第32話 とんでもないところに魔力が宿ってた

「チンポを見せつけられた女の子が熱出して倒れたとか超ウケる~♪」


「嘘だっ!!」

 俺のチンポをガン見してキャッキャウフフしてた女の子たちならいたが、卒倒した女子なんていなかったぞ。

 クソ、誰がこんなデマを流しやがった。


「イクゾー君、何が嘘なのー?」

 えっ、いや、そのなんだ、えーい説明できるかっ。

 適当に誤魔化すしかない。


「お珍宝を見ただけで倒れるなんてあり得ないよね」ニッコリ

「見たことないから分かんなーい」

「その変態はギンギンに勃たせたアレを見せつけたんだって~。何も知らない初心ウブな女の子ならショックで倒れても不思議じゃないって~♪」


「嘘だっっっっっ!!!」

 俺は勃起なんてさせてねーよ。むしろ寒くて縮み上がってたわ。

 クソ、新聞なんてどこの世界も一緒だ。フェイクニュースだらけだぜ。


「イクゾー君、何が嘘なのー?」

 それはね。俺がその変態だからだよ、なんて言えるかっ。

 適当に誤魔化すしかない。


「お珍宝を外で勃たせるなんてあり得ないよね」ニッコリ

「そうなんだー。イクゾー君にはできないんだー」

 いやできるよ!本当はできるんだよ!クソッ!


「ガッカリ~。露出狂のスキルも持ってないなんてお婿クン、変態の名折れだわ~。野外プレイもできないも男と結婚なんてアタシは無理ぃ~」

 

「できらぁ!!」


 しまった。

 余りにも悔しくてつい叫んでしまった。

「フーン、できるんだ~♪」

「ティアさんをお嫁さんにする時は実演してみせます」

「アタシのために犯罪を犯してくれるなんて濡れちゃう~♪」


「この犯罪者は捕まったのに釈放されて野放しだって。ヒドーイ」

「そうなのよ~。明らかなワイセツ物チンレツ罪なのにお咎めなしって変だよね~。警察は取材にダンマリ決め込んでるし~絶対コレ上級市民案件だよね♪」

 まぁ上級市民というか貴族だからな。まぁこの俺なんだけどな。


「えこひいき許せなーい!私が倒してやるー!」

 ちょ、レイラちゃんそれは勘弁して。

 その巨体で倒されたらヒョロイ俺はたぶん死んでまう。


「レイラ。こいつがその犯罪者だ。存分に倒すといい」


 ピーナ!お前何でそれを!?

「えー、イクゾー君はそんなことしないよー」

「あはっ、婿入り前の最後のフィーバーしちゃった? 超ウケる~♪」

「本当だぞ。私はこいつの身辺調査でアトレバテスまで行ってきたのだ。中央公園で全裸になった男なら間違いなくこいつだ」

 そうだった。この女忍者は俺を調べてたんだったわ。

 まさかストリーキングの件まで捜査を進めてたとはな。有能過ぎるぞ。


「イクゾー、昼間から公園で全裸になって女性を襲うなんて最低ね」

 尾ひれはひれ!

 それはさすがに誇張にも程があるでしょヴィンヴィンさん。


「お兄ちゃん、本当にそんなことしたの・・・?」

「してない!してないよレイラちゃん。僕を信じて。お願いだから」

「だってネタは上がってるんでしょ~。ピーナの調査は確かだからね~♪」


「いや本当ですって。僕は死ぬ目に遭わされて気付いたら全裸であの場所に放り捨てられてたんです。誓ってそれだけですから。勃起してたとか女性が卒倒したとか絶対に嘘です。記者がデタラメ書いてるんですよ」


「誤魔化さなくてもイイのに。アタシは見直したわよ~♪」

「エマさんに嘘か真実か判別してもらえばいいのデス」

「それが良いわね。犯罪者を婿入りさせるさせる訳にはいかないわ」

 青肌魔導師は責めてるというより面白がってるよ。

 だけど、俺が本当に犯罪者だったらどうするつもりなんだ・・・


「仕方ありませんね。イクゾー様、ご面倒ですがお願い致します」

「平然としてますけど、エマさんは僕のことを信じてるのですか?」

「ワタクシはどちらでも構いませんから。もしイクゾー様が犯罪者だったとしても、ずっとお傍にいますので信じるも信じないもありませんわ」

 えー、何か変な風に振り切れちゃってるぞ俺の魔乳女神は。

 ま、それだけ愛されてるということで納得しておくか。うん。


 エマさんが胸の十字架を外して右手にかけたので俺は両手で握った。

「中央公園での出来事に関する先程の証言に虚偽はありませんね?」

「はい」

 当然ながら、十字架はピカーと輝きを放ってくれた。

 これで俺の潔白が証明されたな。良かった良かった。


「イクゾーにそんな度胸が無いのは分かってたけどつまらないわね」

「敵に襲われ裸に剥かれるなど不甲斐ない男だ」

「誰もこんなオチは求めてないって~。次はちゃんとキメてよね~」

「お婿様も変態なら、その道を究めないといけないのデス」

 お前らー。もっと婿に気を使ってくれてもいいだろー。

 ちょっとは癒し系のレイラちゃんを見習え。そうだよね俺のロリピュア?


「最悪ー!」


 え? 何でそうなるの? 俺が潔白なの見てたよね?


「スチームカーに轢かれて瀕死の女の人がお金を盗まれたんだってー」

 もう別の話題かーい!

 そうだよな。子供って直ぐ話に飽きて他のこと気にする生き物だったわ。

「それは酷いね。犯人は捕まったのかい?」

「ううん、逃げたまんまって書いてあるよ」

「スチームカーを運転してた奴も共犯だ。同じ手口の犯罪が複数起こっている」

「鬼畜の所業ですね。相応の報いがあれば良いのですが」

 マジで許せんな。しかも女性を標的にするとか敵だ。俺の敵だっ。


「んんっ・・・!」ハァハァ

 ありゃ、熱くなったせいでエマさんを触る手に自然と力が入ったみたいだ。

 改めて隣で悶えてる魔乳メガネを見ると俺ももう辛抱溜まらなくなってきた。


「エマさん、2時間後に部屋へ行きますから準備をお願いします」ボソ


 今夜こそ頂きますという想いを込めて耳元で囁いてみた。

「・・・はい」

 ボボボと顔を真っ赤にしたエマさんは失礼しますと言って大浴場へ向かった。

 ピーナ、レイラちゃん、ローラもそれに続いていく。

 リビングにはバスローブ姿で足を開いている女王様とギャルビッチが残った。


「へ~本当にエマさん狙いだったんだ~♪」

「はい。だけど他の皆さんとも可能な限り仲良くするつもりです」

「そうだよね~既にヴィヴィっちとは一線超えてるもんね~♪」

 どうして知ってる!

 まさか、大浴場でヴィンヴィンから聞いたのか?

 そのツンドラ女王様に目を向けると全く動じることなく座っている。

 

「変な言い掛かりは止めてもらえるかしら」

 いつもと同じ口調、同じ声色、同じ態度でティアを詰問した。

「口で何を言ってもその身体を見ればバレバレですから~♪」

 身体ってどういうことだ?

 別に妊娠して腹が出てるわけじゃないぞ。

 母乳が出始めるのは明日辺りからの筈だしな。

 それともこの異世界ではエッチした女は下腹に淫紋でも浮かぶのか?


「身体を見れば分かるとはどういうことでしょう?」

「まーだしらばっくれるつもり~? この髪と肌を見れば一目瞭然でしょ♪」

 髪と肌に艶が出てるのは、しばらくクエストで魔力を放出してないからだ。

 ヴィンヴィンはそう言ってたけど違うのか?

「いえ、僕には何のことか分かりません」

「そんな警戒しなくても平気だってば~。アタシはバラしたりしないから♪」

「いや本当に意味が分かりません」

「他の皆は騙せても私は無理だってば~♪」

「そう言われても、ヴィンヴィンさんは魔力が溜まってるだけですよね?」


「その魔力をヴィヴィっちの中に注ぎまくった人が何言ってんの~♪」


 誤解だ!


 いや、別のモノなら注入しまくったけど魔力は冤罪だ。

 だって俺には魔力なんて無いんだから!


「何か勘違いしてると思いますよ」

「フーン、じゃあエマさんに話して肉体関係の有無をジャッジしようか~♪」

「そ、それは・・・」非常に困る。というか精神的に死ねる。


「何が望みなのかしら?」

 青肌の女王様が白旗を上げた。威厳を保ちながら。

「んふ・・・今日のところはお婿クンのお宝を拝ませてもらうだけでイイわ♪」

「イクゾー、見せてあげなさい」

 本人そっちのけで話が決められていく!


「そんな顔しなくても、その内ヴィヴィっちは自分の男が他の女に視姦されたり寝取られるのが感じるようになるから大丈夫だってば~♪」

「フン、別に私の男じゃないわ」

 ツンドラ魔導師と舌戦を繰り広げながら移動してきたギャルビッチは、俺のズボンの腰ひもをほどくと下着ごと一緒にえいっとずり下ろした。

 性欲の塊である15歳少年のジュニアは直立不動で顔を出す。


「あはっ、何でもうこんなになってんのよバカじゃないの~♪」


 くっ、こんなシチュエーションでこうならない中学生男子はおらんだろ。

 基本サルなんだから仕方ないんだよ。

「ここまで期待されたらアタシも応えてアゲないとね~♪」

「あっ、ちょ、見るだけって言ったじゃないですか・・・あぁ・・・」

「言っておくけど誘ったのはイクっちだからね♪」

「・・・くぅ・・・ホント・・・駄目です・・・これヤバイ・・・!」

「大丈夫大丈夫。ちゃんと寸止めするから~♪ あっ」


 だから言ったのにぃぃぃ。


 エルフそっくりの見目麗しい顔が真っ白に汚れていた。

 ティアはそのまま数秒間固まっていたが、ピンク色の口から長い舌がニュッと出てきて周りのホワイトソースを舐め取り始めた。さらに両手で顔中のソースを集めて口の中へ入れ最後には手に付いた汚れも綺麗に舐め取った。


「・・・ん、あひぃ、ひゃぁぁああああああああ♪♪♪」


 く、狂った!

 俺のような童貞まる出しの童顔男に綺麗な顔を汚されて狂ってしまわれた。

 ギャルビッチだからこのぐらい平気だと思ったけど意外と経験値低いのか?

  

「んふぅ・・・スッゴイ♪ 魔力の塊を無理やり飲まされたみたい~♪」

 いやだから俺に魔力なんてないんだって!

 

「これなら男嫌いのヴィヴィっちが肉堕ちするのも分かるわ~♪」

 ツンドラ女王様を刺激するのはよせ!

 怒りの矛先がこっちに向いたらマジでいきなりバッドエンドあるんだって。

 勘違いするのは勝手だけど俺を巻き込むなー。


「フン、まぁイクゾーの子種が魔力の塊という点だけは同意しておくわ」


 えっっっ!?


 俺の子種に魔力ってどういことなんだってばよ。

「だけど、見るだけの筈なのにどうしてイクゾーが果てたのかしら?」

 シュゥゥゥゥゥゥとリビングの室温が急激に落下した。

 青肌魔導師の胸のペンダントが浮き上がってパリパリッと音がしてる。

 これは不味い兆候だっ。

 昨晩にピーナが秒殺された時と一緒やないかーい。


「な、長旅で疲れてるからアタシ寝るね~おつかれちゃ~ん♪」


 危険を察知したティアはそそくさと消えていった。

 そしてヴィンヴィンだけが残った。

 ギャルビッチが去ったことで怒りも解け機嫌と室温が元に戻っている。

 ここはさっきの仰天ニュースの裏を取るべきだろう。


「ヴィンヴィンさん、僕の子種に魔力があるというのは本当なんですか?」

「そんなの当たり前でしょ」

 どうしてそんな分かり切ったことを訊くのかとツンドラ魔導師が怪しんでいる。

 これはいかん。適当に誤魔化さないと。


「いえ、魔力の塊とまで言われてたので気になって・・・」


「男は自分で気付かないものなのかしら。そうね、貴方の子種は魔力で溢れているわ。摂り込んだ私の身体が変化してしまう程よ」


「じゃあ、髪の色が少し薄くなってキラキラ輝いてるのも、肌がツルツルで艶々してるのも僕の子種が原因だったんですか?」


「そういうことになるわね」

 あっ、だから殺すつもりかと聞いた時、養分なのに勿体ないと言ってたのか!

 青肌の女王様が処女を散らしたりソファーやキッチンでやり倒した不埒な俺を殺さなかった本当の理由はこれだったんだ。

 愛されてるかもと自惚れた己が恥ずかしい・・・


「かなり複雑ですけど、ヴィンヴィンさんのお役に立てたようで何よりです」

「そうね。光栄に思いなさい」

 そうだな。

 こんなゾクッとするほど美しい女王様に奉仕できることを喜ぼう。

「はい。これからも可能な限り養分を注入させて頂きます」

「でも少しは控えなさい。私の身体がもたないわ」

「そうですか・・・」

 また失神するほど責め上げたったかのになぁ。

 俺が残念そうな顔をしていると、ヴィンヴィンが珍しくフォローした。


「仕方ないじゃない。子種の魔力が次第に強くなってるのだから」

 そうなのか?

 そういえば、昼間にキッチンでやった時はその朝と同じ回数しかやってないのにツンドラ魔導師が失神したんだった。

 それに三日目の夜は以前ほどの寒さを感じなかった。

 それは俺の子種の魔力が少しずつ上がってるからだったんだ。てことは……


 ────今後は、凍死のリスクから解放されるってことか!!


 これってかなり重要ポイントだぞ。

 あとでしっかりと検証・考察するべきだろう。


「分かりました。本当に辛いですけど我慢します」

「フン、良く言うわね。その分エマに注ぐだけのくせに」

 うーん、見透かされてる。

「否定はしません。だけどヴィンヴィンさんと思う存分できないのが辛いのは本当ですからね。何か手を考えておきます」

「好きになさい。でもそれを受け入れるかどうかは分からないわよ」

 そんなこと言ってるけど顔がちょっとゆるんでますよ女王様。

 その期待に必ず応えてあげますからね。ムフ




「お邪魔しまーす」

 誰にも聞こえないような小声で仁義を切ってからエマさんの部屋へ入る。

 いくつかの間接照明がぼんやりと照らす空間の中央に大きなベッドがあった。

 そこにエマさんは腰かけている。

 はやる胸の鼓動を抑え付けながらベッドへと歩を進めた。

 純白のバスローブ姿を目の前で見た途端、考えていた台詞セリフが全て消し飛んだ。

 魔乳女神の隣に座り抱きしめて何度もベロチューした。

 可憐な唇と生温かい口腔を存分に蹂躙したことで一定の満足を得た俺は、やっと本題に入るだけの心の余裕ができた。


 ここがハーレムルートの入り口だ。

 ここからが本当の勝負所なんだ。

 エマさんとの幸せはハーレムルートにしかない。


 異世界ゆえの暦の違いで何故か12歳にされてしまった俺は、行き遅れ年増女のエマさんとは逆ロリ婚になってしまい、聖職者のエマさんは醜聞にまみれる。


 その為、エマさんトゥルーエンドという単独ルートはないのだ。

 エマさんと結婚するには、パーティーメンバー全員と結婚して逆ロリ婚をその中に埋もれさせるしかない。


 俺は貴族として認められたのでこの国では6人まで嫁にできる。

 ちょうどパーティーメンバーの人数にピッタリだ。もうこれは運命だろ。

 という訳で、その一歩としてこれからエマさんとちぎろうと思う。

 

「今夜、エマさんに話したいことがあります」

「はい、お聞きします」

「先日ギルドで、僕との結婚によってエマさんが受ける中傷や迫害への対応策を、アイリーンさんに聞かれたことがありましたよね」

「ええ、憶えています」

「あの時、それは最初にエマさんたちへ話すことだと僕は答えました」

「そうでしたね」

「その対応策をエマさんに聞いて欲しい。そして了承して欲しいんです」

「承知しました」


「でもその話をする前に僕はエマさんを抱きます」

 

「・・・はい」

「エマさんたちが決めた婿取りルールに反しますが、最後の一線を越えます」

「ワタクシの覚悟は済んでおりますわ」

「ありがとうございます」

「ですが、その前にイクゾー様の覚悟を確かめて下さい」

「僕もとっとくに覚悟はできています」

「でも、まだイクゾー様の知らないことがあるのです・・・」

「というと?」

「それはご自分の目でお確かめになって下さいませ」

 エマさんはベッドに上がって仰向けに横たわり目を閉じた。

「どうぞ」

 

 自分の目で確かめろか。じゃあ遠慮なく脱がしますね。

 花嫁衣裳のように純白のバスローブの帯をほどきガバッと前を開いた。


 うおおおおおおおおおおおお!!


 す、凄い、分かっちゃいたがとんでもないオッパイだ・・・ゴクリ

 顔の小さなエマさんの頭よりも大きい。

 俺史上最高峰の山の頂にはぷっくりと大きく、だが品のある乳首が乗っている。

 あ、いかんいかん、思わず手が伸びそうになった。

 もう少しだけの辛抱だ。今はエマさんの心のしこりを探さなくては。


 ・・・無い・・・・無いな・・・何も無いよ。

 いや本当にエマさんの身体におかしな点なんてどこにも無い。

 強いて言えば乳輪が広いことぐらいだが、これだけの魔乳ならむしろそうじゃないと逆に変な気がするしなぁ。

 一体エマさんは何を気にしてるんだろう?

 ダメだ。降参だ。謝罪して素直に訊こう。もう俺の性欲は爆発寸前なんだ!


「ゴメンなさい。僕には分かりません。エマさんが何を気にされてるのか」

「同情や哀れみなど不要ですわ」

「決してそんなんじゃありません」

「本当にお分かりになりませんの?」

「エマさんに嘘は通じませんし、そもそも騙すつもりなど毛頭ありません」

 数秒の間、じっと俺の顔を見つめていたエマさんは意を決し口を開いた。


「乳首です・・・ワタクシの乳首は人と違いいつも突出しているのです」


 いやそれって普通のことじゃないの?

 童貞歴年齢マイナス二日の俺には分からないよ。


「数十万人に一人という呪われた乳首ですわ」


 呪いの乳首!


 それによって何か不幸なことでも起こるんだろうか。

 それなら確かに分からんでもないが。


「その突出乳首だと何かわざわいが降りかかるのですか?」

「痛いです」

「痛い?」

「服や硬い装備に擦れてとても痛いです」

「な、なるほど」


「だからブラジャーが必要になります。まだ母乳も出ないのに・・・」


 それがとてつもない屈辱だという表情を魔乳司祭はされてらっしゃる。

 俺の知らないこの異世界での常識や品格があるようだ。

 となれば、婿として最愛の妻を救ってやろうじゃないか。

 

「大丈夫ですよ。遅くとも三日後には母乳が出るようにしてあげます」

「あ・・・」

 俺の言葉の意味を理解したエマさんが頬を染めてうつむく。

 この異世界の女性は妊娠しなくても子種を注がれただけで母乳が出るのだ。


「母乳が出ればブラジャーを着用するのは当たり前になります」

「そ、そうですわね」


「ではそろそろ始めても宜しいでしょうか?」

「本当に平気なのですか? 気持ち悪くないのですか?」


「ええ、むしろ興奮しますのでもう気にしないで僕に任せて下さい」

「はい。不束者ですがどうか宜しくお願い致します」

 まだどこか不安を払拭し切れていないエマさんの為に、俺は魔乳司祭の呪われた乳首にキスをしてから口に含みふやける程に堪能してから本番へと進んだ。




「パーティーメンバー全員と結婚、ですか?」

「うん、そうすれば、僕とエマの年の差婚は6つの婚姻の中に埋もれて目立たないし、エマが僕をたぶらかしたと曲解して中傷する人も出ないでしょ」

「ええ、そうなると思いますわ」

「ね、だから僕はエマと平穏な夫婦生活を送るためにパーティー全員と結婚したいんだ。お願いだからエマにはそれを許して欲しい」

「ワタクシとの結婚をそこまで考えてくれていたなんて感激ですわ。もちろんそのお考えに同意致します」


「本当に?僕が他のメンバーとエッチするのは嫌じゃない?」

「少しだけ複雑な気持ちはありますが最初からそうするつもりでしたから」

「えっ、どういうこと?」


「ひと月後にイクゾー様が伴侶を選ばれた時、選ばれなかった者たちは愛人にして頂くようお願いするつもりだったのです」


「それは本当に驚きだよ。どうしてそんなことに?」

「皆それぞれに事情があります。ワタクシからは申し上げられません」

「うーん、とにかく皆は僕とハーレム婚する意志があると思っていいのかな?」

「はい。ただティアとローラは掴み所のない性格をしてますので・・・」

「そうだね。僕から本人に確認してみるよ」

 ティアはともかくダークエルフのローラは結婚となると色々面倒そうだよなぁ。


「ただ、この計画には一つ致命的な欠陥があります」

「分かってるよ。6人も嫁にして僕の体力が、精力が持つのかでしょ?」

 それはこれから嫌ってほど証明してあげるからね。

 15歳男子の底無し性欲を大解放させてやろう。

 さっきは三回したところで俺の身体を心配して止められたけど、今度はエマが失神する寸前までやり続けるぞー。

「いけませんっ、一晩にこんなにされてはあ、お身体がっ」

 何度も大丈夫と言ったのに夫の言葉は信じない悪い妻にはお仕置きだな。

 俺は小言を続けるエマの口を塞いでから第二ラウンドへ突入した。



「もぉ、本当にワタクシを殺すおつもりですの・・・」

「何言ってるの、僕はまだ手加減してるんだからね」

「これでまだ底ではないと言うのですかあぁ」

「あと3回は余裕だよ。まだまだエマを愛し足りない」

「あぁ・・・申し訳ございません! ワタクシはもう駄目ぇ」

「これで僕の身体が何人嫁にしたって平気だと分かってくれたでしょ?」

「はい、伴侶以外を愛人にして頂くようお願いすると決めた時もその点を心配しておりましたが杞憂でしたわ。望外の喜びです」

「じゃあこれで問題は無くなったね」


「いえ、ワタクシが言おうとした計画の致命的欠陥はそれではないのです」


「えっ!?」


 おいおい、ギルマスのラムンからこの対応策を教えてもらった時はそんなものがあるなんて聞かされてないぞ。


 あっ、ギルマス自体が銀行の詐欺にコロッと引っかかる間抜けだった!

 そんな奴の策を鵜呑みしちゃいけなかったんだよ・・・

 今更ながらその点に気付いた俺にエマが裏付けを与えてくれた。


「イクゾー様は貴族ですが、この国で6人と結婚することはできません」

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