兎の章

第15話 入口

「おかわりいる?」

「もうおなかいっぱい。ごちそうさま、おいしかった。」

ナズナは目を瞑り手を合わせる。

「リンは?おかわり。」

「おかわり下さい。お米ある?」

「あるよ。待ってな。よく食べるな。」

レイはうれしそう。よく動く。

「ナズナちゃん、話ししていい?」

ナズナは頷く。沙絵も食べ終わったようだ。

「眠れてる」

「はい。」

「おとといの話の続きだけど、ちょっと聞いてね。」

「はい。」今度は小さな声で返事。

「今ね、ナズナちゃんの影、うさぎが探してるの。穴って言うのかな。そこはまだ入口なんだけどね。」

沙絵は言葉を区切るがまたすぐ話し始める。

「そこからまた探さなきゃならないの影を、それはナズナちゃんしかできないからって、またその時は兄さんが話すって。もう少し待っててね。それとなにかあったら兄さんでも私達でもいいから助けを求めて、夜中でも朝でも遠慮しないでね。」

「はい。ありがとうございます。」そう応え、懸命に消化しようとしてるのか、ナズナはじっと考えてる。沙絵はまだ話を続けようとしたが、その様子を見て話を終える。

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