第643話初音にだけ
「・・・え?」
「無理に決まってるでしょ?なんでわざわざこんな女のために半年間もそーくんの浮気を見過ごさないといけないわけ?」
「で、でも、そうすることでこれからは仲良く─────」
「仲良く?それこそ無理に決まってるよね?この女が仮にそーくんと恋人になろうとしなかったとしても私はこの女が`女`である時点でそーくんに近づけたくないの、しかもそれが幼馴染なんて立場なら尚更ね?で、それで全ての問題が片付くわけでも無いよね?霧響ちゃんは看過するとしてもあの淫乱女のことはどうするの?」
「そ、それは・・・」
・・・正直結愛よりもあゆのことの方がどうにもできない可能性が高い。
「解決しないよね?だからそーくんに浮気させるだけ無駄なの、わかった?」
「・・・・・・」
「・・・はぁ」
初音はわざとらしく大きなため息をついた。
「本当に私そーくんのことが心配になってきたよ、この世にはそーくんをたぶらかそうとする悪い女がたくさんいるんだから、私以外の女が言ってることは常に嘘だと思ってね?本当にだよ?騙されるなら私にだけにしてね?」
・・・そもそもなんで前提が俺がそんなに女の人にモテる前提なんだ?
わざわざ俺のことをたぶらかそうとする人なんてそんなにいないと思うけど・・・
って!それよりも・・・
「流石に俺だってもう高校生なわけだし、そんなことは言われなくてもでき──────」
「は?言われなくても?何?」
初音は威圧的に言った。
ま、まずい・・・これは何かしらの地雷を踏んでしまう可能性が非常に高い。
「あ、いや!そ、そうだな、今の初音の忠告を受けて疑っていこうと思う」
「・・・うん、そーくんはそれで良いの」
・・・どうやら地雷を踏むことは回避できたらしい。
「・・・え?そーちゃん、それって私と恋人にならないってこと?せっかくそーちゃんがその女から離れられる可能性がある選択肢を提示したのに?」
「・・・え」
地雷回避できたと思ったが、それはあくまでも初音の地雷であって、結愛の地雷は回避できなかったらしい。
「そーちゃんはこの虫のこと好きなの?」
「は?そんなのそうに決まってるでしょ?」
と、俺の代わりに初音が口を挟んだ。
「虫には聞いてないし、そーちゃんは今でもあの春から変わらずあの虫のことが好きなの?好きなら口に出して言ってみて?」
「えっ」
「言えないの?なんで言えないのかな?好きなら好きぐらい簡単に伝えられるよね?」
「そんなの当たり前のこと常識、世界の基準なんだから言うまでも無いってことだよ、そんなこともわからないの?」
「虫には聞いてないって言ったよね」
・・・修羅場不可避、だな。
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