第616話絶たれた退路
「どど、どういうことだ!?」
「だからっ❤︎そーくんのお母様に謁見が叶ったのっ!やったね!」
「や、やったね、って・・・」
「・・・何?そーくんは嬉しくないの?」
「い、いや、そ、そう言うわけじゃ・・・」
嬉しい嬉しくないの前にそもそも俺は今初音が何を言ってるのか理解ができていない。
お、俺のお母さんに謁見・・・?
謁見っていう言い方はともかくとして、それって俺の母親に会うってことだよな・・・
つまり・・・俺の親に挨拶ってことだよな!?
な、なんでいきなりそんな話に・・・
「え、えーっと、な、なんでそんな話になったんだ?さ、流石に急すぎないか?初音も俺の親とは初対面というか初めての会話だっただろうし、ここは一旦掛け直してもうちょっとゆっくりと交友を深めてから───────」
「だめだよ!せっかく他の女たちを黙らせることのできる千載一遇のチャンスが来たんだから有効に使わないとっ!」
「そ、そうは言ってもな・・・」
有効に使うどうのはよく知らないけど俺の心の準備っていうものもしっかりとその明晰な頭脳で計算に入れて欲しい。
「・・・そーくんさっきから否定的なことばっかり言ってるけど、もしかして嫌なの?」
ま、まずい・・・
「い、いやいや!い、嫌なわけないだろ!?」
「・・・それなら良いんだけどね、あ、あとさっき電話中にそーくん何か余計なこと言おうとしたよね?」
「・・・え?よ、余計なこと・・・?」
「ほら、私がそーくんと結婚を前提に付き合ってるって言った時だよ」
「え、あ、あぁ、まぁ、言ったけど・・・」
「あの時何言おうとしたの?」
「・・・・・・」
本当にまずい展開になってきた・・・ここで俺が正直に「いやいや!結婚を前提には付き合ってないだろ?」なんてことを言おうとしてたなんてバレたらきっと怒られるどころじゃない・・・しかもこの空気感だ、言葉は慎重に選んだ方がいいだろう。
「あ、あの時は、だな・・・な、なにそんな当たり前のこと言ってるんだって言おうとしてたんだ」
「っ!あっ!そうなのっ!?」
初音は嬉しそうに言う。
「なーんだー良かったー、私まだ全然そーくんのことわかってなかったみたいだねー、そうだよねー、そーくんが私との結婚を邪魔するようなこと言うわけないよねー」
「そ、そうだって、は、はは・・・」
さぁこれでもう引き返すことは許されなくなったな・・・
「じゃあ早速だけど次の日曜日にしよっか!」
「・・・えっ!?」
「だって平日だったらそーくんのお母様と都合が合わないかもでしょ?」
「そ、そうじゃなくて、そ、そんな急いで会うことはな───────」
俺が異議を挟もうとするも、初音の怖い目にやられてしまい俺は黙り込んでしまう。」
「さっきも言ったけど、これはそーくんが私のだってあの無知な女たちにわからせるチャンスなの・・・わかるよね?」
「・・・はい」
こうして、次の日曜日は俺にとって大変な1日になることが確定した。
「・・・・・・」
いや、その日に何が起きるかによっては、1日どころか、俺の人生すらも決定してしまうのかもしれない・・・
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