第15話 夜這いガチャ(年増女司祭 or 合法ロリ or 肉墜ち闇エルフ or ツンドラ美少女)

「ギャース! モモモ、モンスターが出たぁ! エマさん助けてーーー!!」


 ガチャ! シュタタタタタタタ

「アレー様、ご無事ですか!」

「ススススス、スライム、スライムが出たぁ・・・助けてエマさん!」

 エマさんは俺の足元でプヨプヨしている物体を見ると安堵の表情を見せて俺に大丈夫ですよと優しく微笑みかけた。


「スライムは自然の掃除屋です。何も危険はありませんわ」


「へ? モンスターじゃないんですか?」


「はい、魔獣ではありますが益獣ですのよ。スライムは汚物や抜け毛などの老廃物を体内に取り込んで処理してくれますの。この子は便座の下の穴から這い上がって来たようですわ」


「そうだったんですか。何だかお騒がせしてすみませんでした」

「いえ、ワタクシのほうこそ事前に伝えておくべきでしたわ」

 エマさんはそう言いながら俺の下腹部あたりをチラ見している。

 あっ、俺まだズボンを下ろしたままだわ。フルチンだったわ。フヒヒ


「そ、外で待っていますので、ごゆっくりどうぞですわ」サササッ

 エマさんが顔を赤くしながら去っていく。

 俺もさっさと用を足し、手を洗ってトイレを出た。


「今日はいろいろありましたから、もうお部屋でお休みになって下さい。ご案内いたしますわ」


 確かに今日一日だけでいろいろ有り過ぎたよな。

 体も頭もヘトヘトだ。リフレッシュが必要だろう。

 俺はエマさんの心遣いにお礼を言って彼女の後に続いた。

 またリビングに戻ってから二階への階段を上がっていく。

 目の前で揺れるエマさんのお尻にむしゃぶりつきたくなるのを必死に堪えた。


 二階にあるリビング正面のドアを抜けると廊下の左右に2つずつドアが見えた。


「左手のドアは今不在のメンバーの部屋ですわ。アレー様には右手奥の部屋を用意させて頂きました」

 俺の部屋のドアの前に着くとエマさんは立ち止まる。

「ここになりますわ。まだワタクシたちはアレー様の部屋に入れませんので中でご説明できませんが、室内の事でお聞きになりたいことや必要なものがあれば遠慮なく申し付けて下さいね」


「どうして僕の部屋に入れないのですか?」


「抜け駆けになってしまいますから。6人揃うまでは誰も入れないことにしておりますの」


「そうですか。もう少し一緒にいたかったので残念です」

 そう言ってエマさんの左手を取って優しく握る。

 彼女も俺と同じ気持ちだったようで名残惜しそうに繋がった手を見ていた。

 本日最後の二人っきりだしもうちょっとだけイチャコラしておこう。


「やっぱりとても似合ってますよ。そのメガネ。素敵です」

「もぉ、からかうのはおよしになって下さい」モジモジ

 うはぁ、魔乳持ちの大人の女性が恥じらう姿はイイ。凄くイイ。

 俺の中のエマ愛メーターが振り切り、気づいたら抱きしめていた。


「抜け駆けはダメだけど、このぐらいなら良いですよね?」

「そ、そうですわね。ハグなんて大陸では挨拶のようなものですもの・・・」

 あぁ、幸せだなぁ、俺は死ぬまでエマを離さいよ。いいだろう?

 いや、遺憾! 

 こんな状態なら当たり前だが、息子がおっきしてきた。

 プロポーズの時は妙なテンションになってたから押し付けちゃったけど、さすがにここでまたやるのは不味い。

 エッチ押しして嫌われたらこれまでの成果がオジャンになる。

 抱き合ったままスッと腰だけ引くと、驚いたことに今度はエマさんのほうから空いた隙間を埋めて密着させてきた!


 ど、ど、どうしたんですか?

 そんなことされたら当たっちゃうんですけど・・・


「ワタクシ、これでプロボーズをお受けしましたの」


「えっ!?」


「アレー様が、ワタクシに欲情して下さったので自信が持てたのですわ」


「そ、そうだったのですか」

 ビックリだよ。本当に何が奏功そうこうするか分からんもんだな。

 童貞が故のテンパった行動が大正解だったとは、まさにドーテーズラックだ。


「はい、言葉だけでは怖かったのですわ。求婚をお受けしても、その時になってアレー様がその・・・できなかったらワタクシは絶望するしかありませんもの」


 なるほど。確かに新婚初夜に魔乳のせいで夫が勃起できなかったら地獄だわ。

 ま、絶対にそんなことは起こらんけどな。

「エマさんとだったら僕はいつでもどこでも欲情できますよ」ハァハァ

「これが女冥利ですのね・・・」ハァハァ

 体がかつてないほどカーッと火照る。

 きっとエマさんも一緒のはずだ。


 もうこのまま俺の部屋で最後の一線を越えても良いんじゃないか? 

 いやむしろ越えるべきだろ。二人が結ばれるのは天意だから仕方ないのだ。

 俺は部屋のドアを開けて抱き合ったままエマさんを連れ込もうとする。

 しかしエマさんはやっぱり厳格な司祭様だった。

 情愛と欲望に流されるのを良しとせず、やんわりと体を離して申し訳なさそうに俺を諭す。


「今はいけませんわ! ワタクシたちの将来の為にもう少しだけ我慢なさって下さい。あぁ、アレー様の求めに応えられないワタクシをお許し下さいませ!」


 うん、エマさんも酔ってるな。

 上等なブランデーとこのシチュエーションに。

 そう気づいたら、ちょっと冷静になれた。

 ぶっちゃけ、ここでさらに強引に押せばエマさんは墜ちるかもしれない。

 でもそうなったら必ずお互い後悔する。

 今夜はもう素直に寝るのが吉だ。

 

「僕のほうこそ不埒な真似をしてすいませんでした」

「謝罪など必要ありませんわ。今夜はもうゆっくりとお休みなさいませ」

「はい、じゃあエマさん、おやすみなさい」

 エマさんは満ち足りた顔をしておやすみなさいと言い階下へと去っていった。

 一人になったら途端に肌寒くなってきたわ。

 とっととベッドに入って寝るとしよう。


 俺の部屋に入ると、すぐ右側が収納、左側が応接セット、ベッド、机という並びで奥に続いていた。

 ベッド脇のナイトテーブルに灯りが置かれボンヤリと周囲を照らしている。

 そこまで進むと買ってきた着替え一式がベッドに置いてあった。ありがてぇ。

 寝巻らしきものに着替えてベッドに潜り込むと直ぐに睡魔に襲われ眠りについた。




 ブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル


「ぶるぁぁぁぁぁああああああ!!!」ガバッ


 寒いわっ。

 ていうかもう冷たいわっっっ。


 何だこれ、何でこんなに部屋が冷えてるんだ?


 まるで冷蔵庫の中みたいじゃないか。

 俺は上半身だけ起こして両腕をさすりながら部屋を見渡した。

 ナイトテーブル上の照明装置が薄っすらと照らす部屋には特に何も異常はない。

 要するに、この国の深夜は普通にこれだけ気温が下がるってことか。

 

 ともかくこんなペラペラの掛け布団だけじゃ凍死する。

 いや冗談抜きで。


 ブルブルブルブルブルブルブルブル


 ハァ~、すりすりすり、ハァ~、すりすりすり

 温かい息を吐きかけて手をこすっても暖がとれるのは一瞬だけだ。


 ブルブルブルブルブルブルブルブル


 ・・・これは緊急事態だ。

 早急に決断してなくてはならない。


 ここで凍死するか、女の部屋に突入するか、この二択だ。


 もちろん凍死は却下だ。

 エマさんを残して死ぬなんて絶対にできない。


 となると、俺の選ぶ道は、夜這いしかない!


 これも生き残るためだ。仕方ないんだ。ムフ

 

 問題は誰の部屋へ行くかだが・・・

 それはもうエマさんの部屋しかないだろう。

 この国では成人扱いとはいえ12歳のレイラちゃんの部屋に侵入するのは気がひける。

 駄肉デパート闇エルフのローラはいろいろ面倒くさそうだ。

 ヴィンヴィンは論外だな。深夜に侵入なんかしたら殺されかねない。


 というわけで、ミッション・プランは決まった。


 エマさんの部屋へ侵入し朝まで添い寝してもらうのだ。

 あの豊満で柔らかそうな肉体で暖を取り生き残るのだ。

 その際に、魔乳の中へ顔が埋まってしまっても不可抗力なのだ。


 よし、早速行動に移るぞ。


 俺は寝巻のまま部屋を出て、細心の注意を払って音もなく階段を下り、女たちの部屋へと続くリビング正面のドアを開いた。ゴクリ


 ここだ、ここからが勝負だ。

 エマさんには可能な限り迷惑をかけたくない。

 後で騒ぎにならぬよう、誰にも気づかれずにコッソリ侵入しなければ。

 

 しかしここで思わぬ伏兵が待っていた。

 二階と同じ間取りの4部屋の内、どれがエマさんの部屋か俺は知らなかったのだ。

 とりあえず右手前のドアに近づいてみる。


 すると、ドアに名札が掛けられてるではないか!


 よしこれでイケる。

 忍び足でドアの前に立ち名札の前に顔を寄せると・・・


 文字が読めないっすわー。


 そうだった。俺はまだこの国の文字がサッパリだった。

 どうする? 考えろ、どうすべきか考えるんだ。


 ブルブルブルブルブルブルブルブル


 くっ、廊下は部屋以上に寒くて考える余裕なんてないじゃないか。

 何でもいい、思い付きでもいいから、何かヒントを・・・


 あっ、二階の俺の部屋の下じゃないか?


 エマさんなら俺の部屋を自分の部屋と一番近い場所にしそうな気がする。


 ブルブルブルブルブルブルブルブル


 あぁ、ダメだ、もうこれ以上考えてる余裕がない。

 行こう。俺の部屋の下になる右手奥の部屋へ。


 抜き足差し足忍び足。

 何とか足音を立てず、くしゃみもせずに目的の部屋のドアの前に来た。


 ドアノブにそっと手をかける。

 もし鍵がかかっていたらお仕舞だ。

 俺はエマさーんと魔乳の女神に祈りながらドアノブをひねった・・・カチャリ

 

 イエス!


 鍵はかかってなかった。

 ゆっくりとゆっくりとドアを開けていき、体一つ分の隙間から部屋へ侵入した。

 く、暗い。ほぼほぼ暗闇だった。


 ただ、部屋のど真ん中に仄かな灯りに浮かび上がる大きなベッドがあった。

 俺は歩いて何かにぶつからない様に匍匐ほふく前進でベッドの下まで到達する。

 そしてペラペラの掛け布団をめくってベッドの中へとスネークしていく。


 スースーという寝息が50センチ先から聞こえる。

 暗くて見た目では誰か分からない。


 下手に声をかけてエマさん意外だったら騒ぎになる可能性が高い。

 それにもう誰だろうと直ぐにでも抱き着いて暖を取らないと俺が死ぬ。

 これはもう生死を賭けたクジ引きだった。

 

 まさに夜這いガチャだ。


 さあ、行くぞ、行くぞ、来い、来い、魔乳女神エマ!


 俺は女体の背中にすり寄るとピトッと張り付いた。

 あぁ、温かいナリ~。


 3分程そうしていただろうか、しかし俺はまだ寒さに震えていた。

 最初は微かな体温を感じられただけで随分温かい気がしたが錯覚だった。

 この国の夜の寒さはそんなものでは対抗できそうになかった。


 更なる体温を求めて、そっと張り付くような体勢をガバッと抱き着くような体勢に変える決断を下した。

 対象を起こしてしまうリスクがあったが、凍死するよりはマシだった。

 

 ゴクリと唾をのみ俺が抱き着いた瞬間、女体がビクンと反応した。

 ヤバイ、起こしちまったか・・・・・・?


 スースースースー


 ふぅ、安らかな寝息が聞こえる。セーフセーフ。

 体勢を変えたことで密着度が増した。うむ、これはイイ感じかもしれん。

 お、おおぅ、これはもう温かさというより熱さまで感じる。

 これなら何とか朝までしのげるかもしれん。


 これで凍死を免れそうだという安心感が俺に少しばかりの余裕を与えた。

 今まさに抱き着いている相手の正体を知るべきだとやっと気付いたのだ。

 すると直ぐに相手の正体が分かった。

 俺とほとんど変わらない身長。

 お尻が小さくて細い手足。

 この特徴が意味するところは一つしかなかった。


 これ、ツンドラ魔導師のヴィンヴィンだー!


 夜這いガチャは完全に大外れだったのだ。

 これがバレたらと思うとガクガクブルブルと体が震え始める。


 いや、それけじゃなくてまた寒さにも震えていた。

 体が接触していない部分がどうしようもなく寒かった。

 あぁ、やっぱりこれって凍死エンドか誅殺エンドなのか・・・


 そう覚悟した時だった。

 ヴィンヴィンの体に湧き上がった汗の甘酸っぱい匂いが俺を刺激した。

 俺の本能が何故かそれを求めていた。

 訳が分からないまま、本能に従いその汗を指でそっと拭い舐めてみる。

 

 すると体の内側からジワーっと温まる感覚が広がっていく。

 これだっ。

 俺に必要なものはこれだと直感的に悟った。


 そもそも、どうして俺だけ夜の寒さに震えているのか?

 なぜ女たちは同じ家、同じ寝具なのに平気なのか?

 女たちと俺の違いは何なのか?


 それは魔力の有無だ。


 きっと魔力によって彼女たちはこの寒さに耐えていられるんだ。

 そしてヴィンヴィンは魔導師だ。

 常人より魔力が相当高いに違いない。

 その体から流れ出る汗に微量の魔力が混じっていても不思議じゃない。

 よし、これで俺のやるべきことは決まった。


 ヴィンヴィンの体に浮かぶ汗をぺロペロするのだ!


 そして体内に魔力を取り込んで暖を取るしかないんだ。

 本当はこんなことしたくないが他に選択肢がないんだっ。ムフ


 ヴィンヴィンの寝巻は感触からしてベビードールっぽい。

 うなじから背中にかけてと両腕は肌がさらされている。

 つまり、そこが俺の狩場だ。


 さあやるぜ! まずは背中で汗狩りだ! ヒャッハー!


 ぺロペロぺロペロぺロペロぺロペロぺロペロぺロペロ


「ヒャ!」

「ヒャ?」い、逝かん。

 さすがに起こしてしまったか・・・?


「ヒャダルコを侮ってはいけないわ」スースースー


「ホッ、なんだ寝言か」

 俺は舐めとった汗を飲み干していく。

 魔力が吸収されて体内からホカホカと温まっていくのを感じた。


 この効果は本当に凄いわ。

 温かいだけじゃなく全身の神経が研ぎ澄まされるような感覚まで湧いてくる。

 魔導師であるヴィンヴィンの汗は特別なのかもな。

 お陰で今度こそ大丈夫そうだ。


 ただ、朝まで持つかは分からない。

 このまま眠ってしまって途中で効果が切れたら朝には冷たくなってるケースもあるよな。

 だからもっとヴィンヴィンの魔力を摂取しなくては!

 しかし、背中の汗は全て舐め切ってしまった。

 それに腕のほうにはほとんど寝汗をかいていないようだ。困った。


 だが摂取した魔力により五感が少しだけ鋭敏になっていた俺は、まだ汗が残っている場所を薄っすらと嗅ぎ取ることができた。

 

 脇だっ!


 ヴィンヴィンの脇の下からあの甘酸っぱい汗の匂いがしている。

 魔力の味を知ってしまった俺は、もうその誘惑に耐えられない。

 一滴残らず堪能させてもらいますね。ムフ


 怖い魔導師を起こさないように全神経を集中して彼女の右腕を上げていく。

 ムワッとさっきより強烈に汗の匂いが漂った。もう我慢できない!


 ぺロペロぺロペロぺロペロぺロペロぺロペロぺロペロ


「ひぃぃ!」

「ひぃぃ?」ま、不味い。

 さすがに敏感そうな脇責めは無茶だったか・・・?


「ひぃぃぃとぉつ人の世の生き血を啜りぃ」スースースー


「ホッ、なんだ寝言か」


 なんてそんな訳があるか!!


 これ起きてますね。

 ヴィンヴィンさん、確実に気付いてますよ・・・


 だが何故だ?

 どうして俺を糾弾してベッドから叩き出し魔法でトドメを差さないんだ?

 今はそれが出来ない状態なんだろうか? 体調か魔法発動条件か何かで。

 いや、違うな。


 きっとこれは泳がされているんだ!


 俺がどこまで不埒ふらちな行いに及ぶかじっと観察してるんだよ。

 そして言い訳できない領域にまで達したら問答無用でるつもりだ!


 こ、これ以上はもう絶対に踏み込んじゃダメだ。

 助けてもらったお礼を言って大人しく寝るしかない。

 ギリギリセーフだったと祈りながら・・・


「ありがとうヴィンヴィン。お陰で凍死せずに済むよ。おやすみ」

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