかいないじゃん」

「だったら4位とも戦ってよ!」

「4位? ……あ! もしかして君が噂のステラちゃん?」

「はい」

「ちょうどいいや。授業終わったらシミュレーションルーム来てよ。模擬戦しよ」

「いいですよ」

 あまりにもあっさりとした二つ返事にミソラ以外の生徒は驚いていた。

 ウララの友人二人はあまりにも場が混沌としすぎて存在感が薄くなり、ミチは場違いじゃないかと思い始めていた。


 すべての授業が終わりカフェで話していた面々はシミュレーションルームやってきていた。

「ステラちゃんはどんなルールがいい?」

「まだあまり模擬戦は多くこなしてないしでどんなルールでもいいよ」

「むしろそういうときってやったことあるルール選ぶと思うんだけどなぁ~。まぁ、いいや。じゃあこれで!」

 ルールのセッティングが終わり二人はマシンの中へ。

 ウララ、ミチ、ミソラはそれにウララの友人二人はモニターを見ていた。

「はぁ、つい言っちゃったけど大丈夫かな」

 ウララはステラを指定したことをいまさら不安になってきていた。

「ウララってクルミの子と苦手見たいだけど何かあったの?」

 すると、ウララは答えづらそうな表情を浮かべた。

 横でミソラが小さく笑っており代わりにこたえる。

「意気揚々とクルミに挑んで一方的に負けたの」

「あれはルールが悪かったの! 武器なんでもありのルールであんな遮蔽物もなにもないとこなんだから無理だって!」

 クルミとウララが模擬戦を行ったの海上フィールド。

 武器をもっていない状態でスタートし各地に配置されてあるボックスを開けることで武器を手に入れ攻撃をする。

 武器はD級からA級までランダムでボックスから出現する仕組み。

 クルミがいきなり追跡型A級武器を手に入れたことでいきなり不利になり、ウララが開けたボックスからは射撃武器ではなく設置武器。

 海上フィールドでは丸見えなために設置武器を使えず一方的にやられたのだ。

「次やるときはこっちのルールに合わせてやる!」

「トップたちも大変なんだなぁ……。あっ、そろそろ始まる!」

 シミュレーションが開始した。

 

 フィールドは海上。

 ルールはランダムボックス。

 スカイドレスはVⅡベーシック。


「うわぁ……私の時と同じだ」

 ウララは明らかにげんなりしている。しかし、どこかでステラに勝ってほしいと思いつつ自分が負けた相手に順位が下の人間が勝ってしまえば自分の立場が危うくなるとも思っていた。ウララにとっては複雑な心境だ。

「準備はいいかなステラちゃん」

「ばっちり」

「よーし、じゃあシミュレーションスタート!」

 ブザー音と共に模擬戦が開始した。

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