第512話レンタル彼女の来訪
「最王子くん!」
「・・・え?」
覚悟を決めた矢先に、天銀が俺を呼ぶ声が部屋の外から聞こえてきた。
「無視しよ、そーくん❤︎ほら、早く────」
「あの女性に言われたのですが、最王子くんはレンタル彼女の料金を支払っていないのではないですか?」
「・・・あ」
わ、忘れてたぁぁぁぁぁぁ!!結局うやむやになってたけど、そうだ、そうだった、お金を払ってなかった!
「は、初音、悪いけどお金だけ─────」
「お金なら私が後で何十倍にでもして払うから!雰囲気が大事なの!今のこの雰囲気を壊したくないの!ほら、早く一緒に気持ちよくなろ・・・?」
そう言って初音はとうとう俺の下半身に手をかけた。
「ま、待って─────」
`ガチャガチャガチャガチャ`
玄関のドアノブが部屋の中でもわかるぐらいすごい勢いでガチャガチャ鳴っている・・・この部屋は中の音は外に漏れないが外からの音は聞こえてくるようになっている。
「ちょっと!あんた!お金!お・か・ね!あんなにお金受け取ってとか言ってたくせに最後の最後でお金渡し忘れるとかバカじゃないの!?」
と、家の外から大声で叫んでいるあの少女の声が聞こえてきた。
「は、初音、一旦近所迷惑になるから─────」
「関係ないの!早くシよ?私、もう我慢できないよ・・・❤︎」
「で、でも─────」
「そんなに私のこと放置するんだったら私のこと君が彼女と同じぐらい可愛いって言ってたってこと言うからねー!!」
またも家の外からあの少女の声が聞こえた瞬間、ずっともじもじしていた初音の動きがピクリと止まる。
「・・・そーくん?」
「え、えっ!?は、初音以外の女子にそんなこと言うわけないだろ!?」
俺がそう弁明するも、初音が衝撃の事実を話す。
「・・・私、実はそーくんとあの女の会話盗聴器で聞いてたの」
・・・えっ!?う、嘘だろ!?
だ、だとしたらここで変な嘘をついたら今後の信用に関わる・・・っていうかもう嘘をついてしまっている!
俺が初音に嘘をつくかどうか試したのか・・・
「え、あー、いや、ま、まあ、そんなこと言ったかもだけど・・・場の流れに適当に合わせただけで・・・」
「本当に言ったんだ・・・」
「え・・・」
初音は落ち込んだ声でそう言った。
「え、し、知ってたんじゃ・・・?」
「嘘、盗聴器なんてつけてたら私が他の女のことに関することなんてそーくんに聞くわけないでしょ?」
「・・・・・・」
そっちがカマ掛けだったのか・・・!
「いや、その・・・」
「そーくん、私以外の女に裏で可愛いなんて言ってたんだね」
「うっ・・・」
「えっちの前にちょっと制裁を下さないとね」
そう言って初音は立ち上がり、俺のことをベッドに押し倒した。
「でもその前に・・・そーくん、ちょっと来て」
初音は俺のことを押し倒したと思ったら起き上がらせて、俺のことをお姫様抱っこした。
「え、ちょっ、は、初音!?」
「・・・・・・」
一応怪我人の俺を配慮はしてくれてるみたいだ。・・・優しい。
初音はそのまま玄関に向かい、その玄関のドアを────開けた。
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