第829話結愛は屈服させたい
「あの虫ってさ、恋人としては絶対に必要な、そーちゃんに対する優しさっていうのが欠如してると思うんだよね」
「この状況でそんなことを言うのか!?」
俺は今両足を拘束されてベッドに押し倒されている。
こんな状態では初音の優しさに対して言及なんてどう考えても不自然だ。
「でもそーちゃんはそんなあの虫のことを選んでる・・・だからあの虫と同じようにちょっと強引にして、そーちゃんを屈服させてあげる」
「屈服って・・・」
結愛は俺の服のボタンを外そうとするが・・・
「や、やめろ!」
俺は拘束されていない両手で結愛の肘を抑えてそれを妨害する。
被害者側が言うのもなんだが屈服させたいのなら両手両足を拘束すれば良いのに、どうして結愛はそうしないんだろうか。
経験則で語りたくはないが初音だって今までそうしてきていた。
「あの虫もそーちゃんのことわかってないよねー、例え全部拘束して何したって、そーちゃんに「あの時は動けなかったから仕方ない」っていう心の余裕を与えちゃうだけなのに」
そう言いながら結愛は俺の妨害をなんともせずに俺のボタンを外し始めた。
「な、なんで・・・!?」
「私そーちゃんのお嫁さんになるために花嫁修行をいくつもしてきたの、だからそーちゃんのその程度の妨害じゃなんともないよ」
「花嫁修行をこんなことのために併用するんじゃない!」
「お嫁さんになるためにするんだから、理に
今の結愛に何を言っても無駄なようだ。
かといって手なんて抑えてもそのまま手を握り返されて愛情表現だと誤解されかねない。
かといって暴力はダメだ、倫理的にはもちろんだがそれを種に何か脅しをかけられてしまうかもしれない。
「そーちゃんも抵抗しないってことは、受け入れてくれるってことだよね」
「ち、違う!抵抗はしてただろ!肘を抑えてた!」
「あぁ、一応は抵抗したってことにしとかないと罪悪感と向き合えないんだね、あんなのじゃ抵抗の内にも入んないのに」
「くっ・・・」
本当にどうすれば結愛を止められるんだ・・・というか、両手だけで俺が結愛のことを止める手段なんてあるのか。
この前初音にしたみたいにキスをするか・・・いやそれはダメだ、それも愛情表現として受け取られて浮気をより深刻化させてしまう。
「じゃあどこからだったら抵抗に入るんだ?」
「それは、暴力とかじゃない?」
「ぼ、暴力って・・・」
でも、それは・・・
「この場合正当防衛になるんだから、本当にこの行為を防ぎたいんだったら私のこと暴行すれば良いよね?」
「い、いや・・・」
正当防衛って言っても暴力は・・・どうなんだ。
「ほら、殴るのが無理なら私のこと両手をパーにして突き飛ばしてみて良いよ」
・・・そうか、一口に暴力といっても殴るとかだけじゃなくて突き飛ばすって言うのもあるんだ、それも離すくらいでいい。
・・・よし。
俺は結愛を俺から離すために、両手を前に伸ばして結愛を軽く突き飛ばすことにした。
だがその次の瞬間、予想打にしないことが起きた。
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