第14話
*
滝沢先生に呼ばれ、俺は放課後に多目的室に来ていた。
なんで先生と知り合いなんだ?
と風太から聞かれ、俺は正直に自分を見てくれた異能ドクターなのだと説明した。
先生と知り合いだったことに驚くというよりは、どこから体が悪いのではないのかと心配されてしまった。
しかし、先生がなぜここに?
「よぉ来たな」
「お久しぶりです。早速ですがなんで学校に?」
「まぁ、それは追って話すさ、とりあえず座れよ」
先生はそう言って自分が座っていた席の前に俺を座らせた。
「どうだ? 三年後の世界にはなれたか?」
「まだあまり、実感出来てないことの方が多いです」
「そうだろうな、それよりも友達が出来たようで何よりだ」
「昔からあんまり友達作りで苦労した事はないので」
というか、俺が回りに恵まれていただけだろう。
俺の回りの奴らはなんでか皆良い奴だったからな。
「それでなんでこの学校に?」
「あぁ、お前が入学したからな。お前の体の事を知ってる奴が傍にいた方が良いだろ?」
「俺のため……ですか?」
なんだか申し訳ないな。
きっとこの人は医者として俺の体について起こる変化を記録したいとかそんな理由なのだろうけど、確かに俺の素性をしっている人が学校に居るのはありがたい。
「まぁ、正直病院に居るのが飽きただけなんだけどな」
「俺の感動を返して下さいよ」
やっぱりこの人はそう言う人か……。
でも、白衣を着てるってことはこの人は保険医か?
だけど保険の先生は他に女の先生がいたはずだけど?
「先生は教師としてこの学校に?」
「まぁな、この学校には保険医とは別に異能ドクターが常駐しているからな、生徒一人一人の異能についての管理や、危険性の有無なんかを管理する先生としてこの学校に来たんだよ」
「なるほど」
「まぁ、何か困った学校の隣にある研究棟の一階に来い、そこに俺は常駐してっから」
「はぁ……」
「何か困った事とかあるか? 体の変化とか、異能の変化とか、なんでも言って見ろ」
変化か……別に体や異能に変化は無かったけど。
あ、一つ変化があったな。
「バレました」
「は?」
「俺が異能二つ持ちって事がクラスの女子にバレました」
「おい、何さらっととんでもないこと言ってやがんだ」
「すいません、でも言わないでくれって言ってあるんで大丈夫じゃないですか?」
「馬鹿かお前、お前の体はこの世界では貴重なサンプルになるんだぞ! もし、お前の体を解析して異能を好き勝手増やせるようになれば、その力を悪用しようとする奴も出てくるんだぞ!」
「す、すいません」
「たく……まぁ、学生がいくらそんな事を言っても信用する奴はいないか……」
滝沢先生はため息を吐き、スマホを操作し俺に見せてきた。
「これを見ろ」
「これは……公園ですか?」
写真には公園が写っていた。
しかし、普通の公園ではない。
その公園は遊具やベンチが全て凍らされていた。
「今日お前をここに呼んだ理由はお前を氷漬けにした犯人かもしれないやつが、この地域に現れたことを知らせるためだ」
「え!」
俺を氷漬けにした犯人……。
俺をこんな目に合わせた奴がこの町の何処かに居るかもしれないってことか?
「もしかしたらお前をまた狙ってくるかもしれない、だから気をつけろと忠告して置こうと思ってな」
氷……これだけんの大規模な異能が使える異能者は限られている。
恐らく俺を凍らせた男と同一人物なのだろうが、一体なぜ公園を凍らせる必要があるんだ?
「警察も事件の関係者だと思われるお前を警護するはずだ」
「それはありがたいっすね」
「そうだな……だが、自分の異能の事は警察にも言うなよ」
「え? なんでですか? 警察なら保護とかして貰えそうですけど……」
「……警察も今じゃ信用出来ないからな……とにかくお前の異能の秘密は俺や石川先生とお前だけの秘密だ」
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