第606話子供のような結愛
「そーちゃん!大丈夫!?何もされてない!?」
「え、あ、あぁ、大丈夫────じゃない!全然大丈夫じゃない!後もうちょっとであゆと───────」
「結愛先輩、私が一回先輩とえっちしたら先輩を貸してあげますからちょっと見ててくれますかぁ?」
あゆは下着を脱ごうとする手を止めて、結愛の方に向き直った。
「ぜっっっったい無理!!あの虫から離れさせたのは良い功績だけどそれとこれとじゃ話が違うから!無理無理無理!絶対ダメダメダメ!!」
結愛は子供が駄々をこねるように喚き散らかした。
・・・が。
「結愛先輩、もっとよく考えてみてくださいよ〜、ここで先輩とするだけで白雪先輩から先輩のことを奪えるんですよ〜?」
「それはわかってるけど、そーちゃんとえっちするのはあなたじゃなくて私だって言ってるの」
「それはまぁ〜?早い者勝ちみたいな感じで先に先輩と居たのは私なので私が先輩の初めてを美味しく頂き───────」
「それがダメ!そーちゃんは未来永劫私のだし、そーちゃんを私物扱いする女なんかに絶対そーちゃんの初めても体も心も上げないし!」
「確かに初めてをした後で先輩を貸してあげるとは言いましたけど〜、結愛先輩だって今そーちゃんは未来永劫私の〜とか言ってたじゃないですかぁ♪」
「私はいいの!そーちゃんは昔から私だけのだもん!」
「昔とか今とかより愛の大きさが問題なんですよ〜♪」
「だから愛の大きさでも私の方が────────」
「はいは〜い、せんぱ〜い、そろそろ上も脱ぎましょうね〜♪」
そう言ってあゆはもうすっかり目が慣れたのか俺の制服のボタンを手際良く外していくが、それを一つの手が止めた。
それは俺の手ではなく・・・
「そーちゃんに触れないで」
我慢の限界とでも言いたげな声音を纏わせている結愛だった。
「そーちゃん、ここは暗いからまだマシだけど私以外の下着なんてそーちゃんにとって毒にしかならないから目は閉じててね」
「え、あ、あぁ・・・」
っていうかそうだ、なんで俺は素直にずっと目を開けてたんだ・・・
暗闇なら俺が目を閉じてるかどうかまでは分かりずらいだろうからいくらでも目を瞑って恥ずかしいのを抑えられたはずなのにな・・・
俺はそう後悔しながらゆっくりと目を閉じた。
「ちょっと結愛せんぱ〜い、そろそろ手離してくれませんかぁ〜?」
「そーちゃんに触ろうとさえしなかったら触りたくもないからそーちゃんに触れようとしないで?」
「だから落ち着いてくださいって〜、白雪先輩に先輩が食べられちゃうより全然マシだと思いませんかぁ?」
「そーちゃんが私以外とそういうことをする時点で、私にとっては最悪なの!」
「・・・・・・」
それからはまたもしばらく、子供のような言い争いが続いた。
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