第608話結愛の弄り

「・・・あっ!そーちゃんは逃げたかったら逃げてもいいよ?それを無理やりしてこそトラウマになるからねっ!」


 笑顔でそんなこと言うな!


「ちょっ、ま、待て待て、も、もちろん俺は逃げる気だけど、その前に・・・お、俺にトラウマを植え付けるなんてことして心が痛まないのか!?」


 俺は多少演技混じりに、そして心に訴えかけるように言う。

 これで結愛が良心の呵責に苛まれてくれれば俺にトラウマを植え付けるなんてどこから出てきたのかわからないような発想は取りやめてくれることだろう。


「・・・心は痛むよ?」


 どうやら効いているみたいだ。


「な、なら───────」


「でも、これはそーちゃんのためなの」


「な、なんで俺にトラウマを植え付けることが俺のためになるんだ?」


「それを言っちゃったらトラウマを植え付けようにも植え付けれなくなっちゃうから・・・ダメ」


「・・・・・・」


 よくわからないけどとにかく結愛が引く気がないことだけはわかった。

 なら俺だって・・・ここから逃げる!


「っ!」


 俺はすぐにベッドから降りて少しだけ痛む足に負荷をかけてこの部屋を出るべく走る。

 いくら暗闇に目が慣れていても暗闇は暗闇、そんな中で俺がいきなり動いても反応すらままならないはず──────


`ギュッ`


「・・・え」


 結愛は俺のことを抱きしめ・・・いや、捕獲するとすぐにベッドに戻した。


「じゃあそーちゃん・・・脱ごうね」


 俺のズボンに手をかけ────当然のように下ろす。


「ちょっ、ま、待ってく─────!?」


「は〜い、うるさいですよ〜♪」


 あゆは俺の口を何かは見えないが何かで塞ぎ、俺の両手首を一つにまとめて自分の手で拘束した。


「ん”!んん”!!」


 俺のそんな声など気にもせず、今度は俺の上着を結愛は丁寧に脱がしていく。

 ・・・え、て、ていうかトラウマとか言ってるけどこれって普通に諸犯罪じゃないのか?

 やってることがニュースとかでたまに見る性犯罪とほとんど変わってなくないか!?


「トラウマって言っても、そーちゃんは気持ち良くなるだけだから大丈夫なの」


 いや、だからって犯罪を犯しても良い免罪符にはならな────────


「んっ・・・」


「あっ❤︎」


 結愛は俺の反応を楽しみながら暗闇の中で俺の上半身を弄るまさぐるように触る。

 ・・・こういうのは反応するからいけないんだ、反応を我慢すればその内に結愛も飽きてくるだろう。


「ここはどうかな?」


 結愛は的確に俺の性感帯を突いてく───────


「ん”!」


「・・・えへへ❤︎」


 ・・・無理に決まってるだろ!

 性感帯を触られても何も反応しないなんて少なくとも俺にできるはずがない。


「・・・そろそろ、だね」


 結愛はさっきまでの空気から一転し、真面目な感じになると・・・俺の下着をずらした。

 ・・・真面目な感じで下着をずらされてもって感じではあるが、そこはもうスルーするべきなんだろう。

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