FLY HIGH~空を駆ける少女たち~

RuNext

青空航空科学高等学校入学

第1話 青色の空

 少女は空が好きだった。

 どこまでも続く空には希望がありいつも見守っている。自分もこんな青い空のようにみんなに希望を与えられる存在になりたいと日々考えていた。

 少女が草原から眺めているのは空に浮かぶ島に作られた都市スカイハイ。

 自然の不思議なエネルギーが満ちた世界であり、鉱石にはそれぞれ特殊な力がありこの島を構成する鉱石には物質を浮かす浮力を付与させるものが大量に混じっており、そのためこのように島が浮いているのだ。

「私もあそこいってみたいなぁ」

 青空のように美しい髪をした少女は風で髪をなびかせつつ空に浮かぶ島を眺める。

「ステラー! そろそろ行くよ!」

「はぁーい」

 振りむいて母のもとへ行こうとした瞬間、突風とともに目の前に何かが降りてきた。

 思わず目を瞑ると女性の声で声をかけられた。

「ごめん、大丈夫だった?」

 目を開けるとそこには機械を脚や腕、胴体や頭に身に着けている女性の姿があった。背中にはV字型のスラスター二本ついており足についている機械からは空気の流れを発生させる穴が開いている。

 少し浮いた状態の女性にステラは目を丸くして驚いた。

「空からやってきたの?」

「うん、そうだよ」

 女性は元気に答えた。オレンジ色の髪が特徴的で笑顔が太陽のように眩しかった。

「スカイハイ?」

「あー、あそこの周りは飛んできたけどスカイハイには入ってないかな。私は青空航空科学高等学校二年年のソレイユ。君の名前は?」

「私はステラ……。あ、あの! 私もその学校いけますか!」

「空が好きならきっと入れるよ。君はいくつかな?」

「十三です」

「なら入るにしても二年後か。青空学校は六年制でさらに上にもコースがある。君が入ってきたときには私は四年だね」

「私、きっと学校に入ります! だから、その時はいろいろ教えてください!」

「いいよっ。君が入学するのを楽しみに待ってるからね!」

 そういうとソレイユは空高く飛んで行った。

 上で待機していた白い髪の少女と共に山の向こうへと去っていった。

「私も空を飛びたい……」

 その思いを胸にステラは日々勉強を頑張った。



 二年後。

 ステラの住む小さな町に飛行船が着陸した。

 これは青空航空科学高等学校の飛行船であり、新一年生を乗せるためにきたものだ。

 ステラは髪を肩のあたりまで切っており紺色の制服を着ていた。青空学校の制服だ。

「お母さん、私がんばってくるね」

「無茶だけはしないでね。あなたならきっと夢をかなえられるわ」

「ありがとう!――じゃあ、行ってくるね」

 いろんな思いがあり、いろんな言葉をかけたかったが、ステラはあえて多くは語らなかった。

 十五歳の少女は今、住み慣れた場所を離れ知らない土地で一歩を踏み出そうとしている。母と離れるのは寂しいし新しい場所に期待がある反面、不安もある。

 だけど、自身の夢のために踏み出した一歩。

 それが揺らがないようにステラは飛行船へと走った。

 ステラの母もまたそれを理解していた。

「あなたならできるわ。空を駆けなさい。ステラ」

 母の言葉はステラには聞こえていない。だが、その気持ちは伝わった。

 涙目を擦りステラは飛行船へと乗った。

 扉が閉まる直前。ステラは叫んだ。

「お母さん!! ありがとーー!!!」

 青空のように澄み切った純粋な笑顔が母にとっては何よりも心に響いた。

 もう言葉はいらない。

 ただ手を振り見送った。

 


 飛行船の中にはほかにもいろんな町から来た生徒たちがいた。

 無料のドリンクを飲みながらそれぞれ思い思いに過ごしている。

 ここにいるのは全員女子生徒だ。

 青空航空科学高等学校はレッドとブルーで分かれおり、少女はみなブルーに入学することになる。

 飛行船が飛ぶこと一時間。たくさんの山を越えて見えるのは大きな都市だった。

 自然の中にいきなり現れるビル群は少女たちを圧倒する。

「すごーい!」

「あんな大きな建物初めて見た!」

「あっちの建物が学校だよ!」

 すると、飛行船の周りに汎用人型装甲衣、通称スカイドレスを身に纏った女子生徒三人が飛んできた。

 女子生徒たちは手を振りながら自由自在に飛び回った。

「あっ、ソレイユ」

 その中の一人には二年前に出会ったオレンジ色の髪の女性も飛んでいた。

 ソレイユはステラのことに気づき小さく驚きの表情を見せると窓まで近づき窓越しにステラと手を合わせ太陽のような笑顔を見せ飛んで行った。

「えっ! あなた生徒と知り合いなの!」

「いいなぁ! 私も手を合わせたかったのに」

 ステラは周りの声も聞こえておらずついに一歩を踏み出したのだと自覚し感動で茫然としていた。


 飛行船は大きな滑走路に到着。そこには紋章の描かれた赤い旗が揺れていた。

 バスに乗り学校まで移動すると学校には上には紋章の描かれた青い旗見える。

 バスを降りると女性の教員と先ほどのスカイドレスを身に纏った生徒三人がいた。

「一年生のみなさんこんにちは。みなさんが学校へ入学するのを心よりお待ちしておりました。こちらの三人は四年生の生徒です。身に纏っているのはスカイドレス。訓練などでは専用のスーツの上からスカイドレスを身に纏いますが、この用に制服に上からでも着ることができます」

 教員が目で促すと生徒たちは着陸してスカイドレスの機能を停止し制服姿で一年のまえに立った。

「このようにスカイドレスの着脱は簡単にできます。今は機能を停止させているためその場で状態を維持していますが指示をすれば単独で倉庫に戻ったり別の場所へ移動させることが可能です。このように高機能のスカイドレスを扱うのが我々青空航空科学高等学校の役目です」 

 青空学校には三つの科が用意されている。

 一つはマスター科。

 マスターとはスカイドレスを身に着け飛行し、様々な物事に携わる青空学校の花形だ。乗り物と違い人間がそのまま飛行するため命の危険と隣り合わせであるがそれだけ大事なポジションでもある。

 二つ目はメカニック科

 ここではスカイドレスの開発整備などを担当する。

 スカイドレスの機能は汎用型と言えどドレス一つ一つはワンオフである。

 そのため様々な整備を担当することになる。

 それと同時に作業用の道具や武器も開発する。

 最後はサポート科。

 サポート科はマスターに情報を伝えるナビゲーターの役割を担う。それと同時にメカニックにドレスのテストデータを渡したり個人訓練用のメニューを考えたりする。

 科は基本的に一つしか選べないが、スケジュールの合間などに別の科の授業を受けたりすることも可能である。

 

 それぞれの科に分かれホームルームが始まった。

「正式な入学式は明日行われる。このクラスは一年第一航空隊マスター科。君らは一年の中でも優秀なものとして選ばれている。しかし、成績によって第二航空隊や第三航空隊と入れ替わることもある。油断をしないよう気を付けてほしい」

 ステラは第一航空隊マスター科。

 事前テストにおいて優れた体感と身体能力。空間認識能力がたけており第一航空隊の中でも上位に入る。

 ここがステラの夢を叶える舞台だ。

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