第434話プレイヤー選択

『想い人に告白が成功して張り切ってアルバイト 15万円』


 結愛が止まった目にはこんな字が書かれていた。・・・まずいな。

 さっきまではお金とか全く気にしてなかったけど、勝った人と2人きりにならないといけないんだったら話は別だ。

 さっきの初音が10万円を手に入れたのは俺としてはまあ良い結果だが、結愛が15万円か・・・つまり今はあゆが15万5000円で1位、俺が初音から半分お金をもらって6万5000円で2位、初音が5万5000円で3位、あゆが俺と恋人を別れさせるために2000円使ったから8000円で4位か・・・

 なんていうか、うん。さっきから気のせいだったら良いんだけど、ちょっと恋愛系が多い気がするのは俺だけか?


「やったー!そーちゃんに想いが届いたんだね!」


「・・・え」


「そーくん?」


「い、いや!さっきも言ったけど、これはゲームだからな!?そ、それに、もしかしたら結愛の想い人が俺じゃない可能性も─────」


「何言ってるの!私に想い人なんてそーちゃんしか有り得ないよ!」


 ・・・本当に結愛があと少しだけ融通が利いてくれれば良かったのに・・・


「・・・そーくん?」


「い、いや・・・そ、そうだ!初音の時は最初の手番の人とか書かれてたけど、今回の場合は想い人としか書いてないだろ?だから想い人が誰だとかは明言されてないんだ!」


「・・・そうだね」


 よし、これでちょっと不満はありそうだけど初音は納得してくれただろう。本当にこの表記に助けられたな・・・


「え?どういうこと?そーちゃん」


「・・・え?」


「私そーちゃん以外のこと好きになんてならないよ?それって私の想いを無碍にするってことだよね?」


「あ、いや、そういうわけじゃないんだけど────」


「なら私の想い人はそーちゃんで、その告白が成功したなら今私とそーちゃんは恋人同士だよね?」


「あー、そ、そうかもしれないな・・・」


 ここはぼかしておくことが大切だ。ここでどちらでも明言してしまうと、俺はどちらかを確実に敵に回してしまうことになるからだ。ここ最近学んだことでもある。因みにこのぼかした回答は初音には聞こえないぐらいの小声でしたため、初音からも特に反感を買うようなことはない。

 そして次のあゆの手番・・・4だ。どちらかというと低い目だな。内容が・・・


『誰か1人のプレイヤーと結婚し子供ができる プレイヤーは選択することができる』


「せんぱ────」


「ちょっと待った!あゆ!!」


「なんですかぁ」


 子供ができるなんて冗談じゃない、もしそのプレイヤーに俺が選ばれでもしたら何をされるか・・・こ、ここはなんとしてでもあゆを説得しなければいけない。


「お、俺を選んだりなんてことは・・・しないよ、な?」


「はいっ!もちろんですよ!」


 ほっ・・・どうやらあゆも今の状況をしっかりと理解してくれているらしい。もし俺とあゆが結婚したなんてことになったら、例えゲームだったとしても初音が何をするかわからないからな。あゆとしてもそれは避けたいところだろう。

 でもだとしたら他は初音か結愛・・・選ばないなんてことはできないから、そのどっちかになるけど・・・あゆはどっちを選ぶんだ?


「じゃあ、結婚相手は先輩で♪」


「・・・はあ!?」


「・・・・・・」

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