第555話甘い非日常の朝
「・・・は、は!?なんだそれ!良いわけないだろ!?」
なんだそのズルすぎる考え方は・・・
「えー、じゃあもう目開けてもいい?本当に履かせてあげるだけだから」
・・・まぁここで目を閉じているという免罪符と共にナニかされるよりはマシだな・・・もう実際何度も見られてるわけだし。
「・・・わかった」
俺がそう言うと初音はゆっくりと目を開け、俺のそれを見て少し固まった。
「な、何してるんだ!履かせたいなら早くしてくれ!」
こっちはただでさえ目の前で下半身を露出して恥ずかしいのになんでそこで固まるんだ・・・!
「・・・そーくんを視姦してる気分❤︎」
「しかん・・・?い、良いから早くしてくれ」
俺は急かすようにそう言い、初音もそろそろ履かせてくれる気になったのか俺に下着を履かせズボンも履かせてくれた。
よかった、っていうかさっきは実質裸みたいなものだったからな・・・次は上半身の服ももらいたいところだ。
「じゃあ上はそのままでいいよね?」
「・・・え!?な、なんでだ!?」
「もちろんそーくんの裸を常に見て24時間中興奮するためだよ?」
そんなことを直球で言われると反応に困る。
「そ、そんなこと─────」
「そーくんっ!朝のお注射の時間だよっ!」
「・・・え」
すると初音は昨日寝る前に出してきた注射器をまたも取り出してきた。
「あ、朝!?夜だけじゃないのか!?」
「日ごとに量も増やすって言ったよね?今日はまだ一回ごとの量は増やさないけど回数は増えるの」
なんだその鬼畜仕様は・・・
「ま、待て!これ以上そんな薬を注入されたら体がおかしくな────」
初音は俺の抵抗を無視して、俺の右腕に注射器を刺した。
が、俺だってタダでやられるわけにはいかない。
俺は注射器を刺された右腕の方を振ろうとし──────
「そーくん、今変に動かすと手元が狂って空気が血管の中に入っちゃうかもしれないから、動かさないでね」
「・・・空気?」
「うん、もし今抵抗でもしたらそーくんの血管に空気が入って、空気塞栓が起こっちゃうの」
「えっ・・・」
・・・そんなことを言われてしまうと、抵抗なんてできるわけもない。
く、空気塞栓って・・・確か失神したりするんだよな・・・
「うん!えらいねー、じゃあお注射するよー」
初音はぐいっと注射器を押し込むと、媚薬なるものを俺の右腕に注入した。
「うっ・・・」
本当に薬というのは恐ろしいもので、特になにも興奮するような状況でもないのにも関わらず初音がすぐそこにいるだけで興奮してきてしまうが、それを表に出すと初音は調子付いてしまうので、俺はそれを必死に隠している。
「どうかな?そーくん、興奮してきた?」
「・・・してない」
「ふ〜ん・・・じゃあ私ご飯食べよ〜っと」
そう言って部屋から出て行こうとする初音の腕を握り、俺は言う。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、その・・・ほ、本当にご飯はくれないのか?」
「うん、泣きながら懇願してきてくれないとね?」
「・・・・・・」
初音は俺の手を自分の腕から剥がし、何故か俺の目に目隠しをした。
「な、なんで目隠し・・・!?」
「万が一私以外のもので興奮なんてされたら嫌だからね♪」
そう言うと初音は俺の部屋から出て行った。
「・・・まずいな」
こうなったら嘘泣きでもして許しを請うしかないのか・・・?
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