第596話総明は足が好き?
激しい物音が聞こえてきたリビングの方に向かってみると、そこでは珍しい形の口論が繰り広げられていた。
「あんなの気持ち悪いし、私と釣り合ってないでしょ、勝手に想像して浮気相手とか言うのやめてくれる?風評被害だから」
「は?そーくんとラブホテルに居たのに言い逃れなんてできるわけないし、それに確かにそーくんと釣り合ってはないけどそれはそーくんが上でって意味だから」
「そうそう、そーちゃんは気持ち悪くないしそーちゃんとラブホテルなんて羨ましいことしといて何も思ってないは無理があるよ」
聞いての通り、なぜか初音と結愛が同じ意見で小姫さんだけが孤立していた。
「だからもう今後はそーくんと関わらな────あっ!そーくん!」
「そーちゃんのこと何もわかってないならもうそーちゃんとは────あっ!そーちゃん!」
初音と結愛は俺がリビングに来たことに気がついたのか、2人は俺のことを呼んだ。
「こいつが来ただけで急に声音変えてキモ──────」
「そーくん!こんな女と浮気なんて絶対にやめた方がいいよ!」
「そうだよ!そーちゃん!浮気するなら私とし──────」
「待て待て!そもそも俺はその人と浮気なんてしてない!勝手に浮気したことにするな!」
「え、だってこの女の子とラブホテルのベッドの上に押し倒してたよね?」
「え」
その文面だけ聞けば本当にただの浮気というか最低な男の行為を聞いた結愛は、絶句したような表情で俺のことを見た。
「そ、そーちゃん・・・?」
「え!?ち、違うからな!あれは不幸の事故というか足を引っ掛けられたというか──────」
「はぁ?私がちょうど足を伸ばしたところに自分から飛び込んできた足大好き変態が何言ってんの?」
誰でもいいから一回この人の口を塞いでほしい。
「え、そーくん・・・足が好きなの!?」
初音は驚いたように言った。
「な、なんで初音まで騙されてるんだ!ち、違うからな!?別に足なんて好きじゃなくもなくもなくもないような気がしないでもないような気がするような感じなだけであって別にだからな!」
いきなりの指摘に動揺しまくってしまったが、別に足が好きなんてことは断じてない。
断じて・・・
「動揺しまくりでキモッ、そんなだから地雷女ばっか踏みまくるんじゃない?はぁ、本当気持ち悪すぎて吐きそうだからちょっと洗面所行ってくるね」
そう言って小姫さんは立ち上がると、本当に洗面所に行ってしまった。
・・・そんなに気持ち悪かったのか?
確かに気持ち悪かったのは認めるけどそこまで言われると流石にへこむ──────
「そーくん足が好きだったの!?いいよ!好きなだけ触ったりして!」
「そーちゃん足が好きだったの!好きなだけ見てもいいよっ!」
「・・・・・・」
俺は変な誤解を生んでしまったため、全力でその誤解を解くことに専念した。
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