第787話世継ぎの話
「・・・そうだ」
いくら学校に行っていないとは言ってもちゃんと勉強はしておかないとな。
俺は教科書とノートを手に机と向き合う。
「よし」
勉強を始める決意が固まったところで、俺はペンを進めようとしたが、そこで神は俺の勉強の邪魔をしたいのかと思うほどのタイミングで霧響が部屋に入ってきた。
「お兄様!私、覚悟を決めました!」
「か、覚悟?」
前そう言えばそんな感じの顔つきになっていたような気がするがまさかこんなにも早く何かをしようとするとは。
「その覚悟っていうのは、どうするんだ?」
婚約を迫られたとしても俺が承諾しないことは今までのことで霧響だってわかっているはずだ、何を覚悟したんだろうか。
「はい、いっそのこと無理矢理にでもお兄様のお子を授かろうと思いました、本当は無理矢理になんて不本意ですが」
「は・・・!?何言ってるんだ!?中学生と高校生ってだけでダメなのに兄妹でなんてもっとダメに決まってるだろ!」
「14歳から17歳までは一括りです!中学生だとか高校生だとかは関係ありません!」
「よ、よくは知らないがどちみち兄妹でそんなことおかしいだろ!」
「はい、ですから無理矢理と言いました、最後にもう一度だけしっかりとお願いします、この返答がどちらにしろすることは同じです・・・」
霧響はできれば俺に承諾して欲しいんだろうけど、俺がそんなことを許容できるはずがない。
「お兄様!お願いします!お兄様の子を孕ませてください!!」
「霧響、俺は───────」
「何してるの?」
「え」
俺は間を空けず驚いた。
こんなに霧響に詰め寄られてる状態で初音が入ってくるとは・・・しかも、もしかして今の霧響のセリフ聞かれてたのか?
だとしたらまずは誤解を解くところからだ。
「初音───────」
「お兄様、今は白雪さんとではなく、私との世継ぎの話です」
「世継ぎ・・・?」
初音は疑問を覚えている、どうやら本当に今ちょうど来たところらしい。
「どういうこと?そーくん」
「これは霧響が勝手に───────」
「お兄様!今は私と話してください!」
そう言うと霧響は俺の頬にキスをしてきた。
「えっ?」
「これで私に集中してくれますか?お兄様───────」
「何してるの?」
初音は持っている謎のものをその場に置くと同時に俺と霧響の間に割って入った。
「霧響ちゃん、兄妹だからって今のは許されないよ?私のそーくんに手を出すなんて」
「私のじゃないです、お兄様は幼少期からずっと私と居ましたし、産まれた場所も同じです、つまり私の方がお兄様と結ばれるに相応しいと言うことです!」
「・・・ちょっと将来のお姉ちゃんとして、色々と教えてあげる」
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