第551話総明の誤算
「あ、え、えーっと・・・」
本当になんでここで俺に振るんだ・・・!
で、でもこのぐらいの状況は俺だってあんまり言いたくないけど慣れっこだ。
こういう状況の時になんて言えば場を鎮められるかぐらいしっかりとシミュレーションしている。
「そ、そうだな・・・た、確かにそうかもしれないけど俺は胸が大きくても小さくてもあんまり気にしない」
「・・・・・・」
・・・完璧だ。
これなら初音と霧響の両方を否定せずにこの場を納めることができる。
「・・・は?何それ、はっきりしてよ」
・・・あれ?
「お兄様、そんな言葉でお誤魔化しにならないでください」
あれ、変だな。俺のシミュレーションによるとこれで場を納められるはずだったのに・・・
「そーくん、言ってたよね?」
`もちっにゅ`
「うっ・・・」
俺はまだ初音によって抑えられている自分の右手・・・つまり初音の胸を実質揉んでしまっている手を初音によって胸を揉むように動かされてしまい、もはや答えの選択肢を失われてしまう。
むしろ胸まで揉んでおいてはっきりとした答えを言わなかったらそれこそお風呂場で溺死させられてしまうだろう。
「そ、そう、だな・・・そ、そう言えば言ったかもしれない・・・」
俺が渋々そう言うと、霧響は今にも泣き出しそうな顔で言った。
「そ、そんな・・・お兄様が、小さいお胸の方が好きだったなんて・・・私はお兄様のために・・・!」
そう言うと霧響は泣きながらお風呂場から出ていった。
・・・なんか申し訳ないな。あとで初音がいないところでしっかりと誤解を解いておこう。
この状況ではこうすることでしか俺の命を保つことができないんだ・・・
「霧響ちゃんも可哀想だね、霧響ちゃんの胸が小さくても大きくてもそーくんは私のことを愛してるから胸の大小なんて意味ないのにね、まぁそういう妹を正してあげるのもお姉ちゃんの役目だよね♪」
「は、はは・・・」
と、とにかく今はこの状況をどうにかして切り抜けないと・・・
「・・・で、それそれとして、私の胸のこと可愛いって言ったこと、後悔させてあげる」
「・・・え、え!?ちょっ!ちょっと待て!?」
この雰囲気でまだそんなこと言ってるのか・・・!?
「お、落ち着いてくれ、俺が可愛いって言ったのはバカにするためとかそう言う意味じゃないんだ」
「・・・じゃあどういうことなの?」
「い、いや、その・・・だ、だから褒め言葉なんだ」
「そんな嘘ついたってもう遅いってさっきも言ったよ─────・・・?」
何かを言いかけたところで、初音は俺のことを見て口を止めた。
・・・いや、正確には俺の・・・を見て口が止まった。
「う、嘘じゃなかったんだね、そーくん❤︎」
死んでしまいたい、いっそのこと溺死させてくれ・・・
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