第513話初音の懸念していたこと
「─────あっ、やっと出てきた・・・と思ったら女連れ!?はぁ!?マジありえないんだけどっ!」
「そーくん」
「・・・え?」
初音が何かを望んでいるような目で俺のことを見ている。
・・・え?いや、え!?何も聞かされてない俺にどうしろと・・・!?
「そーくん、早くこの哀れな女に言ってあげて」
「はぁ?哀れ?私が?こんな時代に哀れとかって言葉遣いするとかちょっと古くない?頭アップデートした方がいいよ?あっ、アップデートできないからそんな言葉遣いなんだねごめんねー?」
さっき噴水広場の前で会った時は初音の方が押してるように見えたけど今は少女が調子付いてる気がするな。
「そーくん」
「ひっ!は、はい・・・」
煽られてさらに怒っているのか、初音が何かを俺に求める声がより低く重くなった。お、落ち着け、これはつまり、そういうことだ。
初音の目の前でしっかりこの人との関係を切ってことだ。
「あ、あの・・・お、お金は渡すので、か、帰っていただけますか・・・?」
「なんで敬語なんて使ってるの?何か裏でもあるの?」
「ち、違う!い、一応年上の人だから・・・」
さっきまではほとんどタメ口だったけど・・・
「年上・・・?・・・っ!懸念してたのに・・・!」
「・・・ん?」
初音が何か悔しそうな顔をしている。
「ど、どうした?初音」
俺が聞くと、初音はその悔しそうな表情のまま言った。
「そーくんは年上の女とかに押されたら浮気するかもと思って今まで警戒してたけど年上の女となんて今までそーくんが絡む機会なんてなかったから油断してた・・・もっとそーくんに年上の女でも敬意を払わなくていいって躾とけば・・・!私のミス・・・そーくんだったら年上ってだけで表面上相手に合わせるってわかってたのに・・・!」
待て待て、それはなんていうか色々と語弊がある言い方になってる。
「ちょ、ちょっと落ち着け?初音?」
「私は落ち着いて今分析してるの!っていうか年上だからって私以外の女にヘコヘコしないで!」
「いや、別にヘコヘコなんて─────」
「ねぇ、私一応客人なんだから上がってもいい?」
「は?無理、お金が欲しいだけならそーくんが本来あげるはずの予定だった金額の100倍私が払ってあげるからもう2度とそーくんに関わってこないで?」
「100倍って・・・」
それだと100万円は超えることになるな・・・
「そーくんに集ろうとする女をお金で処理できるならお釣りが来るぐらいだよ?」
「うわぁ、やっぱ彼女抱っこされてるキモ男─────」
少女がいつもの調子・・・いや、会ってまだ一時間も経ってないぐらいだけど、いつもの調子で何か軽口を叩こうとした瞬間に初音が少女の首を片手で握り潰そうとしている。
「っ・・・!?あっ、あんたっ、あっ、頭、おかしいんじゃないっ、のっ・・・?」
「そーくんのことキモいとか言うからだよ、他の男ならともかくそーくんをっ・・・!本当に殺す!」
「ちょっ、は、初音!」
その人のキモいから始まる3連コンボはもはや口癖みたいなものだから許してあげてほしい。
・・・あと抱っこが気持ち悪いと思われるのは割と正常だと思うし・・・
悪口を言われた俺ですら少女を庇いたくなるほどの殺気が初音にはあった。
「私のそーくんのこと汚したんだからどうなるかわかってるよね?」
「ちょっと待て初音─────」
「へ、へぇ、本当に彼女なんだー、で、でもこんな女別れた方が─────っ」
「黙って」
「っ・・・!」
な、なんでこんな状況でもさらに煽るようなことをするんだ!
おかげで初音が怖すぎてもう手がつけられないようになってしまった・・・
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