第501話総明は不機嫌

「はぁ、下心見え見えなんだからそんな虚勢張ってもキモいだけ」


「・・・な、ならキモいやつとなんて一緒にいたくないだろ?お、お金は渡すから早く帰って─────」


「無理」


「・・・えぇ」


 なんで無理なんだよ・・・そんなにキモいとか死ねばとか言ってるのに帰らせてくはくれない理由なんてないだろ!


「あんた顔マシだし、遊んであげる」


「は、は・・・?」


 遊ぶって・・・じょ、冗談じゃない、そんなことしたら初音に殺される!


「断る!」


「は、はあ!?あんたバカじゃないの!?私が遊んであげるって言ってんのに、あー、もしかして女経験なくてどう対処したらわかんなくて戸惑ってんの?キモッ、うざ、死ねば?」


 とりあえずそのキモッから始まる3連コンボはやめてほしい。

 なんていうか・・・久々に少し気分が悪くなってきたな。

 最近困ることとか疲れることはあったけどそれは全部俺に対する好意のせいだと考えるとそれを無碍にすることもできないと無意識のうちに思ってたけど今の場合は完全に俺のことを嫌ってる感じのただの罵声だからか・・・


「だからそんなにうざいならお金だけ払う!俺があなたを指名して1万円貰ったと仮定して差し引き何円なんだ?」


 普段初対面の人にこんな高圧的な態度は取らないけど、あまりにも気分が悪かったので少し高圧的になってしまう。


「・・・100万円」


「は、は!?そんな大金持ってるわけ─────」


「じゃあ私と遊べば良いじゃん」


「だからそもそも遊ぶ気なんてないし仮に遊んだとしてもその後で100万円を払わないといけないなら俺には無理だ」


「はぁ、じゃあ普通に遊ぶだけで良いから」


「だからそれも無理なんだ!何度言えば─────」


 と、俺は怒鳴ってしまいそうになった自分の心を宥める。

 お、落ち着け、冷静になれ、冷静に・・・


「わ、悪い、大声をあげて─────」


「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」


「・・・え?」


 するとこの女の人は急にさっきの高圧的な態度からは一転して顔を若干してにして手を下の方でモジモジさせながら言う。


「な、なんでぇ、私みたいな超絶美人にそんな態度取れるわけぇぇ?」


 と、さっきと本当に同一人物かと疑ってしまいぐらい弱々しい声で言った。


「え、あ、わ、悪い、大声あげて・・・」


 相手がどれだけ酷いことを行ってきたとしても男子が女子に怒鳴り上げると言うのは女性側からしたら普通怖いか・・・初音たちのせいでその辺の感覚が麻痺していた、反省反省。


「そうっ、世界に詫びたら?あんたなんかが私に楯突いたんだから」


「っ、だからそう言う態度が─────」


「ごめんなさいごめんなさいぃぃぃぃぃ」


「─────は、は・・・?」


 や、やばい、もう意味がわからない・・・

 俺はこの情緒不安定という言葉だけでは表現できない少女が落ち着くのを、傍で待っていることにした。

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