第882話霧響とあゆの変化
「・・・いくら私が大人とは言え、少しお兄様に電話するくらいは、兄妹としてもおかしくもなんともないことですよね、二日目ですし、軽く体調などを聞いてみるくらいは良いはずです」
私は、お兄様が居なくても大丈夫な大人であると白雪さんに主張しましたが、やはり少しお兄様が居ないと寂し・・・お兄様が心配なので、電話をしてみることにした。
お兄様と二人きりでキャンプなんて、羨ましい限りですし、このくらいの電話は許していただきましょう。
ですが・・・
『電源が入っていないか、電波の届かない場所に居ます』
「・・・え?」
キャンプ地・・・確かに電波が届かなくてもおかしくはないですが。
ということは今、お兄様は白雪さんと他から遮断された場所に居る!?
「今すぐにでもお兄様の元に行きたいですが、どこに行ったのか場所がわかりませんし・・・白雪さんも、最近は落ち着いてきましたしお兄様に嫌われないためにも無理やり何かをするということはないはず」
私はそう言い聞かせて、落ち着くことにしました。
私が落ち着いて飲み物を飲んでいると、インターホンが鳴りました。
どなたかと思い出てみると、そこにはあゆさんが居ました。
「あ、霧響ちゃ〜ん!先輩は〜?」
「あゆさん・・・お兄様なら、今白雪さんと二人でキャンプに赴いています」
「二人!?え、何してるの霧響ちゃん!先輩なんて一人にしたらダメじゃん!」
「・・・いえ、その心配は無いと思いますよ」
「・・・え?」
「白雪さんもなんだかんだ、以前と比べればなんだか変わったような気がします・・・もうお兄様に対して無理やり、なんてことはしないと思います」
私がさっき自分で出した結論を口にすると、あゆさんは落ち着いた声で言った。
「そうかもね、無理やり・・・はもう無いなら、あとは先輩が合意したらってことかな」
「・・・それだけは、お兄様しか決めることができないですねどうなっていたとしても、私たちは受け入れるしかありません」
「・・・ちょっと前の私なら嫌がってたけど、今は別にたとえあの二人の間で何が起きても、私は諦める気はないし、それならそれで正面からちゃんと向き合わないとね〜」
あゆさんは私に手を振ると、背を向けて帰っていった。
「・・・あゆさんも変わりましたね」
・・・私も、そろそろ変わらないとダメなんでしょうか。
お兄様に対する想いを完全に諦めるように。
「・・・しばらくは無理そうですね」
ですが、こう思えているだけでも、少しは変われているんでしょうか。
・・・どのみち今すぐに完全に変わることは不可能ですね。
私は今すぐに変わることを少し諦めて、お兄様が帰ってくる前に改めてお兄様の部屋を掃除しておくことにしました。
お兄様に褒めていただけるでしょうか、楽しみです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます